宇宙産業のDX/IoT市場

2023年12月4日
宇宙産業のDX/IoT市場
宇宙産業のDX/IoT市場

●宇宙産業の市場規模
現在、国内の宇宙産業は、主導役が政府から民間へとシフトしつつあります。人工衛星の開発や通信、ロケット打ち上げなど多方面で、大手企業だけではなくベンチャー企業の台頭も目立ち、成長の勢いが増しています。一方、アメリカや中国を筆頭に諸外国も宇宙ビジネスを活発化させています。世界的に宇宙産業市場への成長期待が高まっており、2040年の市場規模は2017年比3倍の100兆円規模に達するとの予測もあります。日本政府は、2019年に公表した「宇宙産業ビジョン2030」で、国内の宇宙産業の市場規模を2030年代初頭に2兆4000億円に倍増するとしました。また、2022年12月に公表した宇宙基本計画工程表では、「宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現」を掲げ、国として宇宙開発を強化する方向性を示しています。

●宇宙産業におけるDX/IoTとは
多くの産業においてDXが進められていますが、宇宙産業においても例外ではありません。宇宙産業では、衛星データのビジネス活用からAIを生かしたロボットによる宇宙進出支援、危険な宇宙ごみ除去などの分野でDXが広がっています。
衛星通信網を活用したIoTソリューションは、物流、農業、漁業、交通といった社会インフラなどの幅広い分野で利用されています。一般的な携帯電話網(地上ネットワーク)を使ったソリューションでは、山岳地帯や海上など利用できないエリアも多いため、広範な地域をカバーする衛星IoTソリューションへの期待が急速に高まっています。
衛星データをもとにAI技術を使って分析し、社会課題の解決に活用する取り組みも進んでいます。シリコンバレーのスタートアップ企業Orbital Insight社では、衛星から入手した商用の衛星画像をもとにAIによる分析を行い、様々な課題を解決するビジネスを行っています。代表的な事例は、小型衛星によって宇宙から撮影された世界中の石油タンクの映像をもとに、独自の技術により石油タンクの蓋に映し出された影を分析して、世界中の石油備蓄量を推計するという事業です。同社はこの推計結果をエネルギー関連企業や投資家などに提供しています。

●今後の期待
日本は、宇宙ビジネスの中でも、人工衛星を利用した産業における小型モデルの製造・サービスを得意としています。複数の衛星を宇宙空間に配置する「衛星コンステレーション」で強みを発揮し、通信や衛星測位システム(GNSS)、地球観測などを高度化することができます。
また、安全保障という観点でも宇宙の重要性は高まっており、防衛省は防衛力抜本的強化の初年度に当たる23年度予算で、宇宙領域の能力強化として「衛星を活用した極超音速ミサイル(HGV)探知・追尾等、対処能力向上に必要な技術実証」に46億円を盛り込みました。また、宇宙領域把握(SDA)衛星製造など「SDA強化」に595億円を充てています。民間の衛星コンステレーションサービスを自衛隊が利用し、国防に役立てる計画もあり、情報収集で優位に立つという観点でも宇宙空間の有効活用が求められています。

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