2021年、5G時代の実現に向けて本格始動

2021年6月14日

5Gの商用化から一年が過ぎた。日本の「5G元年」は、5Gのショーケースになるはずだった東京オリンピック・パラリンピックが中止となり、コロナ禍で大きな逆風を受けた。幸いエリア整備のスケジュールには遅れが出ていない。ドコモやKDDI、ソフトバンクは、基地局整備を急ピッチで進め、5Gのサービスエリアを拡大している。今後数年で、これまで「点」だった5Gエリアの『面』展開が、本格的に開始される見通しだ。5G時代の本格到来を前に、実用化で先行するスポーツや娯楽分野での今を見てみよう。

スポーツや娯楽が先行するコンシューマー向け5Gサービス

5G通信の普及に大きく影響するのは、5Gの特徴を生かしたキラーコンテンツやキラーデバイスの登場だ。通信各社は、新たなサービスやソリューションを創出するため、パートナー企業との共創や、VRやAIなどのデジタル技術の活用に注力している。2019年、ラグビーワールドカップやバスケットボールの日本代表戦で、「マルチアングル視聴」の5Gプレサービスが提供された。目の前の試合を観戦しながら、自分の席からは見ることができない角度からの映像を、手元の端末でほぼ遅延なく楽しめる仕組みだ。コンシューマー向けには、スポーツや娯楽など、5Gのメリットを訴求しやすい分野のサービスが先行している。

VRで実現する臨場感あふれる観戦体験

今年2月に開催された「docomo Open House 2021」で、「バーチャル体験! VRバドミントン」が披露された。専用の機材を用いて、あらゆる角度から撮影した人や物の3Dモデルを、VR空間に再現して見せた。それに活用されたのが、「Volumetric Video(ボリュメトリックビデオ)」である。VRを活用して、さまざまな視点から自由にバドミントンの観戦を楽しむことができる。目の前で実際に試合をしているかのような臨場感のあるスポーツ観戦が体験できるのが特徴だ。

VR イメージ

リアルのスタジアムをVR空間に再現すれば、その場の空気感や、一緒に観戦している仲間とのコミュニケーションを楽しむことができる。リアルでは難しい演出を盛り込むことも可能だ。コロナ禍で、大勢での観戦が難しい中、スポーツの新たな楽しみ方としてVR観戦への期待は大きい。

プレー体験も5Gで大きく進化

観戦者はもちろんのこと、プレーヤーにとっても5Gのメリットは大きい。日本プロゴルフ協会(PGA)とドコモは、5G通信を活用した遠隔レッスンの実証実験を行っている。生徒のスイングを高精細の4K映像で撮影し、それを5G通信でコーチに送信しリアルタイムで指導する仕組みだ。指導の際には、AIによる姿勢やフォームの解析も活用する。

ミライトも、打球落下点予測やスイング診断など、5Gを活用したゴルフソリューションの開発をパートナー企業と共に進めている。ドローンで撮影した画像からゴルフコースの3Dモデルを作成するサービスもある。ゴルフ場経営者向けには、ドローンでのゴルフコースの点検や、IoTセンサーによるグリーンの温度や土壌の状況のモニタリングなどのサービスを提供する。

ゴルフ イメージ
打球落下点予測 イメージ

このような先端技術を活用し、ゴルフ場運営の効率化と体験価値の向上を実現することができる。若者のゴルフ離れもあり、国内のゴルフ人口は、最盛期の1,400万人から半減しているが、PGAでは、このような取組みなどを活用し、24年までに500万人のゴルファー創出を狙っている。

5Gでeスポーツもより快適に

5Gの普及は、"対面しないスポーツ"であるeスポーツにも追い風となる。eスポーツ大会を開催する上では、機材トラブル、特に、多数のモバイル機器を無線でつなぐ場合の通信の安定性が課題となる。「高速・大容量」、「低遅延」、「多接続」を実現する5Gが普及することで、eスポーツをより快適に楽しむ環境が整う。日本のeスポーツ市場規模は2018年に50億円、2021年に85億円程度とされる。2021年に約1600億円規模に達すると見込まれるグローバル市場と比較すれば発展途上にある。しかし、5G環境の整備が、日本のeスポーツ拡大にも貢献することが期待されている。

5G時代の実現に向けて

コロナ禍が続く中、接触や対面を避けつつ、スポーツ観戦や体験を楽しむ需要が拡大している。魅力的なコンテンツが増えれば、5G通信を求める人が増え、通信環境の整備が進む。環境が整えば、より多くのサービスが生まれる。2021年、日本の5G時代の実現に向け、サービスの充実と通信環境の整備が、相乗効果を生みつつ加速していくだろう。

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