5Gが可能にする新しいエンターテイメントの形

2021年10月15日

2020年以降、新型コロナウイルスの蔓延によりリアルでのコンサートやライブなどの中止や延期、規模縮小が相次ぎ、日本のライブエンターテインメント業界の環境は激変した。一方で、2020年は5Gの商用サービスが本格的に導入された「5G元年」とされ、モバイル環境でも超高速・大容量でのコンテンツ配信が可能になった。今、まさに5Gが、コロナ禍でもオンライン配信で楽しめる新しいエンターテイメントの形を続々と生み出そうとしている。

5Gで8K映像と立体音響技術による没入感の高いオンラインライブ映像を配信

音楽やスポーツを、ライブ会場やスタジアムなどに行ってその場で楽しみたいけれど、コロナ禍では物理的な密集状態も避けたい。そこで、5Gによる映像配信技術を活用し、自宅にいながらライブ会場やスタジアムにいるような体験ができる「オンラインライブ配信」に注目が集まっている。日本では大日本印刷やアストロデザイン、シャープ、ソシオネクスト、輝日、ドルビージャパンの6社が連携し、高精細映像と立体音響技術を掛け合わせた没入感の高い映像コンテンツの制作や、5Gによる配信インフラの構築を進めていくと発表した。

映像は、地上デジタル放送(フルハイビジョン)の16倍の解像度を持ち、高品質の色域表現や多階調表現、輝度、画像の高速表示などに優れた8K映像が使われる。その映像に、前後左右と頭上からの音を加えた3次元空間内で音源の本来の位置から音を鳴らし、あたかもその場にいるような臨場感や没入感が得られる立体音響技術「Dolby Atmos」が組み合わされる。

8Kと立体音響技術「Dolby Atmos」により制作する映像コンテンツの例 イメージ
8Kと立体音響技術「Dolby Atmos」により制作する映像コンテンツの例
(シャープ プレスリリースより引用)

高精細な8K映像コンテンツのデータは大容量になるため、従来はIP網での送受信は困難とされていた。そのため、シャープの5G通信に対応した8K IP配信ソリューションや、ソシオネクストの8Kエンコーダ・デコーダ、輝日の動画配信プラットフォームや回線インフラ構築サービスなどを活用することで、安定的でスムーズな配信を可能にする。

8K映像から自分が見たい映像を切り出す

こうした、オンラインライブ配信では、画面上で全体を鑑賞しながら自分の見たい部分だけを拡大して観る楽しみ方もいろいろと考えられている。8Kカメラで撮影した高精細映像ならば、映像の劣化なしに高画質の切り出し動画が作成できる。

例えば、実際にアイドルグループのライブ会場に行くと、グループ全員の歌やダンスだけではなく、自分が推しているメンバーの動きだけを個別に追うという楽しみ方が当たり前だ。韓国の公営放送局「韓国放送公社(KBS)」は、独自に開発したAI顔認識切り出し用ソフトとアストロデザインの8Kカメラシステムを組み合わせ、1台のカメラで撮影したK-popアーティストの映像から、切り出し映像を制作するシステムを構築した。

このシステムを活用すれば、今後は5Gでオンラインライブ配信された複数の映像から、スマートフォンで自分が好きなメンバーが撮影されている映像だけを選んで楽しめるようになる。さらに、8Kカメラで撮影されたオンラインライブ配信の映像を、スマートフォンのアプリでも自由に切り出せるようになれば、野球やサッカーなどの中継で、自分が好きな選手の動きだけを切り出して楽しめるようになるだろう。ミライトでも、アストロデザイン社との協業により、8K映像伝送&切り出しソリューションを提供している。

ハロウィーンはオリジナルアバターを使ってバーチャル渋谷で楽しむ

今や、若者の街として世界的にも高い知名度を誇り、国内外から多くの観光客が訪れる渋谷では、KDDIが渋谷区観光協会らとともに、区が推進する創造文化都市事業への貢献を目的とした「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」に取り組んでいる。

近年、渋谷といえば毎年10月のハロウィーンでは、まさに世界中から若者が集まり、思い思いの衣装で楽しむ姿が注目されるようになったが、新型コロナウイルスの蔓延によって、その楽しみ方も変わった。今年は渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトが、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」において「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021 ~FUN FOR GOOD~」を開催。渋谷の街にいてもいなくても楽しめる、オンラインのバーチャルコンテンツを配信する。

バーチャル版のハロウィーンフェスでは、5Gの高速、大容量通信を生かしてスポーツや音楽、お笑いなどのライブをバーチャルステージで実施する他、リアルとバーチャルの融合体験として、自分自身のアバターを作成できるPocket RDの自動アバター生成システム「AVATARIUM」と連携した取り組みを実施。スマートフォンのアプリと「au Style SHIBUYA MODI」や「GINZA 456 Created by KDDI」などの商業施設に設置されたスキャナーから簡単に自分のオリジナルアバターを作成でき、バーチャルハロウィーン上で楽しめる。

AVATARIUM の体験イメージ
AVATARIUM の体験イメージ
(渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトの発表資料より引用)

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