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海上でのリアルタイム中継からローカル環境でのコンテンツ伝送まで 東京2020オリンピックで注目される5G技術

2021年8月6日

4年に一度開催されるオリンピックには、その時々で実現可能なさまざまな最先端技術が投入され、その実用性や将来性が実証されることも多い。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)」では、5Gによる最先端のモバイル通信もそういった技術の1つとして注目されている。NTTグループは東京2020大会において、5Gを活用した新しいスポーツ観戦のショーケース構築や、ローカル5Gの有用性を実証する取り組みなどを行う。

海に浮かんだ50mのワイドスクリーンでセーリング競技をリアルタイム中継

「セーリング競技」「水泳競技」「ゴルフ競技」の3会場では、NTTとNTTドコモ、インテルが5G通信を活用した新たなスポーツ観戦体験「TOKYO 2020 5G PROJECT」への取り組みを行い、高速大容量を活かした超高解像度映像や同時多地点映像のライブストリーミング、低遅延を活かしたAR(拡張現実)観戦体験などが提供される。

「セーリング競技」は、海上に設置されたブイを決められた順に回ってゴールの順位を争う競技だが、これまでは防波堤から双眼鏡を使って観戦するしかなかった。そこで、東京2020大会では高速大容量の5G通信の特徴を生かし、地上にいるのにあたかも洋上のクルーズ船の特等席にいるような気分になる観戦スタイルが提供される。

競技中は、複数台の4Kカメラを搭載したボートやドローンがゲームの様子を撮影。その映像が、4K映像を3つ並べた横12K解像度の超ワイド映像としてリアルタイムに合成され、セーリング競技場の洋上に浮かべた長さ50mの洋上ワイドビジョンに5G通信によってライブ伝送される。競技映像は、さらに江ノ島から東京ビックサイトの「メインプレスセンター」にも、リアルタイムに伝送される。

セーリング競技会場のシステム構成 イメージ
<セーリング競技会場のシステム構成>
(NTTの報道発表資料より引用)

「水泳競技」の会場では、5G通信の低遅延の性能を活かし、ARデバイスにリアルタイムに競技データが配信される。会場で観戦者がARデバイスを装着すると、目の前で行われている競技に重なるように選手紹介やタイムなどの競技データ(スタッツデータ)が表示される。従来の通信技術では、遅延によって実現できなかった100分の1秒を競う競技データも、5G通信を活用することでリアルタイムに表示できるようにする。

水泳競技会場のシステム構成 イメージ
<水泳競技会場のシステム構成>
(NTTの報道発表資料より引用)

「ゴルフ競技」も、クラブハウスに止まって複数の選手の競技映像を眺めたり、個々の選手を追いかけてリアルにプレーを鑑賞するなどさまざまな観戦方法がある。東京2020大会では、5G通信の高速大容量と低遅延の性能を活かし、離れた場所で行われている複数の競技映像やスタッツデータを、ユーザーが自由に手元のデバイスで選択して閲覧できるようにする。

ゴルフ競技会場のシステム構成 イメージ
<ゴルフ競技会場のシステム構成>
(NTTの報道発表資料より引用)

東京2020大会で提供されるこうした5G通信による取り組みは、当初は会場に訪れた観客向けに提供される予定だった。今回はこれらの会場で無観客での開催が決まったことから、残念ながら選手や大会関係者などといった一部の観戦者のみに向けて提供される。

5Gとの組み合わせでリアルタイム中継を実現する超高臨場感通信技術

「セーリング競技」の会場で実現されるリアルタイム中継では、NTT研究所が研究・開発した超高臨場感通信技術「Kirari!」が活用される。これまでにも、NTTグループは「Kirari!」と5G技術を組み合わせ、音楽ライブやスポーツなどの超高臨場感通信技術に関する実証実験を行ってきたが、商用の5Gサービスを利用した取り組みは東京2020大会が初めてになるという。

複数の4Kカメラを搭載したドローンと洋上の母船との大容量伝送では、GNSSからの高精度な位置情報を利用し、指向性の高いミリ波無線のアンテナを自動制御する技術「RTK(Real Time Kinematic)」によって、安定した通信を実現。さらに、それぞれの4K映像データがばらばらに到着しても映像が崩れない、同期制御機構が活用される。

NTT研究所が開発した超高臨場感通信技術 イメージ
<NTT研究所が開発した超高臨場感通信技術>
(NTTの報道発表資料より引用)

国立競技場にローカル5G環境を構築して報道機関のビジュアルコンテンツ配信を実証

東京2020大会の開閉会式や陸上競技などが行われるオリンピックスタジアム(国立競技場)では、NTT東日本がローカル5G環境を構築し、報道機関のカメラマンが大会中に撮影した写真データを、その場からリアルタイムにアップロードできる実証実験環境を提供する。報道機関は専用のローカル5G環境を活用することで、観客などが利用する無線通信からの電波干渉の影響を受けず、安定した写真送稿が行える。

現在の報道活動においては、写真などビジュアルコンテンツの配信スピードが求められている。特に、多くの注目を集める世界的なスポーツイベントでは、高速で確実な写真送稿が重要となる。NTT東日本は今後、地域ニーズや個別ニーズに応じて、建物内や敷地内などでローカル5G環境を提供するため、東京2020大会での取り組みによってさまざまな知見を得ようとしている。

オリンピックスタジアムでの実証実験 イメージ
<オリンピックスタジアムでの実証実験のイメージ>
(NTT東日本の報道発表資料より引用)

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