未来を語る ミライト中山社長インタビュー

2021年6月14日
未来を語る ミライト中山社長インタビュー
未来を語る ミライト中山社長インタビュー
話し手
  • 株式会社ミライト
  • 代表取締役社長
  • 中山 俊樹

今、次世代の携帯電話サービスとして注目を集めているのが「5G」だ。5G対応のスマートフォンも続々と登場するなど、これから携帯電話の主流は5Gに移っていくことだろう。そこで今回は、携帯電話をはじめとする通信サービスを支える設備の建設・保守を担う、ミライトグループの代表である中山俊樹氏に、これからやってくる5Gが作り上げる未来について聞いた。

産業用途では5Gの「低遅延」という特徴が生きてくる

──5G時代の到来によって世の中はどう変わっていくのでしょうか?

「5G」は"第五世代"の移動通信システムのことで、日本の携帯電話は、アナログ方式の携帯電話サービスを第一世代として1979年に始まりました。そして、デジタル方式になった第二世代、二つ折りスタイルが主流のいわゆる"ガラケー"と呼ばれていた第三世代に移ります。それがスマートフォンに置き換わっていった「4G(LTE)」と呼ばれている現在の第四世代へと進化し、5Gはその次の世代の移動通信システムです。

5Gのメリットは3つあります。そのひとつは「高速・大容量」。それも"超"が付く高速で、たくさんのデータを短時間にやり取りすることができます。2つめが「低遅延」、つまり遅延が少ない。そして、3つめは「多数接続」で、たくさんの端末が同時につながることができるようになります。この3つの中でもみなさんが最も体感できるのが「高速・大容量」ではないでしょうか。

中山社長 インタビュー風景

この「高速・大容量」によって、これからはコミュニケーションが文字や写真から、動画のような映像が中心になってくると思います。また、5Gが普及すれば、4Gでは難しかったゴーグルを着けて楽しむようなVRコンテンツも、リアルタイムで楽しめるようになることでしょう。さらに5Gは、産業分野へのインパクトが大きいとも言われています。すでに、それを先取りする形で5Gを使ったさまざまな実証実験が日本各地で行われています。

中山社長 インタビュー風景

この「高速・大容量」によって、これからはコミュニケーションが文字や写真から、動画のような映像が中心になってくると思います。また、5Gが普及すれば、4Gでは難しかったゴーグルを着けて楽しむようなVRコンテンツも、リアルタイムで楽しめるようになることでしょう。さらに5Gは、産業分野へのインパクトが大きいとも言われています。すでに、それを先取りする形で5Gを使ったさまざまな実証実験が日本各地で行われています。

──2つめの特徴である低遅延は、どのような分野に活用されるのでしょうか?

5Gで実現する「低遅延」のメリットは、医療や自動運転など、様々な産業分野で発揮されるとみています。それを代表する例が、オンライン手術(遠隔手術)です。例えば札幌の病院に入院する患者さんの手術を、東京の病院の医師がマジックハンドのような手術ロボットを使って行うというものです。こうした手術ロボットを使う場合、執刀医の操作に対してロボットの動きに遅れがあると精細な手術ができません。「低遅延」という特徴を持つ5Gを利用すれば、その遅れが極めて少なくなり、スムーズな手術が可能となることでしょう。

オンライン手術(遠隔手術) イメージ

さらに5Gレベルの通信インフラが道路に整備されていくと、いよいよクルマの自動運転が現実のものとなります。将来の自動運転は、クルマ自身の目や耳による制御だけでなく、外部のクラウドやコンピューターがクルマを制御して動かします。そこでクルマとクラウドを結ぶ5Gが重要な役割を果たします。例えば、走行中のクルマの前に壁裏から突然子どもが飛び出してきても、クルマはすぐに止まらないといけない。壁裏の子どもを道路上のカメラが捉え、5Gを介してその情報をクルマに伝え、自動的にブレーキをかけて止まり事故を回避する。この通信でも遅延は許されません。そのためには5Gネットワークが欠かすことのできないインフラとなるわけです。

5Gがライブ中継や報道中継のスタイルも変えていく

──これから5Gが私たちの暮らしの中で普及していくのはいつごろでしょうか?

5Gの携帯電話サービスを提供するモバイル通信事業者は、総務省から電波の周波数の割り当てを受けるときに、ネットワークの展開計画を提出することになっています。総務省では5Gのために周波数を割り当てる条件として、2024年4月までに基盤展開率を50%以上にすることを条件にしており、例えばNTTドコモであれば、2023年度中に基盤展開率を97%にするとしています。

中山社長 インタビュー風景

この基盤展開率とは、ある町に5Gの基地局がある程度あれば条件を満たす基準ですので、97%の数字が必ずしもどこでも5Gが使えるということではありません。イメージとしては5Gが現在の4G LTEのように当たり前に使えるようになるには、およそ5~6年くらいかかるのではないでしょうか。もちろん各社はネットワークの展開を急ピッチで進めており、みなさんがどんどん5Gを利用するようになれば、さらにその普及が前倒しになるかもしれません。

中山社長 インタビュー風景

この基盤展開率とは、ある町に5Gの基地局がある程度あれば条件を満たす基準ですので、97%の数字が必ずしもどこでも5Gが使えるということではありません。イメージとしては5Gが現在の4G LTEのように当たり前に使えるようになるには、およそ5~6年くらいかかるのではないでしょうか。もちろん各社はネットワークの展開を急ピッチで進めており、みなさんがどんどん5Gを利用するようになれば、さらにその普及が前倒しになるかもしれません。

──5Gの導入がいち早く進む分野や業界を教えてください。

やはり、VRコンテンツのようなコンシューマー向けのサービスが先行して広がっていくと思います。一方、産業分野ではまだまだ実証実験の段階ですが、ブルドーザーやショベルカーといった建設機械を遠隔地から動かすといった土木建築分野では、もう実用化一歩手前まで来ています。また、農業や水産業でドローンや監視カメラといったものを使って、作物の生育状態や病気の状態をチェックするといった目的で、カメラやセンサーと組み合わせる形で5Gを利用するといったことは、比較的早く実用化が進むのではないでしょうか。

VR イメージ

さらに、ライブ中継や報道中継などの映像業界では、すでに5G利用の取り組みが始まっています。これまで、ライブ中継で高精細な映像を送ろうとすると、現場に中継車を出して通信衛星経由で中継をするなど、かなり大がかりなものとなっていました。しかし5Gの「高速・大容量」、「低遅延」といった特性を生かすことで、いつでもどこでも、そして簡単に4K映像のような高精細な映像を送ることができるのです。

──これから5Gが普及していくのに課題はありますか?

少し難しい話になりますが、電波は周波数が高いほど直進性が強い、つまり真っ直ぐ飛び、周波数が低いほど障害物があってもその裏に回り込むように広がっていく性質があります。5Gの電波は4Gに比べてとても高い周波数が使われていて高速に情報を送れますが、逆に低い周波数の電波に比べて、ビルのような障害物、遮蔽物があると電波が届きにくくなってしまいます。

特に5Gのために新たに割り当てられた"ミリ波"と呼ばれる28GHz帯になると、もはやレーザー光線のようなものです。例えばアンテナのそばに木があったとして、冬は電波が届いたのに、春から夏にかけて葉が生い茂ると、葉っぱにさえぎられて電波が届かないとか、雨が降ると雨粒で電波が弱まってしまうとか、5Gの電波はいままでよりも扱いが難しいと言えます。

そこでこうした非常に高い周波数の電波の特性に応じたアンテナの設置をはじめとした、"エンジニアリングの力"が大切になってきます。基地局の設計やエリア形成といった部分で、電波の特性を十分理解して作っていかないといけない。こうしたところにミライトの技術力が大きく貢献できるところだと思いっています。

"通信建設会社を超える"「超・通建」としてミライトが提供する5G ソリューション

──そんなミライトの技術力と、ミライトが掲げる"超・通建"について教えてください。

私たちは通信エンジニアリングの専門事業者であり、お客様によって千差万別な現場で、最適な電波環境を設計して、それを実現し、さらにそれをきちんと維持していく、ということが私たちのビジネスフィールドです。さらに電波がどう届いているかをお客様に向けて"見える化"したり、電波を見える化することで効率よく電波環境の設計を行ったりしています。こうした現場における"エンジニアリング力"こそが、ミライトの5Gソリューションの強みです。

VR イメージ

さらにエンジニアリング力だけでなく、電波をはじめとした各種行政手続きを代行するサービスや、私達のパートナーと一緒に提供するアプリケーションの窓口としての役割もあります。電波設計というインフラから最終的にはアプリケーションまでお客様を総合的にサポートしていくのがミライトの5Gソリューションです。このように単に通信インフラを造るだけでなく、こうしたお客様の課題解決のために総合的にサポートするという意味で、私達ミライトは「超・通建」という言葉を使っています。

もちろん「超・通建」というのは"通信建設会社を超える"ということであって、決して"脱通建"ではありません。私達がこれまで70年、80年と通信建設で培ってきた技術と経験を踏まえた現場力は財産です。今まで培ってきた技術力と経験を踏まえ、通信建設事業者を超えた新しい領域にチャレンジしていくということです。

そのひとつがエネルギーマネジメントシステム分野です。通信には当然電気が必要ですが、逆に電気もどんどんスマート化していて、太陽光や風力といった自然エネルギーで発電した電気を最適な形で利用者に届けるために、コンピューターで送電・配電を制御して通信で情報をやり取りしています。今後、求められる脱炭素の時代に、スマートグリッドやスマートシティを実現するには、5GやIoTを駆使していく必要があります。そこに私達ミライトの技術力と新しいアプリケーションを組み合わせる形で、通信キャリアだけでなく、様々なお客様にも新しい価値を提供していくのが、"超・通建"のミライトなのです。

移動通信サービスを変える5Gとともに新しい価値の提供へ

今までのいわゆる"スマホ・ケータイ"の4Gから、いままでにない利用方法が生まれている「5G」。この新しい可能性を持った移動通信サービスだからこそ、それを支えるミライトグループのような通信建設会社も、通信インフラを支える縁の下の力持ちから、5Gを生かした新しい価値を提供するサービスカンパニーに変わっていくことだろう。

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