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カタールワールドカップでも期待されるエンタメ業界でのメタバース活用

2022年11月7日

2022年は「メタバース」と「Web3」という2つの概念が普及することで、テクノロジーによって時代が大きく変化していくターニングポイントになると見られている。ひとことでメタバースといっても、その背景や仕組みは多種多様だ。ゲームコンテンツなどを通して、多くのファンに支えられて発展してきたメタバースもあれば、ブロックチェーンや唯一無二な資産的価値を付与するNFT(非代替性トークン)を使って経済活動を行うメタバースも登場している。今後注目されるのは、大人数を集めたイベント開催やリアル世界の選手の動きをバーチャル空間で再現するスポーツ中継など、エンターテイメント分野で新たな経済効果を生み出そうとしているメタバースだ。

日本のメタバースの普及・活用を支援する団体が続々と発足

日本では2021年12月7日に「一般社団法人日本メタバース協会」が設立され、2022年3月14日には「一般社団法人Metaverse Japan」が設立された。前者の設立の趣旨は「多種多様なメタバース関連ビジネスを応援するサポーターとなり、日本の産業の発展を目指す」となっており、後者は「メタバース領域で、業界や企業の垣根を越えて最先端の情報や世界観を広く共有し、世界に日本の力を解き放つハブとなることを目的とする」となっている。その他にも、養老孟司氏が代表理事を務める「メタバース推進協議会」や、Metaverse Japanとの相互入会を行っている「日本デジタル空間経済連盟」や「バーチャルライツ」などといった団体も、メタバース文化の振興や経済発展の支援などを目的として設立されるなど、この1年間で日本でもメタバースへの期待が高まってきた。

いずれの団体も、メタバースが幅広い分野へ広がっていくことを想定している。例えばMetaverse Japanは、「産業用メタバース」(製造業や各種シュミレーション、XRミーティングを活かした共創ツールといった産業用途のメタバース)、「物理拡張メタバース」(人間とロボットの共通認識を持つデジタル空間やARを活用したメタバース)、「バーチャルSNS」(アバターを通じてユーザー同士の交流や関係性を拡張するメタバース)、「Web3メタバース」(NFT:偽装不可能な通貨や自律分散型組織、分散型金融などと紐付いて改ざんや虚偽を難しくするメタバース)などといったメタバースの形態を想定している。

さらにMetaverse Japanでは、「IP主導メタバース(エンターテイメントメタバース)」として、例えば「ディズニーメタバース」や「ガンダムメタバース」などといった強力なIP(知的財産)が主導するIP完結型のメタバースに注目している。東京ゲームショウや東京ガールズコレクションなどといった、イベント単位のメタバースもIPメタバースの1つと考えており、今後は日本でもエンターテイメント分野でのメタバース活用に注目が集まると見ている。

1000万人が同時に参加できるメタバース上のコンサート

エンターテイメント分野でのメタバース活用について、先行する海外の事例を見てみよう。日本でもKDDIと渋谷区などが組織するプロジェクト「バーチャル渋谷」などによって、メタバース上でのライブが行われているが、海外ではすでに1000万人以上が参加したメタバースライブが開催された。

自社開発のオンラインゲーム「FORTNITE」において、早くからメタ空間を利用したコンテンツ配信やイベント開催に力を入れているEPICは、アメリカの人気DJであるマシュメロ(Marshmello)のコンサートを「FORTNITE」上で行った。

(図1)「FORTNITE」上で行われたマシュメロのメタバースコンサート(出典:マシュメロのYoutube動画より) イメージ
(図1)「FORTNITE」上で行われたマシュメロのメタバースコンサート
(出典:マシュメロのYoutube動画より)

2019年2月2日に開催されたコンサートでは、「FORTNITE」内にブースが設けられ、ユーザーがゲーム内のアバターで参加するという形式だった。当日は世界中から1000万人を超えるユーザーが同時に参加するという、現実世界では実現困難な規模の音楽イベントとなった。

「Twitch」といった生配信プラットフォームでの視聴者数も合わせると、さらに大規模なものであったされ、まさにメタバースを利用したからこそ可能になったエンターテイメントイベントとして、今後は周辺産業の活性化にもいろいろと期待されている。

メタバースでリアルなスポーツ観戦も

エンターテイメント分野でのメタバース活用として、スポーツ観戦にも注目が集まっている。アメリカのプロバスケットボールチーム「ブルックリン・ネッツ」は、ゲーム中のコートの周辺に100台以上のカメラを設置し、多角的に撮影した映像を元に3Dの立体的な映像を作成するメタバース上でのゲーム観戦環境「ネタバース(Netaverse)」の提供を開始した。

(図2)「ネタバース」で繰り広げられるバスケットボールのゲーム(出典:「ネタバース」のYoutube動画より) イメージ
(図2)「ネタバース」で繰り広げられるバスケットボールのゲーム
(出典:「ネタバース」のYoutube動画より)

チーム名とメタバースを掛け合わせて名付けられた「ネタバース」では、ユーザーが仮想空間における試合をあらゆる視点から観戦できる。これによって、選手の活躍を間近で確認できるようになり、没入感の増した新たなスポーツ観戦体験が提供されるようになる。

さらに国際サッカー連盟FIFAも、今年末に開催されるカタールワールドカップや2023年の女子ワールドカップなどで、大会と連動したメタバースを構築するために、オンラインゲームプラットフォーム「ロブロックス」とパートナーシップを締結したと発表。すでに、「ロブロックス」上の没入型バーチャルゲーム環境「FIFA World」を無料でリリースしている。

今後はカタールワールドカップを機に、スポーツ分野でのメタバース活用も一気に加速するかもしれない。

(図3)FIFAが公開したバーチャルゲーム環境「FIFA World」のイメージ(出典:FIFAのYoutube動画より) イメージ
(図3)FIFAが公開したバーチャルゲーム環境「FIFA World」のイメージ
(出典:FIFAのYoutube動画より)

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