一足先にバーチャルで復元される首里城を見に行こう

2022年5月20日

コロナ禍による緊急事態宣言発令から2年が経過するも、いまだに国内の景況の先行きは不透明だ。そんな中でも、JTBが2022年には前年比97%増と予測するなど、国内旅行への期待は高まっている。一方で、コロナ禍によって新たな旅の形態として注目されることになったのが「バーチャルトラベル」だ。海外はもとより国内でも人気観光地に安全に行けるだけでなく、リアルな旅では味わえない体験が可能なバーチャルな旅もいろいろと登場しているようだ。

エンターテイメントの力で沖縄を元気にする「バーチャルOKINAWA」

国内旅行ながら南国のリゾート体験が味わえる沖縄。沖縄発のメタバース「バーチャルOKINAWA」は、コロナ禍の中で訪れることが難しくなっている沖縄観光を遠隔地からでも体感できるようにと、沖縄のIT企業が始めたプロジェクトだ。2021年2月よりクラウドファンディング「バーチャル国際通り奇跡の1マイル再現プロジェクト」を実施し、国際通り商店街をはじめ、さまざまな沖縄の企業や団体の協力によって実現されている。

沖縄県で最も賑やかな通りであり、那覇最大の繁華街として栄える国際通りがある場所は、第2次世界大戦では焼け野原と化した。そこに、人々の心を勇気づけ元気を取り戻そうと終戦から3年後に作られたのが「アーニーパイル国際劇場」という映画館だ。そうやって、沖縄は娯楽の力によって、後に国際通りとなるほぼ1マイルの町が目覚ましい発展を遂げた事実を「奇跡の1マイル」と呼んでいる。

コロナ禍によって旅行が自粛され、観光産業が壊滅的な打撃を受けている危機を、沖縄はもう一度「バーチャルOKINAWA」というエンターテインメントの力を借りて乗り越えようとしているのだ。

(図1)「バーチャルOKINAWA」の国際通り内に再現された「アーニーパイル国際劇場」(左)はアバターが出入りすることも可能。劇場内では沖縄で活躍しているアーティストのライブなどが開催されている(右)。(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用) イメージ
(図1)「バーチャルOKINAWA」の国際通り内に再現された「アーニーパイル国際劇場」(左)はアバターが出入りすることも可能。劇場内では沖縄で活躍しているアーティストのライブなどが開催されている(右)。
(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用)

「バーチャルOKINAWA」では、バーチャル上で配信者と視聴者がリアルタイムにコミュニケーションできるライブコマースを開催して購買や来店を促進したり、イベント告知のためのビラ配りや通販サイトとリンクした購買の拡大、リアルな店舗への物販の誘導など、さまざまな商業活動が行えるようになっている。

参加者同士もアバターで記念撮影をしたり、早朝に集まってラジオ体操を開催しているほか、沖縄で実際に観光ガイドを行っていた人がボランティアでバーチャル上のガイドを務めるなど、人々の気軽な交流の場としても活用されているという。

(図2)「バーチャルOKINAWA」のイベントでは、実在する企業が夜店を出すなどして集客を図っている。(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用) イメージ
(図2)「バーチャルOKINAWA」のイベントでは、実在する企業が夜店を出すなどして集客を図っている。
(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用)

バーチャル空間で一足先に復元される首里城に期待

「バーチャルOKINAWA」は2021年11月、2022年のゴールデンウィークまでに沖縄美ら島財団監修のもとで首里城を復元し、一般公開することを発表した。2019年10月31日に焼失してしまった首里城は、沖縄の歴史を築いてきた琉球王朝を象徴する世界遺産であり、沖縄の代表的な観光名所でもある。そのため早急の復元が望まれているが、ほとんど原型をとどめずに焼失してしまったため、完全に復元するには2026年までかかるようだ。

(写真1)火災の熱によってバラバラになってしまった沖縄の守り神シーサー(左)。首里城の復元には2026年まで待たなければならない(右)。(出典:現地にて撮影) イメージ
(写真1)火災の熱によってバラバラになってしまった沖縄の守り神シーサー(左)。首里城の復元には2026年まで待たなければならない(右)。
(出典:現地にて撮影)

バーチャルトラベルならば、現実世界での復元を待たずに一足先に復元された首里城を観光できる。アフターコロナを見据えた「バーチャルOKINAWA」の狙いは、観光地とバーチャル空間を連携させた体験を展開し、沖縄の観光業の発展と活性化に貢献することだ。

(図3)リアル世界に先駆けてバーチャル世界での公開が待たれる首里城のイメージ。(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用) イメージ
(図3)リアル世界に先駆けてバーチャル世界での公開が待たれる首里城のイメージ。
(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用)

沖縄出身のミュージシャンとのコラボも

その他にも、「バーチャルOKINAWA」では沖縄の美しい海で音楽フェスなどを楽しめるビーチエリアや、リアルタイムで三線ライブを体験できる島唄居酒屋エリアなど、沖縄を感じられるさまざまなメタバース体験空間が開発されている。

2022年2月には、沖縄を拠点に活動するバンド「ORANGE RANGE」が、デビュー21周年を記念した期間限定のミュージアム「ORANGE RANGE 21周年! スーパーウルトラちゅらちゅらミュージアムinバーチャルOKINAWA」をオープン。ミュージアムには、メンバーのコメントやミュージックビデオ、ライブ映像をビーチで体感できる巨大モニター、メンバーと一緒に記念撮影ができるフォトスポット、オフィシャルグッズの他にも、「バーチャルOKINAWA」限定グッズを手に入れられるショップなどがバーチャル空間に用意された。

(図4)「バーチャルOKINAWA」に作られたミュージアム「ORANGE RANGE ?21周年! スーパーウルトラちゅらちゅらミュージアムinバーチャルOKINAWA」。(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用) イメージ
(図4)「バーチャルOKINAWA」に作られたミュージアム「ORANGE RANGE 21周年! スーパーウルトラちゅらちゅらミュージアムinバーチャルOKINAWA」。
(出典:あしびかんぱにーのプレス発表資料より引用)

「バーチャルOKINAWA」の開設当初は、利用するにはパソコンにVRソフトウェアの「VRチャット」をインストールしなければならず、スマートフォンには対応していなかった。そのため、利用できる人が限られることが課題となっていたが、首里城エリアの公開に合わせ、スマートフォンからでも楽しめるように対応を進めている。今後はより多くの人が、気軽にバーチャルトラベルを楽しめるようになることに期待したい。

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