• HOME
  • Beyond X 最前線
  • 東京都心のビジネスエリアとして、東京大丸有地区がスマートシティ化を推進

東京都心のビジネスエリアとして、
東京大丸有地区がスマートシティ化を推進

2023年4月10日

東京駅と皇居の間に位置する東京の大手町・丸の内・有楽町地区では、官民連携を通じたスマートシティ化を推進している。日本経済を牽引する東京都心のビジネスエリアとして、日本で先進的にスマートシティ化を推進し、日本の国際競争力を牽引していく計画だ。

千代田区、東京都、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会の3者で組成される「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」は、2020年3月25日に「スマートシティビジョン・実行計画」を策定し、官民連携を通じたスマートシティ化を推進している。

大丸有地区が目指すまちづくり

東京の大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有地区)は、東京駅と皇居の間に位置し、120haの区域に約28万人・およそ4,300社の企業が集積している。日本経済を牽引する東京都心のビジネスエリアとして、日本で先進的にスマートシティ化を推進し、日本の国際競争力を牽引していく計画だ。

同コンソーシアムは、まちづくりとして、9つの目標を定めている。そして、「データ利活用型エリアマネジメントモデル」を確立し、他のまちでも展開が可能となることを目指している。具体的には、デジタルと都市を融合し、都市のリアルタイムデータを収集することで、従来は経験則等で判断してきた部分も含めて、データに基づいた意思決定を行う「エリアマネジメントのデジタルトランスフォーメーション(DX)モデル」を構築していくという。

大丸有地区のまちづくりの目標(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」) イメージ
大丸有地区のまちづくりの目標
(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」)
都市のアップデートの方向性(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」) イメージ
都市のアップデートの方向性
(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」)

データ利活用推進による機会増加(総就労時間の1%)経済効果は、年間645億円を見込んでいる。

大丸有スマートシティの取り組みの全体像(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」) イメージ
大丸有スマートシティの取り組みの全体像
(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」)

これらを実現するため、都市のデータを活用するための基盤として「大丸有版都市 OS」を構築し、その上でデータを可視化・分析するための「都市の 2D/3D モデル」(デジタルマップ・デジタルツイン)、都市のデータを可視化する「ダッシュボード」、都市のリ・デザイン等を検討する「シミュレーター」等を提供する。都市のデータをダッシュボード上で可視化・分析したり、シミュレーター上で実験したりすることにより、データに基づくエリアマネジメントを可能にする。

都市のデータを可視化する「ダッシュボード」 イメージ
都市のデータを可視化する「ダッシュボード」

さらに、蓄積した都市データを新たなサービス創出につなげるデータの司書機能「データライブラリ」も実装する。

「データライブラリ」 イメージ
「データライブラリ」
データ利活用技術の全体構成(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」) イメージ
データ利活用技術の全体構成
(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」)

さまざまな実証実験を実施

同地区では、これまでさまざまな実証実験やアプリの提供を行ってきた。

2020年には、電動キックボードの公道走行による実証実験を行い、より迅速・快適なラストワンマイルの移動のサポートや電動キックボードの公道走行についての安全性や社会受容性などの検証だけではなく、移動の利便性とエリア内外の回遊性向上の検証を行った。

また、2021年3月には、自動運転モビリティの実証実験を行い、大丸有地区のワーカーを中心に、「どのような場面において自動運転モビリティを利用したいと思うのか」や「歩行者と至近距離で移動する自動運転モビリティに親近感を感じるのか」などのアンケートを実施して、社会受容性を検証した。

丸の内仲通りを走行する自動運転モビリティの様子(出典:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会・BOLDLY) イメージ
丸の内仲通りを走行する自動運転モビリティの様子
(出典:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会・BOLDLY)

2021年9月には、都市活動から生まれるデータを可視化するツール 「Area Management City INDEX(AMCIアムシー )」をWEB サイトで公開(https://amci.tokyo-omy-w.jp/)した。

AMCIは、大丸有地区で働くワーカーや街を訪れる人々、エリア内の企業が取り組んでいるSDGsアクション等の活動を、国土交通省「PLATEAU」が提供する3D都市モデルを用いて可視化するビジュアルコミュニケーションツール。解像度の高い都市活動データを用いたビジュアライゼーションにより、エリアマネジメント活動への参加を促すとともに、将来的にはさまざまなデータの重畳や3D上での活動・コミュニケーションなど、効果的なシティプロモーションツールを目指していく。

「Area Management City INDEX(AMCIアムシー )」 イメージ
「Area Management City INDEX(AMCIアムシー )」

2021年12月15日には、エリアの就業者・来街者に向けてエリアのイベント情報やモビリティ情報を一括して提供可能とするアプリ「Oh MY Map!」をリリースした。

「Oh MY Map!」では、大丸有スマートシティの取り組みで構築を進める大丸有版都市OSとMaaSデータ統合基盤を連携・統合することで、エリアの施設情報やイベント情報と東京メトロや丸の内シャトル、自動運転バスをはじめとする交通の運行情報、電動キックボードのポート情報やドコモ・バイクシェアのシェアサイクルステーション情報を1つのアプリのMap上で閲覧を可能にした。

これらの情報をユーザーに提供することで、魅力的なラストハーフマイルエリア(目的地または現在地から約800m圏)が、連担・凝縮するエリアを構築し、エリア内の回遊性向上や都市活動・滞在を促進する。また、評価・分析ダッシュボードの構築を通じて交通やエリアサービスの利用実態を把握・分析し、今後のエリアマネジメント活動に活かしていく。

また、「Oh MY Map!」は、2022年9月からスムーズ地下・防災バージョンの提供を開始し、写真で段差がある場所等の情報を確認できるようにした。このバージョンでは、雨の日でも濡れないルートをマップ上で認識でき、地下から地上への出口を視覚的に強調し、出入り口が直感的にわかる工夫をするなど、空間位置情報を最適な形で提供する。

今後は、官民連携で実証実験している災害ダッシュボードとの連携により、リアルタイムな災害時における情報提供へのアクセスポイントとしての活用も予定している。

「Oh MY Map!」 イメージ
「Oh MY Map!」

2022年1月には、丸の内仲通りにて屋内外を結合した3Dデジタルマップによるロボット走行環境形成の実証実験を実施。実験中は、丸の内仲通りアーバンテラスに設置された指定のテーブルより、スターバックス コーヒー 丸の内三菱ビル店への遠隔注文が可能となり、注文した商品をロボットがテーブルまで配送。大丸有エリアで働くワーカーや、来街者を中心に約100人が、屋外のテラス席にいながら屋内店舗への遠隔注文とロボットによる配送を体験した。

2022年12月は、丸の内仲通りや行幸通り等の公道を含むエリアにて、ロボット単独での走行・販売実証実験を実施。実証実験期間中は、完全遠隔監視・操作型自動搬送ロボットが、丸の内仲通りや行幸通り等の公道を含む指定ルートを巡回しながら、特定の販売地点において停止し、無人でカプセルトイや飲料などを販売した。

ロボット単独での走行・販売実証実験(出典:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会) イメージ
ロボット単独での走行・販売実証実験
(出典:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)

2023年2月には、丸の内仲通りにて新しい低速自動走行モビリティの公的空間における走行実現性および移動の体験価値に関する実証実験を実施。これは改正道路交通法の新車両区分「遠隔操作型小型車」への認定を見据えた公道での試験走行という位置づけで行った。

実証の結果、歩道や建物内貫通通路等の公的空間において、人とモビリティが共存する景観に対する社会受容性や安全性や走行実現性があることを確認した。また、実証実験を通して、低速走行ならではのまちの空気感を味わい、ドリンクスポットと連携する移動体験価値、モビリティに自由に乗り降りし移動の利便性を高める価値が確認できたという。

低速自動走行モビリティによるまちづくりに向けた実証実験(出典:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会・ゲキダンイイノ) イメージ
低速自動走行モビリティによるまちづくりに向けた実証実験
(出典:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会・ゲキダンイイノ)

同地区では、データ利活用の基盤となる仕組みについては早期構築を目指し、2023年に概ね実装、2025年に定常稼働を目指すという。

実装に向けたロードマップ(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」) イメージ
実装に向けたロードマップ
(出典:「大手町・丸の内・有楽町地区スマート シティ推進コンソーシアム」)

「未来図メディア」メールマガジン登録

5G×IoTの最新情報やイベント・セミナー情報を
いち早くお届けします。

ミライト・ワンのソリューションに関するご質問、ご相談など
ございましたらお気軽にお問い合わせください。

ページトップへ