睡眠で健康経営をサポートするソリューション

2023年5月15日

昨今の少子高齢化やそれに伴う健康保険の医療費負担増などを背景に、企業は健康経営に一層注力している。健康経営の実践には、従業員に対する運動促進や栄養管理、禁煙の励行などさまざまな取り組みが考えられるが、そのような個別の取り組みを支援するソリューションもいろいろと登場してきた。

睡眠に着目した健康経営の検証サポート

ブレインスリープとユーグレナは共同で、ミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティ「MINDS(Millennial Innovation for the Next Diverse Society)」が推進する、睡眠に着目した健康経営の検証サポートを実施すると発表した。睡眠は人生の1/3を占める、生物にとって欠かせない生理的欲求であり、不十分な睡眠は、疲労感やストレスによる集中力や判断力低下に伴う生産性低下を招くだけでなく、生活習慣病やメンタルヘルス、重大疾病の誘発など、健康経営を目指す企業にとっても悪影響をもたらすと見られている。

一方、MINDSは「業界、会社の枠を超えて多様性ある働き方を日本社会に浸透させる」ことをビジョンに、製造や金融、運輸、食品、ITなどの異業種企業に所属するミレニアル世代の社員が集まって設立されたコミュニティだが、健康経営における重要な要素として「睡眠」に着目している。MINDSでは今回の検証を通じて、日々の行動変容が睡眠およびビジネスパフォーマンスに及ぼす影響を検証することで、新しい働き方を発信するという。

睡眠状態の評価には、睡眠習慣や睡眠負債など睡眠状態を直接判定する項目に加えて、生産性やストレスの程度、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなどを総合的にスコアリングする「睡眠偏差値」という手法が用いられる。さらに、睡眠研究を基に独自開発したアルゴリズムを取り入れたデバイス「ブレインスリープ コイン」を活用し、これまでの睡眠計測デバイスでは計測できなかった「睡眠ステージ(睡眠の深さ)」「寝姿勢」「いびき/環境音」「寝床内温度(布団の中の温度)」も明らかにするという。

(図1)ブレインスリープが提供する睡眠状態の評価方法(出典:MINDのプレスリリースより)
(図1)ブレインスリープが提供する睡眠状態の評価方法
(出典:MINDのプレスリリースより)

入浴で健康経営をサポートするソリューション

アジケは、企業や自治体・行政向けに入浴習慣を通して健康経営・働き方改革をサポートする「Onsen* for Biz 健康増進」の提供を開始した。生活習慣病予防の重要性が高まる中、日常の延長線上で予防に取り組める入浴習慣に着目。健康状態を見える化して把握しながら、利用者のサポートが行えるサービスを提供するという。

「Onsen* for Biz 健康経営」では、毎日の入浴習慣を起点に健康やセルフチェックを提供する専用アプリとダッシュボードが提供される。アプリ内では、「ぐっすり眠りたい」「生活リズムの崩れにより自律神経が乱れている」「リラックスしたい」「自宅でも汗をかきたい」「女性の悩みを解決したい」など日常生活の悩みを解決する「入浴レシピ」と呼ばれるコースを実践。また、入浴の達成度をグラフなどで確認しながら、身体を温める健康習慣が実践できる健康増進機能を提供。入浴だけではなく、睡眠・運動の活動状況を把握したり、ストレス状態がチェックできる。

開発中の「お風呂を通した健康経営ダッシュボード」では、とても見やすく、アプリを通して健康活動データを自動で分析することができる。生活習慣病の予防支援の成果やリスクを可視化するとともに、ストレス状況やヘルスケアにおける課題が素早くつかめるようになる。

(図2)「Onsen* for Biz 健康増進」による健康経営サポートの事業概要(出典:アジケのプレスリリースより)
(図2)「Onsen* for Biz 健康増進」による健康経営サポートの事業概要
(出典:アジケのプレスリリースより)

ウェルビーイングの向上を目的とした実証実験

健康経営では、肉体と精神面、さらに社会的な面でも満たされるように組織の環境を整え、社員の意欲やエンゲージメントを高める「ウェルビーイング」が注目されている。心身ともに健康で仕事に熱意を持つ社員が増えれば、生産性の向上や離職の防止、経営コストの削減、企業価値の向上などが期待できる。そこで、キリンビバレッジと大和ライフネクスト、Social Healthcare Design(SHD)は、大和ライフネクストの社員約60人を対象に、個々の従業員のウェルビーイング向上および組織パフォーマンス向上の実現を目的とした実証実験を2023年2月末から5月末まで実施すると発表した。

今回の実証実験では、大和ライフネクストとSHDが2021年9月に実施した「ウェルビーイング状態の可視化の取り組み」に、「ウェルビーイング状態を高めるための具体的取り組み」を掛け合わせた新たなプログラムを実施。キリンビバレッジは、健康経営トータル支援サービス「KIRIN naturals」のコンテンツ活用を通じて具体的な取り組み施策の支援を行うと同時に、実証実験で得る「可視化」の知見を「KIRIN naturals」の拡大に生かし企業の健康経営を推進する。また、従業員のココロ・カラダ・キズナの健康状態を継続的に可視化するには、SHDが開発したアプリ「Happiness Book」が活用される。

(図3)SHDが開発したアプリ「Happiness Book」による解析結果のイメージ(出典:キリンホールディングスのプレスリリースより)
(図3)SHDが開発したアプリ「Happiness Book」による解析結果のイメージ
(出典:キリンホールディングスのプレスリリースより)

日頃から従業員の心身の健康状態が把握できるソリューション

「働き方改革」への取り組みが進む一方で、コロナ禍の影響によって多くの企業がテレワークを導入するなど、時間や場所にとらわれない働き方が浸透している。一方で、企業にとっては従業員の管理が難しくなるなどの新たな課題も浮上している。健康経営を実践する企業にとっては、従業員の毎日の体調や勤務形態を把握しておくことも重要だ。そうした課題の解決に向け、ミライト・ワン・システムズでは従業員の心身の健康状態が日々確認できる、コンディションレポーティングシステム「コンレポ」を提供している。

「コンレポ」は、従業員がスマートフォンを使った簡単な操作で勤務状況や体調、心のコンディション状況を入力、システムが自動的に集計・管理する。管理者は「コンレポ」にアクセスすることでCSV形式で集計されたデータを素早く入手でき、従業員の体調やメンタルヘルス、勤務場所などの状況を把握することができる。

体調不良報告については、あらかじめ設定してある直属のマネージャーに自動通知される機能もあるなど、利用する企業のニーズに合わせたカスタマイズも可能なので、規模を問わず健康経営をめざすさまざまな業態の企業をサポートするソリューションとなっている。

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