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まちづくりの成功事例から学ぶ
東京都南大沢のスマートシティプロジェクト

2023年4月24日

デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京」の実現に向け、東京都は南大沢地区(八王子市)を西新宿、都心部(大手町・丸の内・有楽町)、ベイエリア、島しょとともに先行実施エリアと位置づけ、さまざまな実証実験を行っている。

南大沢地区でこの取り組みを推進していくため、東京都は東京都立大学、八王子市、地元企業及び通信事業者等の産学公連携により「南大沢スマートシティ協議会」を令和2年10月27日に設立した。

スマート東京の全体像(出典:東京都) イメージ
スマート東京の全体像(出典:東京都)

東京都 都市整備局 市街地整備部 企画課長 池田 中(あたる)氏は、「南大沢は多摩の丘陵地で比較的高低差が大きいという特徴があります。最近は、高齢者の方が増えていますので、移動の負担が課題になっています。また、駅からバス停まで、団地からバス停までの距離もあり、アクセスも課題になっています。まちの賑わいに関しては、イベント等も駅前で行っていますが、情報発信が不十分な面があります。駅前にはアウトレット施設があり、土日は人出も多いのですが、駅前に留まってしまっています。また、周辺には多くの公園や観光施設もあり、回遊性をどう高めていくかも課題になっています」と語る。

東京都 都市整備局 市街地整備部 企画課長 池田 中(あたる)氏 イメージ
東京都 都市整備局 市街地整備部 企画課長 池田 中(あたる)氏

南大沢地区は、5Gと先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装を実施し、最先端技術の研究とICT活用を図りながら、持続可能なスマートシティの確立を目指している。対象範囲は、京王線の南大沢駅から半径1.5kmの範囲だ。

南大沢地区で実現するサービスや技術(出典:南大沢スマートシティ協議会) イメージ
南大沢地区で実現するサービスや技術
(出典:南大沢スマートシティ協議会)

「南大沢スマートシティ協議会」では、「モビリティ」、「まちの賑わい」、「情報その他」をテーマに3つの部会を設置し、それぞれの分野の課題抽出。最先端技術を活用した対策の検討、社会実装を見据えた実証実験などを行っている。

令和2年度および3年度の実証実験(出典:南大沢スマートシティ協議会) イメージ
令和2年度および3年度の実証実験
(出典:南大沢スマートシティ協議会)

「モビリティ部会」は、移動の視点から誰もがアクセスしやすい南大沢の実現を目指す部会だ。南大沢地区は丘陵地のため高低差があり、高齢者等には負担が大きく、電車やバスのアクセスが不便という課題があり、これらを解決しようとしている。対策としては、MaaS(Mobility as a Service)、電動シェアサイクル、電動キックボード、自動車椅子、自動運転バス・自動車、オンデマンドタクシーなどを検討している。

「まちの賑わい部会」は、駅前と周辺地域を回遊することで人々の流れを活発化させ、多様な交流と連携を促進する機会や場の創出を目指す部会だ。買い物時の課題としては、買ったものを持ち運ぶのが大変、お店の情報がよくわからないといったものがあり、対策として、自動運搬車や無人宅配ロボット、デジタルサイネージ、アバターロボット、駐車場や店舗の混雑状況の提供等を考えているという。

そして「情報・その他部会」は、モビリティやまちの賑わい等のサービスを支える汎用的なインフラ基盤の実装を目指す部会だ。期待されるサービスとしては、AIカメラによる見守り、3Dマップを活用したARナビ、リアルタイムの災害情報提供、遠隔診療、サテライトオフィス、再生可能エネルギーなどの要望が上がっている。
令和4年度には電動キックボード、デジタルサイネージ、ARナビの3つの実証プロジェクトを実施。令和4年11月25日~12月2日の期間に 、これらのプロジェクトを体験できるイベント「南大沢スマートシティウィーク」を開催した。

電動キックボード(出典:BRJ) イメージ
電動キックボード(出典:BRJ)
ARナビ(出典:南大沢スマートシティ協議会) イメージ
ARナビ(出典:南大沢スマートシティ協議会)

東京都では、これらの実証実験の結果を踏まえ、サービスや技術を令和5年度から順次、社会実装していく予定だ。

実装に向け池田氏は、「実証してみていろいろなことがわかり、実施してみたらうまくいかなかったということもありました。利用者の声を聞きながら協議会にフィードバックし、事業性、利用状況を確認し、効果検証しながら実装に結び付けていきたいと思っています。実装は令和5年度からという計画になっていますが、すでに実装化しているものもあり、できるところから始めています。電動キックボードやデジタルサイネージ、ARナビも実装に向け調整しています。実装する上では、住民の方の利便性やQOL(Quality of life)の向上が一番大事だと思っています」と語った。

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