「EV・PHVタウン」に向けた神奈川県が取り組む推進施策とは

2023年10月16日

低炭素社会の実現に向け、経済産業省は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)の本格普及に向けた、実証実験のためのモデル事業である「EV・PHVタウン」構想を進めている。

平成21年3月31日に、神奈川県は、第一期「EV・PHVタウン」の広域実施地域に選定されている。そこで、具体的にEVやPHVの普及に向け、神奈川県がどのような取り組みを実施しているのかを紹介する。なお、補助金の中には、すでに受付を終了しているものあり、自身で利用する場合は、制度の確認をした上での利用をお願いしたい。

電気自動車の普及に向けた取り組み

神奈川県では、電気自動車の普及に向けた取り組みとして、EV導入費補助金の支給や電気自動車等の導入に際しての中小企業向け融資、EV・FCV認定カードの提供を行っている。

EV導入費補助金では、EVまたはPHVを導入する経費の一部を補助している。国内規格に準拠した充電と給電の両方が可能なEVまたはPHVが対象で、給電は、外部給電器及びV2H充給電設備(Vehicle to Home:EV等から家庭に電力を供給できる設備)を経由して電力を取り出すことができるものとなっている。補助は車両本体の購入に係る経費に対して行われ、補助対象経費の3分の1または補助上限額20万円のいずれか低い額となる。

次世代自動車振興センターの資料( https://www.cev-pc.or.jp/tokei/koufu.html )によれば、2021年度の神奈川県の補助金交付台数は、EVが1,719台、PHVが1,187台で、いずれも東京都、愛知県に次ぐ全国3位となっている。

また同県では、CO2削減効果が大きい事業用EV(EVバス、EVトラック、EV軽トラック、EVタクシー)を導入する経費の一部も補助している。申請ができるのは、バス事業、トラック事業、タクシー事業に供する事業用EVの所有者となる法人または個人事業者。補助額は、補助対象経費に車両別の補助率を乗じた額、車両別の補助上限額、国の補助金を受ける場合は、補助対象経費から国の補助金の補助額を控除した額の3つのうち、いずれか低い額となる。補助率および上限額は下記の通りだ。

・EVバス:3分の1(1,500万円)
・EVトラック:4分の1(500万円)
・EV軽トラック:定額の20万円
・EVタクシー:3分の1(100万円)

中小企業向け融資では、EV、FCV及び電気自動車の充電設備を導入する中小企業者(NPO法人を含む)及び協同組合等に対して、8,000万円(協同組合等は1億2,000万円)を限度に融資を実施する。

EV・FCV認定カードは、EVまたはFCVを所持する人に交付。 認定カードを提示することで、一部の県立施設等の有料駐車場で50%程度の料金割引が受けられる制度だ。2023年4月現在、対象の駐車場は神奈川県に25カ所ある。

充電インフラの整備については、電気自動車等(EV・PHV)及び太陽光発電システムと併せて新たにV2H充給電設備を導入する事業やEV充電設備整備費に対して補助を行っている。

V2H充給電設備の補助は、V2H充給電設備の導入に係る設備費に対して実施され、金額は補助対象経費に3分の1を乗じた額、25万円、補助対象経費からV2H充給電設備本体に対する国の補助金の額を控除した額のいずれか低い額となる。

EV充電設備整備費に対する補助には、マンションやアパートなど共同住宅を対象にする補助(一戸建ての住宅に整備する場合は、補助の対象外)と、バス事業、トラック事業、タクシー事業またはレンタカー事業など、運送事業向けの補助がある。

共同住宅向けの補助金は、共同住宅専用の駐車場または居住者の用に供する駐車場設置工事に対するもので、EV普通充電設備、充電用コンセントスタンドが上限15万円、充電用コンセントが上限10万円だ。

運送事業向けの補助対象経費は、EV普通充電設備等の設備費と設置工事費で、補助金額は共同住宅向けと同じになっている。

燃料電池自動車の普及に向けた取り組み

燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みでは、車両本体の購入に係る経費を補助しており、補助額は補助対象経費の3分の1または補助上限額100万円のいずれか低い額だ。電気自動車と同様、中小企業向け融資やEV・FCV認定カードの交付も行う。

充填インフラへの支援も行っており、FCVの普及に不可欠な水素ステーションの整備に対して、設備機器費、設計費、設備工事費、工事負担金、経費・管理費3,500万円を上限に補助を行っている。なお、定置式水素ステーションが設置されていない市町村に新たに整備する場合、または大型事業用車両への充填が可能な水素ステーションの補助上限は、1件あたり4,200万円となる。

神奈川県は、水素エネルギー・燃料電池自動車のPR用動画を作成し、啓蒙活動も行っている(出典:神奈川県) イメージ
神奈川県は、水素エネルギー・燃料電池自動車のPR用動画を作成し、啓蒙活動も行っている
(出典:神奈川県)

神奈川県次世代自動車充電インフラ整備ビジョン

なお、神奈川県は充電インフラ整備について「神奈川県次世代自動車充電インフラ整備ビジョン」を作成し、これに沿って支援している。

整備の基本的考え方として、充電設備は「経路充電」と「目的地充電」の2つの方向性を示している。

経路充電では充電渋滞を抑え、利便性を向上させるため、充電渋滞が見込まれる場所へ新たに整備する。重要な防災拠点となり得る道の駅などを想定している。

目的地充電は、大規模な集客が見込める観光地で、テーマパークやショッピングセンターなどの施設に整備する。

ビジョンの要件には、公共性等の要件、設置場所等の要件があり、すべてを満たすこととしている。

公共性等の要件は、下記の4つである。

①充電設備が公道に面した入口から誰もが自由に入れる場所にあること
②充電設備の利用を他のサービス(飲食等)の利用または物品の購入を条件としていないこと
③利用者を限定していないこと
④充電場所を示す案内看板を道路標識等の視認に支障がない範囲で設置する

設置場所等の要件は、神奈川県ビジョンで定める充電設備設置場所、充電器の種類、設置箇所数の要件を満たすこととなっている。

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