【令和7年】データセンターに関する補助金10種類を一覧で解説

2025年6月23日

AIの普及やデジタル社会への進展により、データ量が急速に増加する中、データセンターの重要性が高まっている。一方で、都市部への立地集中や、消費電力の増加などの事態が発生し、政府や自治体は課題解決に向けて補助金制度を整備している。

本記事では、令和7年におけるデータセンター関連の補助金10種類を紹介する。総務省や自治体の情報も一覧表でまとめているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

【はじめに】データセンターとは

【はじめに】データセンターとは イメージ

データセンターは、行政サービスや金融システム、クラウドサービスをはじめとする、現代社会を支えるさまざまな情報基盤を運用・管理する施設である。その重要性から、「社会インフラのインフラ」と呼ばれることがある。

近年、AIの普及や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速により、取り扱うデータ量が急速に増加している。それに伴い、大容量のデータを安全かつ効率的に保管・処理できるデータセンターの需要が高まっている。

国内におけるデータセンター市場は拡大を続けていて、現時点(2025年5月)では関東地方に立地が集中している傾向が見られる。しかし、自然災害や障害の発生などが原因でデータセンターが停止した場合、行政機能や医療機関、交通網、さらには企業のクラウドサービスなど、広範なインフラへ影響が及ぶリスクがある。そこで、リスク分散の観点から、データセンターの地方分散が政府によって推進されている。

また、データセンターの運営においては、計算処理や機器の冷却に伴う電力量の増加も深刻な課題の一つとなっている。消費電力量を減らすために、より高効率な設備や技術の導入が求められている。

このような背景を踏まえ、国や一部の自治体では、データセンターの導入や設備投資などに関する補助金制度を設けている。次では、具体的な補助金制度の概要を紹介する。

なお、以下の記事ではデータセンターの現状や課題、最新の冷却技術について解説しているので、あわせてチェックしてみてほしい。

関連リンク
データセンターの現状と課題を徹底解説!最新の冷却技術や方法も紹介

【令和7年】企業のデータセンターに関する補助金10種類を一覧でチェック

ここでは、国や自治体が実施する補助金について一覧表で見てみよう。なお、各補助金の詳細については、次で紹介する。

実施元 補助金の名称 概要
環境省 データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業 対象:新設に伴う再エネ設備・蓄エネ設備・省エネ設備等の導入について取り組む民間事業者・団体等
補助率:1/3
期限:要問い合わせ
総務省 データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業 対象設備:データセンター、国内海底ケーブル(太平洋側以外のものに限る)、海底ケーブル陸揚局、国際海底ケーブル分岐支線・分岐装置等 (房総・志摩以外に陸揚げされるものに限る)
補助率:データセンターは1/2
期限:第1回公募は2022年6月10日で終了
東京都 データセンター高効率化実装促進事業 対象:都内に本店または支店・営業拠点を有する法人、または都内でデータセンターの高効率化に向けた先駆的な技術・サービスのモデル構築のための取り組みを行う法人、または都が必要と認める者等
補助額:大規模の場合では1事業につき2億5,000万円、中小規模では5,000万円
期限:2025年4月25日〜5月9日17:00
北海道 北海道産業振興条例に基づく企業立地の促進を図るための助成措置 対象業種:札幌市を除く全道で行う再生可能エネルギー活用型データセンター事業
補助額:新設では15億円、増設では5億円が限度
補助率:新設では10%、増設では5%
期限:工事着手の90日前から工事着手する日までに立地計画の認定申請を行う
札幌市 札幌圏設備投資促進補助金 対象施設:製造業、情報通信業、運輸業、卸・小売業、学術研究・専門・技術サービス業のデータセンター等
補助額:札幌市内で新設の場合、5億円〜10億円が限度額
補助率:固定資産税課税標準額×10%〜20%
期限:家屋の着工・取得・賃貸借契約前の申請
石狩市 石狩市地域未来投資促進条例に基づく優遇措置 対象:①再生可能エネルギー利用設備・機器の設置、②ハウジングに伴う設備・サーバー等の新設・増設で投資額が1億円以上
補助額:①限度額5,000万円、②固定資産税額・都市計画税額を半額免除(3年間)
補助率:①投資額の1/2、②記載なし
期限:要問い合わせ
仙台市 ソフトウェア業・デジタルコンテンツ業・データセンター立地促進助成金 対象:通信回線およびコンピュータを用いて顧客の提供データを集約的に管理し、かつデータ処理システムの構築・運用等について付加的な価値の提供を行うデータセンター
補助率:新規投資に係る固定資産税等相当額の100%(限度額なし・3年間)
期限:事業着手の30日前までに交付指定申請書を提出
石川県 データセンター立地促進補助金 対象:データセンター
補助額:新設は5億円〜10億円、増設は2億円〜5億円
補助率:新設は10%〜25%、増設は7.5%〜15%で、地域によって異なる
期限:要問い合わせ
奈良県 データセンター立地促進補助金 対象:着工日から起算して3年以内に運用を開始し、その他3つの要件すべてを満たす企業
補助額:2億円が限度額
補助率:固定資産投資額の5%
期限:原則として着工する日の60日前まで
徳島県 情報通信関連事業立地促進補助制度 対象:地元で新規雇用される者が、操業開始日から1年以内に10人以上である新設データセンター事業
補助額:①地元の労働者を雇用した場合は1人につき70万円、②専用通信回線使用料は〜2,000万円、③事業所賃料は〜2,000万円、④投下固定資産は〜2,000万円 等
補助率:①は設定なし、②専用通信回線使用料は1/2、③事業所賃料は1/2、④投下固定資産は1/5 等
期限:事業所の設置工事に着手する30日前
※2025年5月時点の情報を掲載。

環境省|データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業

環境省は総務省と連携し、「データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業」を実施している。これは、データセンターの脱炭素化支援を推進するための事業であり、再生可能エネルギーを活用して災害時でも運用を継続させたり、データセンターの地方分散を推進したりすることで、デジタル社会とグリーン社会の同時実現を目的としている。

同事業では、主に以下の3点について支援を行う。

  • 1.新設に伴う再エネ設備・蓄エネ設備・省エネ設備等導入
  • 2.既存データセンターの再エネ・蓄エネ設備等導入および省エネ改修
  • 3.省エネ性能が高く、地域再エネの効率的な活用も期待できるコンテナ・モジュール型データセンターの設備等導入

▼データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業の概要

対象:上記3点について取り組む民間事業者・団体等
補助率:1/3
期限:要問い合わせ
URL:データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
※令和7年度以降の公募は公式サイトをご確認ください。

総務省|データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業

総務省による「データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業」は、大規模震災発生時における経済安全保障の観点から、国内外のデータを安全・安心に保管・処理するために、事業者によるデータセンター等の整備を支援する目的で設立された。

データセンターに関しては2022年で第1回の公募が締め切られたが、総務省のサイトによると、第3回以降の公募が継続される予定となっている。今後の詳細については、基金設置法人である「一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会」の公式サイトをチェックしてみてほしい。

▼データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業の概要

対象設備:データセンター、国内海底ケーブル(太平洋側以外のものに限る)、海底ケーブル陸揚局、国際海底ケーブル分岐支線・分岐装置等 (房総・志摩以外に陸揚げされるものに限る)
補助率:データセンターは1/2
期限:第1回公募は2022年6月10日で終了
※第3回以降の公募は公式サイトをご確認ください。

東京都|データセンター高効率化実装促進事業

東京都による「データセンター高効率化実装促進事業」は、生成AIの普及に伴う電力需要の増加を踏まえ、データセンターの省エネ・効率化を促進し、先駆的な技術やサービスモデルの構築を支援するために設けられている。

上限金額は事業の規模に応じて異なり、設備の導入や改修等を伴う大規模の場合では、1事業につき2億5,000万円、設備導入や運用改善、ソフトウェア開発によるエネルギーマネジメントの中小規模では5,000万円となっている。

▼データセンター高効率化実装促進事業の概要

対象:都内に本店または支店・営業拠点を有する法人、または都内でデータセンターの高効率化に向けた先駆的な技術・サービスのモデル構築のための取り組みを行う法人、または都が必要と認める者等
補助額:大規模の場合では1事業につき2億5,000万円、中小規模では5,000万円
期限:2025年4月25日〜5月9日17:00
※今後の公募は公式サイトをご確認ください。

北海道|北海道産業振興条例に基づく企業立地の促進を図るための助成措置

北海道では、企業立地助成制度として、「北海道産業振興条例に基づく企業立地の促進を図るための助成措置」を設けている。これは、北海道の経済構造を転換させることを目的とし、企業立地の促進や中小企業の競争力強化に関する条例に基づき取り組みが進められている。

データセンターに関しては、再生可能エネルギー活用型データセンターの新設または増設等に必要な投資額が対象となる。

▼北海道産業振興条例に基づく企業立地の促進を図るための助成措置の概要

対象業種:札幌市を除く全道で行う再生可能エネルギー活用型データセンター事業
補助額:新設では15億円、増設では5億円が限度
補助率:新設では10%、増設では5%
期限:工事着手の90日前から工事着手する日までに立地計画の認定申請を行う

札幌市|札幌圏設備投資促進補助金

札幌市は、データセンターや工場、試験研究開発施設等、札幌圏内で施設を設置するための補助金「札幌圏設備投資促進補助金」を提供している。補助は、製造業や情報通信業などの企業が、札幌市内にデータセンターを新設または増設、市内移転する場合等に利用できる。

▼札幌圏設備投資促進補助金の概要

対象施設:製造業、情報通信業、運輸業、卸・小売業、学術研究・専門・技術サービス業のデータセンター等
補助額:札幌市内で新設の場合、5億円〜10億円が限度額
補助率:固定資産税課税標準額×10%〜20%
期限:家屋の着工・取得・賃貸借契約前の申請

石狩市|石狩市地域未来投資促進条例に基づく優遇措置

石狩市は、石狩市域に企業等を新設・増設した企業を対象に、「石狩市地域未来投資促進条例に基づく優遇措置」を実施している。補助の対象となるには、データセンター事業者の場合、再生可能エネルギーを利用した設備・機器の設置が必要な要件となる。他にも、ハウジングに伴う設備・サーバー等の新設・増設も補助の対象となる。

▼石狩市地域未来投資促進条例に基づく優遇措置の概要

対象:①再生可能エネルギー利用設備・機器の設置、②ハウジングに伴う設備・サーバー等の新設・増設で投資額が1億円以上
補助額:①限度額5,000万円、②固定資産税額・都市計画税額を半額免除(3年間)
補助率:①投資額の1/2、②記載なし
期限:要問い合わせ

仙台市|ソフトウェア業・デジタルコンテンツ業・データセンター立地促進助成金

仙台市は、「ソフトウェア業・デジタルコンテンツ業・データセンター立地促進助成金」を実施している。補助の対象となるには、投下固定資産相当額が3,000万円以上のデータセンターで、土地の月額貸借料(上限)が500円/平方メートル、建物の月額貸借料(上限)が8,000円/平方メートルであること等が、主な要件として定められている。

▼ソフトウェア業・デジタルコンテンツ業・データセンター立地促進助成金の概要

対象:通信回線およびコンピュータを用いて顧客の提供データを集約的に管理し、かつデータ処理システムの構築・運用等について付加的な価値の提供を行うデータセンター
補助率:新規投資に係る固定資産税等相当額の100%(限度額なし・3年間)
期限:事業着手の30日前までに交付指定申請書を提出

石川県|データセンター立地促進補助金

石川県は、「データセンター立地促進補助金」を実施している。投資額は新設・増設ともに5,000万円以上で、常時雇用者数5人以上が主な要件となっている。対象経費には、土地や建物、機械設備の取得費、リース料、移転費、賃借料等が含まれる。

宝達志水町以北の能登地域や加賀市、白山市、かほく市、河北郡等を立地地域として検討している場合において、補助金を受けられる可能性がある。

▼データセンター立地促進補助金の概要

対象:データセンター
補助額:新設は5億円〜10億円、増設は2億円〜5億円
補助率:新設は10%〜25%、増設は7.5%〜15%で、地域によって異なる
期限:要問い合わせ

奈良県|データセンター立地促進補助金

奈良県は、「データセンター立地促進補助金」を実施している。データセンターを立地する企業で、着工日から起算して3年以内に運用を開始し、以下の要件をすべて満たす場合、この補助金を申請できる。

  • 1.固定資産投資額(土地以外)が5億円以上
  • 2.県内新規常用雇用者が10人以上
  • 3.県内総従業者数が10人以上

▼データセンター立地促進補助金の概要

対象:着工日から起算して3年以内に運用を開始する、上記3つの要件すべてを満たす企業
補助額:2億円が限度額
補助率:固定資産投資額の5%
期限:原則として着工する日の60日前まで

徳島県|情報通信関連事業立地促進補助制度

徳島県は、「情報通信関連事業立地促進補助制度」を設けている。補助の対象となるのは、新設予定のデータセンターで、新規雇用される地元の者が、操業開始日から1年以内に10人以上いる場合である。

補助対象経費は、地元の労働者を雇用した場合や専用通信回線使用料、事業所賃料、投下固定資産等、多岐にわたる。

▼情報通信関連事業立地促進補助制度の概要

対象:地元で新規雇用される者が、操業開始日から1年以内に10人以上である新設データセンター事業
補助額:①地元の労働者を雇用した場合は1人につき70万円、②専用通信回線使用料は〜2,000万円、③事業所賃料は〜2,000万円、④投下固定資産は〜2,000万円 等
補助率:①は設定なし、②専用通信回線使用料は1/2、③事業所賃料は1/2、④投下固定資産は1/5 等
期限:事業所の設置工事に着手する30日前

データセンターの補助金に関する注意点

データセンターの新設や運用において補助金を活用することは、有効な手段であると考えられる。しかし、その申請手続きに関していくつかの注意点がある。ここでは、2つのポイントについて解説する。

補助金の内容を確認する

補助金制度の内容は、支援の目的や対象事業によって大きく異なるため、事前に概要をしっかり確認しよう。データセンターを高効率化したいのか、地方分散をしたいのかによって、補助金制度の支援内容や要件が変わる。そのため、自社の事業目的に合った制度を選ぶことが重要となる。

たとえば、前述した東京都の補助金は、データセンターの高効率化に関する事業を支援する一方、地方自治体では地方への新設・移転を支援する内容が中心となっている。

支払い時期に気をつける

補助金は基本的に「後払い」であることが多いため、支払い時期にも注意が必要となる。対象事業の開始後や完了後に交付されるケースが一般的で、補助金による資金がすぐに利用できるわけではない。当初の資金は、自己資金や借入などで負担する必要がある点に留意しておこう。

また、要件を満たしていた場合でも、不採択となるケースもあると考えられる。したがって、補助金を前提とした資金繰りや設備投資計画などは、慎重に計画する方が良いだろう。

まとめ

データセンターの需要は、AIやDXの進展により今後も拡大が見込まれている。その一方で、都市部への立地集中や電力消費の増加といった課題も顕在化している。このような背景から、政府や自治体は補助金制度を設け、データセンターの地方移転や新設、高効率な設備の導入を支援している。

株式会社ミライト・ワンは、高排熱処理空調を搭載し、再生可能エネルギー設備との連携も可能な「コンテナ型データセンター」を提供している。柔軟な拡張性と冷却システムを備えているため、データセンターの課題解決につながると注目されている。詳しくは、以下のサイトを参考にしてほしい。

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