イベント運営を効率化する新たなサービスが登場
夏はイベントの多い季節だが、各種イベントにおいてもデジタル技術を活用し、運営の効率化や集客、顧客体験の向上などを図る動きが広がっている。そこで、ここでは新たに提供された、あるいは今後提供される予定のイベント向けソリューションを紹介する。
LINEを活用したコミュニティプラットフォーム
ナビタイムジャパンは、自治体や観光協会、スポーツクラブなどの観光振興やイベント開催などを行う企業・団体向けに、イベントと地域飲食店や事業者を繋ぎ、地域経済活性化をサポートする新たなソリューション「ローカルコミュニティマップ」の提供を7月14日から開始した。
「ローカルコミュニティマップ」では、LINE公式アカウントを活用した観光・イベント主体者と地域事業者間のコミュニティプラットフォームを提供し、観光やお祭り、スポーツ観戦、音楽イベント等をきっかけに地域を訪れる来訪者向けの情報発信を行う。
コミュニティプラットフォームでは、LINEのメッセージ配信機能を用いて、観光・イベント主体者が保有するイベント概要やチケット販売枚数、天気・日時に応じた予測来場者数等の情報を共有できる。また、ナビタイムジャパン独自の生成AIにより、店舗の人員増強や来訪者向けのクーポン配信などの具体的なアクションを提案する。

(図1)コミュニティプラットフォーム
(出典:ナビタイムジャパン)
来訪者向けの情報提供では、LINE上で「空席あり」「祝勝利!ドリンク1杯サービス」などリアルタイムの営業状況やクーポンを入力すると、来訪者向けのデジタルマップに即時反映される。これにより、イベントの終了時間に合わせたリアルタイム情報の発信や、試合結果に応じたキャンペーンの発信で、来訪者の利用・来店を促進する。
また、イベント会場周辺の交通情報やグルメ、飲食店、観光スポット、クーポンなどの情報をデジタルマップに集約し、来訪者へ情報を提供することができる。店舗やスポットの情報では、地域事業者が発信したリアルタイムの営業状況やキャンペーン情報を地図上にわかりやすく表示し、誘客のフックとする。

(図2)来訪者向けのデジタルマップ
(出典:ナビタイムジャパン)
そのほか、観光・イベント主体者向け機能として、地域事業者の管理機能も備え、LINE上で入会申込や店舗情報などを一元管理できるという。また、オンライン決済機能により、入会した事業者に対し請求・集金業務も行うことができる。
さらに、観光・イベント主体者のカラーにあわせたカスタマイズや、スポット検索機能、経路検索機能、スタンプラリー機能、多言語対応なども利用可能だという。
イベント警備の最適化
AIKは株式会社Singular Perturbations(シンギュラー パータぺーションズ)の犯罪予測システム「CRIME NABI」と連携し、AIとデータ分析を活用したイベント警備最適化ソリューションの提供を7月17日から開始した。
イベント警備は、従来、イベント会場全体の決められたルートを巡回し、均等に人員を配置して行っていたが、イベント警備最適化ソリューションでは、イベント会場の規模や来場者数、エリアの過去トラブルデータなどをもとに、事故予兆検知から最適な警備人員配置と巡回ルートを自動提案する。これにより、イベント運営の効率化と、警備の質を向上しつつ、警備コストの削減を実現する。

(図3)CRIME NABIが警備データを統合し、最適配置を提案するイメージ図
(出典:AIK)
将来的には、スマートグラスやウェアラブルカメラと連携し、イベント会場のリアルタイム映像とAI解析を組み合わせ、人の動きや混雑状況、不審行動などを検知し、警備員への指示や反応速度を向上させるプラットフォームを目指すという。
イベントのトーク内容をリアルタイムに通訳&配信
サイエンスアーツは、イベントなどのトーク内容をリアルタイムに通訳&配信する新サービス「Buddycom アナウンス(仮称)」を2025年秋にリリース予定だと発表した。
現在開発中の「Buddycomアナウンス」は、トーク内容をリアルタイムに多言語に通訳し、顧客のスマートフォンに直接配信できる通訳&配信サービスである。インバウンド需要が高まる中で、観光業のツアーガイドや施設スタッフの声、文章でのアナウンス等による利用を想定しており、低コストで簡単に導入できる多言語対応サービスとして開発しているという。

(図4)「Buddycom アナウンス(仮称)」
(出典:サイエンスアーツ)
このサービスでは、ライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom」を利用している。「Buddycom」は、インターネット通信網(4G、5G、Wi-Fi)を利用して、スマートフォンやタブレットにアプリをインストールすることで、トランシーバーや無線機のように複数人と同時コミュニケーションを可能にするサービスだ。音声、テキストチャット、動画、位置情報(IoT)に加え、AIを利用したデジタルアシスタントでのコミュニケーションが可能で、航空、鉄道、建設、福祉施設、流通などで活用されているという。
展示会の名刺情報と接客メモを一括登録
展示会での名刺情報と接客メモを一括登録する営業支援AI「アポメイト」を、7月7日から提供開始したのはジンベイだ。
「アポメイト」は、展示会や商談イベントでの接客メモと名刺情報を自動で整理・構造化し、HubSpotなどのCRMに一括登録できる営業支援サービス。名刺情報と手書きによる紙の接客メモをまとめてOCR+AIで読み取り、1件のリード情報として統合。顧客名・企業名・ニーズ・温度感・フォロー希望時期などを自動で整理・構造化する。登録されたデータは、HubSpot/Salesforce・スプレッドシートなどへ直接エクスポートできる。さらに、各情報から完全パーソナライズされたメール文面の作成もできるという。今後は、名刺管理アプリとの連携も順次拡大していく予定だという。

(図5)「アポメイト」の概要
(出典:ジンベイ)
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