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年間入場者の新記録を作った千葉ジェッツのファンマーケティング
最近は、エンターテインメント業界でもICTを活用し、効果的なファンマーケティングの実施により、観客数を増加させている。B.LEAGUE所属の男子プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」は、デジタル会員施策を効果的に実施している企業の1つだ。
同クラブは、2023年10月にAIQとSNSマーケティングパートナー契約を締結し、AIQ独自の特許技術AIを活用したデジタルマーケティング施策を共同で実施している。 例えば、Instagramアカウント運用をAIで支援するツール「moribus(モリバス)」を導入し、ソーシャルマーケティング施策へ活用している。さらに、AIを活用してファンマーケティングにおけるサービスの企画・開発を行う「ソーシャル チェックイン」を実施している。
「ソーシャル チェックイン」では、千葉ジェッツの試合観戦者や、ブースターと呼ばれる熱狂的なファンのインサイトデータを収集し、AIによって、SNSの投稿データ(写真、動画、テキスト等)を複合的に解析する。
具体的には、SNS投稿者の年代、性別、興味関心、居住エリア、フォロワー属性などを可視化することで、ファンの求める情報やコンテンツを発見。そのデータをもとに、グッズやイベントなどのコンテンツを最適化し、千葉ジェッツ公式SNSや選手・スタッフのSNSでの発信内容を改善している。これにより、ファンが求めている体験を実現することで、試合への再来場の促進を図っている。

(図1)千葉ジェッツのファンとの絆を深くする仕組み(出典:AIQ)
その結果、同クラブは「B.LEAGUE AWARD SHOW 2024-25」において、「ソーシャルメディア最優秀クラブ」を3年連続、5回目の受賞を果たした。
この賞は、1シーズンを通して、SNS運用において最も優秀な成長曲線を描いたクラブに与えられるもので、BリーグNo.1となる千葉ジェッツの主要SNSアカウントフォロワー数の合計は、2025年6月4日時点で「100万人」を超えている(X:232,705、Instagram:202,042、TikTok:201,722、YouTube:177,423、LINE:143,623、Facebook:79,366)。
SNSは、集客面でも好影響をもたらし、30試合で約30万人を動員しBリーグの新記録を作っている。

(図2)千葉ジェッツのホームゲーム入場者数の推移(出典:千葉ジェッツ)
YouTubeについては、2017年にMIXIとパートナーシップ契約を締結。公式チャンネルを設け、数多くの動画を提供している。特にショート動画に注力し、MIXIと連携しながら撮影時間を極限まで短くして、安定的なコンテンツを提供している。

(図3)千葉ジェッツの公式YouTubeチャンネル
MIXIがショート動画に注力した理由は、他のBリーグのチームがほとんど取り組んでいなかったためで、「試合に来てもらう」、「試合に行ってみたい人を増やす」ことを目的に動画を提供しているという。
MIXIでは、動画の視聴者を「千葉ジェッツを知らなかった人」、「知っているが登録していない人」、「情報を知りたい人で登録もしている人」、「試合会場に来てくれるファン」という具合に、視聴者をエンゲージメントの強さで分類し、ターゲットごとにコンテンツを分けているという。
このような取り組みにより、千葉ジェッツはスポーツナビが表彰する「スポーツPRアワード2024」のソーシャルメディア賞を受賞した。「スポーツPRアワード」は、さまざまなスポーツ団体の広報・PR・情報発信に焦点を当て表彰するもので、スポーツ団体から2024年に実施したPR施策を募集し、審査員が、"ユニークさ"、"コストパフォーマンス"など様々な観点から審査する。千葉ジェッツは、過密スケジュールをこなす選手の撮影時間の短縮を図りつつ、YouTubeショート動画を活用している点、また、流行りのミームやYouTuberとのコラボなど、多彩なチャンネル設計で、登録者10万人増を達成した点、さらにバスケットボールのコーチング動画など、Bリーグ全体の発展に向けて他チームに先駆けたノウハウを250本以上無料公開していたことも評価された。
約460万人以上の会員がいる吉本興業のFANY
多数の芸人を抱える吉本興業では、「デジタルでおもしろいを届ける」ための統合プラットフォーム「FANY(ファニー)」を2021年4月から提供しており、現在、約460万人以上の会員がいる。
FANYでは、年間2万講演のチケットを販売するほか、FANY Magazineというニュースサイトで記事を提供。また、FANY Mall(Eコマース)でグッズも購入できる。そのほか全国のエンターテイメント番組、よしもとの劇場公演のアーカイブを中心とした10,000本以上のコンテンツが見放題の映像配信サービスも提供する。
FANYにおけるチケットの取り扱いは年間480万枚以上でEコマースの売上点数は年間20万点以上となっており、同社の売上に大きく貢献している。また、プレミアムメンバーに登録し、月額550円の会員料金を支払うと、チケットの先行購入やオンライン配信の見逃し視聴などの特典が得られるプログラムも用意されている。FANYリワードというファンのステージがランクアップする仕組みも用意され、ステージランクに応じた特典を獲得でき、購買意欲を向上させる施策も実施している。チケットの購入やファンクラブ加入など、FANYサービスの体験に応じて、ポイントであるFUN(ファン)が貯まり、その数によってREGULAR、BRONZE、SILVER、GOLDの4つのステージにランク分けされる。
FANYでは、オンラインチケット購入履歴をMAツールと連携させて分析し、ユーザーをセグメント化したプッシュ配信を実施。チケットを一度購入したユーザーには、期間を空けず素早くプッシュすることを重視しているという。
スマホアプリも提供し、アプリの総ダウンロード数は約67万、アクティブユーザーは月間10万人に達しているという。オンラインチケット購入の約20%がアプリ経由によるもので、「フォロー機能」の追加やプッシュ配信などによって、チケット売上も着実に増加を続けているという。

(図4)FANY(出典:吉本興業)
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