ドローンの国家資格取得にかかる費用はいくら?国家資格の概要や取得方法も紹介
目次
- ▼1. はじめに:ドローンの国家資格の概要
- ・資格区分
- ・限定変更
- ・受験資格
- ▼2. ドローンの国家資格を取得するメリット
- ・飛行申請手続きの一部が不要・簡略化される
- ・レベル4飛行が可能になる
- ・ドローン操縦の信頼性が高まる
- ▼3. ドローンの国家資格取得にかかる費用相場
- ・講習費用
- ・試験費用
- ・交付費用
- ・合計の費用相場
- ▼4. ドローン国家資格を取得する方法
- ・登録講習機関を受講する方法
- ・指定試験機関で直接試験を受ける方法
- ▼5. ドローン国家資格を取得する基本的な流れ
- ▼6. ドローンの民間資格とスクールの費用相場
- ・JUIDA認定資格
- ・DJI CAMP認定資格
- ・IAU認定資格
- ・DPA認定資格
- ▼7. まとめ
ドローン(無人航空機)は、空撮や農業の肥料散布などで商業利用されている。現在ドローンのさらなる普及に向けて、衝突による被害を防止し、安全な飛行を確保するための法整備やルール作りが行われている。そのような背景から、2022年12月5日にドローンの国家資格が開始された。
この記事では、ドローンの国家資格の概要と取得にかかる費用相場、取得する流れを解説する。さらに後半では、ドローンの民間資格とスクールにかかる費用相場も紹介している。今後ドローンのビジネス活用を検討している場合、この記事を参考にしてみてほしい。
はじめに:ドローンの国家資格の概要

2022年12月5日、ドローンの安全な飛行や社会利用の促進を目的とした、ドローンの国家資格である「無人航空機操縦者技能証明制度」が施行された。
この制度を利用して国家資格を取得すると、安全にドローンを飛行させるために必要な知識や能力を保有していると証明できる。
国土交通省の資料によると、「特定飛行」には以下の意味がある。
<特定飛行とは> 航空法において規制の対象となる空域における飛行又は規制の対象となる方法による飛行 |
特定飛行の具体的な内容は、次のとおり。
飛行空域 | ・空港等の周辺 ・人口集中地区の上空 ・150m以上の上空 |
飛行方法(※) | ・夜間飛行 ・目視外飛行 ・人又は物件と距離を確保できない飛行 ・催し場所上空での飛行 ・危険物の輸送 ・物件の投下 |
参考:無人航空機の飛行許可・承認手続|国土交通省
(※)無人航空機操縦士資格(限定解除含む)を取得した上で、許可・申請が免除される飛行方法は、人口集中地区(DID)、夜間での飛行、目視外での飛行、人又は物件との距離が30m未満の飛行である
なお、「国家資格がなければドローン操縦ができなくなるのでは?」と思う人もいるかもしれないが、必須事項ではない。飛行場所や方法によっては、国家資格がなくてもドローン飛行は可能となる。
資格区分
ドローン資格には2つの区分がある。それぞれの概要を以下の表で見てみよう。
資格区分 | 概要 |
一等無人航空機操縦士 | 立入管理措置を行わずに特定飛行が可能 |
二等無人航空機操縦士 | 立入管理措置を行ったうえで特定飛行が可能 |
立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者の立入を制限することを指す。墜落などの事態に備えて補助者や看板などを配置して、第三者の立ち入りを管理する。
一等資格では立入管理措置の必要がなくなるため、立入管理が困難な場所でもドローン飛行が可能となる。
一等資格と二等資格の違いを知るために、レベル別の飛行を確認しよう。ドローン飛行には、以下の4段階の飛行レベルがある。

一等資格ではレベル4まで、二等資格ではレベル3まで飛行可能である点が大きな違いとなる。
ドローン物流や災害時の救助活動など、レベル4の「有人地帯における目視外での自律飛行」が必要となる場合は、「一等資格」の取得を目指そう。
レベル | 一等 | 二等 |
レベル1:無人地帯や有人地帯で、目視内での操縦飛行 | ◯ | ◯ |
レベル2:無人地帯や有人地帯で、目視内での自律飛行 | ◯ | ◯ |
レベル3:無人地帯における目視外飛行 | ◯ | ◯ |
レベル4:有人地帯における目視外飛行 | ◯ | × |
なおドローンのレベル4飛行は、2022年12月に解禁になった。レベル4飛行の詳細に関しては、以下の記事も参考にしてみてほしい。
関連リンク
ドローンのレベル4とは?解禁後に実現できることや4つの課題・実証実験など
限定変更
ドローン国家資格は飛行する時間帯や飛行方法、ドローン本体の種類・最大離陸重量などに規制がかけられているが、「限定変更」を行うことで制限を解除できる。
具体的には、以下のような限定解除が可能となる。
限定変更前 | 限定変更後 |
機体の最大離陸重量は25kg未満 | 最大離陸重量25kg以上の機体も可能 |
昼間飛行のみ可能 | 夜間飛行も可能 |
目視内飛行のみ可能 | 目視外飛行も可能 |
なお限定解除には実地試験が必要となるが、登録講習機関にて限定解除のための講習を受講・修了した場合、実地試験が免除になる。
受験資格
「無人航空機操縦者技能証明制度」の受験資格は、次の2点のみとなる。
● 16歳以上であること
● 航空法の規定により国土交通省から本試験の受験が停止されていないこと
ドローンの国家資格を取得するメリット
ドローンの国家資格を取得する3つのメリットを見てみよう。
● 飛行申請手続きの一部が不要・簡略化される
● レベル4飛行が可能になる
● ドローン操縦の信頼性が高まる
飛行申請手続きの一部が不要・簡略化される
ドローンの国家資格を取得すると、飛行申請手続きの一部が不要になったり、簡略化されたりする。
ドローンの特定飛行は航空法で原則として禁じられているため、特定空域や方法でドローンを飛行させる場合、国土交通省から飛行許可や承認を受けなければならない。民間資格では、レベル1〜3の飛行すべてにおいて飛行申請や許可が必要となり、労力がかかる。
しかしドローンの国家資格があれば、申請のための書類作成にかかる時間や手間を省くことができる。
レベル4飛行が可能になる
レベル4飛行を実現するには、国家資格である「一等無人航空機操縦士」の取得が必須となる。
レベル4飛行であれば有人地帯における目視外での自律飛行が可能になり、ビジネス活用の幅が広くなるため、一等資格の取得が注目されている。具体的には、ドローン宅配、インフラ点検、災害時の救助活動など、さまざまなシーンでの活用が実現する。
関連リンク
ドローン配達の実用化はいつから?日本の現状や課題、海外事例を紹介
ドローン操縦の信頼性が高まる
ドローン国家資格の取得はドローン操縦において必須ではないが、「国家資格を保有している」ことはドローン操縦への信頼が得やすくなるといえる。
社会的信頼性が高まれば、仕事の依頼も増加すると考えられる。同じ技術を持っている複数の会社を比較する場合、国家資格を保有している方がスキルを証明しやすいだろう。
したがって、今後ドローンビジネスへの参入を検討している場合、国家資格の取得が推奨される。
ドローンの国家資格取得にかかる費用相場

続いて、ドローンの国家資格取得にかかる費用相場を具体的に見てみよう。
ドローンの国家資格取得には、「講習費用」、「試験費用」、「交付費用」の3つの費用が発生する。
● 講習費用...登録講習機関(ドローンスクール)での受講費用
● 試験費用...学科試験、実地試験、身体検査にかかる費用
● 交付費用...国家資格の交付手数料
ここではそれぞれの概要を説明し、最後にスクールの受講から国家資格の交付までにかかる合計金額を試算して紹介する。
講習費用
ドローンスクールは、国土交通省が提示する「登録講習機関一覧」から選ぶ必要がある。講習費用は利用するドローンスクールによって異なり、未経験者か経験者で金額や講習の日数が変わることも多い。そのため個々のスクールに問い合わせてみよう。
一般的に、講習費用の目安は次のとおり。なお、限定変更のコースも受講する場合、ここで紹介する費用よりも高くなる。
資格区分 | 講習費用の目安 |
一等無人航空機操縦士 | 経験者:50万円前後 未経験者:80万円前後 |
二等無人航空機操縦士 | 経験者:15万円前後 未経験者:40万円前後 |
株式会社ミラテクドローンは、ドローンスクールを運営している。講習機関として国より登録され、国家資格をはじめ、JUIDA認定コース、カスタムコースなどを提供している。
ミラテクドローンのスクールで受講した場合の費用を見てみよう。
区分 | コース | 講習内容 | 講習費用 |
一等資格 | 経験者コース (最短5日) |
・学科:9時間 ・実施:15時間 |
411,400円 |
初学者コース (最短12日) |
・学科:18時間 ・実施:50時間 |
要問い合わせ | |
二等資格 | 経験者コース (最短2日) |
・学科:4時間 ・実施:2時間 |
136,400円 |
初学者コース (最短5日) |
・学科:10時間 ・実施:10時間 |
378,400円 |
ミラテクドローンは、これまで延べ1,200以上のドローンパイロットを輩出した実績を持つドローンスクールである。普段現場でドローンを活用しているパイロットが講師を務めているので、ドローンをビジネス活用するうえで必要なノウハウを身につけられる。
ミラテクドローンスクールの詳細については、以下のサイトを見てみてほしい。
試験費用
試験には学科試験、実地試験、身体検査の3種類があり、それぞれにかかる費用は次のとおり。
種類 | 区分 | 費用 |
学科試験 | 一等 | 9,900円 |
二等 | 8,800円 | |
実地試験 (マルチローターの場合) |
一等 | 22,200円 |
一等(限定変更) | 20,800円 | |
二等 | 20,400円 | |
二等(限定変更) | 19,800円 | |
身体検査 | 書類提出による受験 | 5,200円 |
会場での受験 | 19,900円 |
なおドローン国家資格を取得する方法には、①スクールに通う、②指定試験機関で直接試験を受ける、という2パターンがある。①の場合は「実地試験」が必要なくなるため、試験費用の負担が小さくなる。
ドローン国家資格を取得する2つの方法は次章で解説する。
交付費用
試験に合格すると、無人航空機操縦者技能証明書が交付される。交付にかかる手数料は、次のとおり。
区分 | 費用 |
新規申請 | 3,000円 |
再交付申請 更新申請 限定変更申請 |
2,850円 |
一等の登録免許税 | 3,000円 |
合計の費用相場
未経験者がスクールに通って「二等無人航空機操縦士」を取得する際、上記の「講習費用」「試験費用」「交付費用」を合計した費用相場を計算してみよう。
項目 | 費用 |
講習費用 | 未経験者:40万円前後 |
試験費用 | 学科試験:8,800円+身体検査(会場受験):19,900円=28,700円 |
交付費用 | 新規申請:3,000円 |
合計 | 約43万円 |
ここからさらに、スクール内の資格試験費用、限定変更のクラスを受講した場合は追加費用や、スクールまでの交通費・滞在費などの実費が加算される。
ドローン国家資格を取得する方法
ドローン国家資格を取得するには、登録講習機関を受講する方法と、指定試験機関で直接試験を受ける方法がある。

それぞれのパターンを見てみよう。
登録講習機関を受講する方法
まず登録講習機関、つまりドローンスクールに通って国家資格取得を目指す方法がある。
ドローンスクールで修了認定を受けることで、実地試験が免除になる点が大きなメリット。試験会場では学科試験と身体検査(※)のみを受け、合格すると国家資格が交付される。
学科試験は、CBT(Computer Based Testing)方式で実施される。一等は70問・75分、二等は50問・30分で構成されている。
指定試験機関で直接試験を受ける方法
ドローンスクールに通わずに直接試験を受ける方法では、学科試験や身体検査に加えて、実地試験が必要となる。
実地試験は机上試験、口述試験、実技試験の3種類があり、合格すると国家資格が交付される。
ドローン国家資格を取得する基本的な流れ
スクールに通ってドローン国家資格を取得する場合、基本的に以下の流れで行われる。
1.「ドローン情報基盤システム2.0」にログインして技能証明書申請者番号を取得
2.登録講習機関(ドローンスクール)で講習を受講・修了
3.指定試験機関で学科試験と身体検査を受験
4.試験合格後、技能証明書の発行手続きをオンラインで実施
5.技能証明書を取得
技能証明書の有効期限は3年となる。期限内に再び講習を修了するなど、基準を満たしたうえで更新手続きが必要となる。
ドローンの民間資格とスクールの費用相場

ドローンの国家資格は2022年12月5日から開始されたが、制度設立の前から民間スクールが独自で定める資格が存在している。
ここでは、次の代表的な民間資格とスクールの費用相場を紹介する。
● JUIDA認定資格
● DJI CAMP認定資格
● IAU認定資格
● DPA認定資格
JUIDA認定資格
JIDA認定スクールで必要な科目を修了して手続きを行うと、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が交付する「無人航空機操縦技能証明証」を取得できる。さらに安全運行管理の基本知識やリスクアセスメント習得後、「無人航空機安全運行管理者」も交付される。
JUIDA認定資格を取得するスクールの費用相場は、25万円前後となる。
株式会社ミラテクドローンでは、3日間のJUIDA認定コースを提供している。費用は242,000円(税込)で、座学や実技に必要な科目を学習できる。詳細は以下のサイトを参考にしてほしい。
参考:JUIDAドローン資格
DJI CAMP認定資格
DJI CAMPは、10時間以上のドローン飛行経験がある操縦者を認定する民間資格。ドローンメーカー最大手のDJI JAPAN株式会社が指定するドローン資格を取得でき、正しい知識や操縦方法、飛行モラルを身につけていると証明できる。
DJI CAMPの資格を取得すると、国土交通省へドローンの飛行許可申請を簡略化できる点がメリット。スクールは10万円以内で受講でき、さまざまなドローン資格の中でも比較的コストを抑えられる。
参考:DJI CAMP
IAU認定資格
IAU(一般社団法人国際無人航空機協議会)では、「無人航空機操縦技能認証」と「無人航空機操縦技能認証」、「無人航空機安全運航管理責任者認証」という民間資格が交付される。
資格を取得することで、ドローンを安全に飛行させるための知識や操縦技能を保有していると証明できる。
IAU認定資格の取得に向けたスクールの費用相場は、22万円となる。
参考:IAU
DPA認定資格
一般社団法人 ドローン操縦士協会(DPA)は、一般的な回転翼航空機の操縦技術の認定資格「ドローン操縦士 回転翼3級」を交付している。ドローン操縦初心者でも挑戦でき、産業利用を前提にした操縦技能や安全な操縦のための基礎知識を取得できる。
スクールの費用目安は、未経験者で30万円前後となる。
参考:DPA
まとめ
この記事では、ドローンの国家資格の概要や費用相場などについて解説した。国家資格を取得することで、ドローン飛行に関する法律を理解し、安全に操縦するための知識やノウハウを保有していると証明できる。今後、拡大が期待されるドローンビジネス市場の参入に役立つだろう。
株式会社ミラテクドローンのドローンスクールでは、国土交通省より認定登録された「国家資格無人航空機操縦士コース」を提供している。通信インフラ設備事業を通して培った操縦ノウハウを、経験豊富なインストラクターから習得できる。
今後、ドローンビジネスへの参入や資格取得を検討している場合は、ぜひ以下のサイトを見てみてほしい。
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