自治体向けにクマ出没アラートや熱中症対策ソリューション

2025年9月22日

現在、全国の自治体では、これまでにない新たな社会課題に対応することが求められてきているが、それに対応するための新ソリューションも提供され始めている。そこで、ここでは、いくつかの自治体向けのソリューションを紹介する。

富山市が防災無線連携したクマの出没アラートを採用

今年の夏はクマの市街地への出没が大きな話題となり、被害が相次いでいる。石川県金沢市のほくつうは、富山市からの相談を受け、AIカメラと防災行政無線を自動連携するシステムを構築し、7月から実証実験をスタートさせた。

おととしの富山市内のクマの出没件数は347件で、このうち富山市熊野地区においては、クマに襲われて一人が死亡している。これを受け富山市では、クマの通り道にAIカメラを設置して監視を強化した。ただ、通報を受けてから市職員が現場に向かい確認後、住民へ注意喚起を行っていたため時間差があり、その間にクマが移動して危険の周知が徹底できなかったという。そこで今年度は、AIカメラと防災無線を自動連携したシステムの運用を開始した。

(写真1)クマを検知するAIカメラ(出典:ほくつう) イメージ
(写真1)クマを検知するAIカメラ(出典:ほくつう)

このシステムでは、通信機能付きカメラを樹木などに取り付け、そのカメラ画像をAIで解析して害獣を検出。防災行政無線から自動で注意を呼びかける。カメラはさまざまな場所に設置できる設計で、写真・動画の両方に対応しており、的確な状況把握および初期対応につながるという。このシステムの活用により、従来よりも30分以上早く住民に注意喚起ができるようになるという。

(図1)AIカメラとの連携の概要(出典:ほくつう) イメージ
(図1)AIカメラとの連携の概要(出典:ほくつう)

地図上で水道管を選択するだけで管路の属性情報を自動入力

上下水道の経年劣化による破損も、現在、社会問題になっているが、宇宙ベンチャーの天地人は、「天地人コンパス 宇宙水道局」において、地図上で水道管を選択するだけで管路の属性情報が自動入力される新機能を提供した。

従来の漏水調査業務では、現地で紙の図面から該当する水道管の情報を探し、手作業で属性情報を転記する必要があり、図面の準備忘れや転記ミス、情報の紛失といった課題が発生していた。

新機能では、地図上で該当する水道管をワンタップで選択するだけで、管材質、口径、敷設年度などの詳細な属性情報が自動的に入力フォームに反映される。水道管データを標準化したことで、こうした属性情報の自動反映が可能となったという。また、写真登録機能の追加や必須入力項目の廃止により、現場での負担も軽減できるという。

(図2)ワンタップで属性情報を自動入力(出典:天地人) イメージ
(図2)ワンタップで属性情報を自動入力(出典:天地人)

新機能の導入により、図面の印刷・準備から現地での管路特定、手作業での転記作業が不要となり、深夜の住民通報対応で一度事務所に戻って図面を印刷してから現地に向かうといった非効率な作業プロセスも解消され、スマートフォンやタブレットのみで漏水情報の登録ができるようになったという。

東京都中央区が保護者間の個別連絡機能を区内小中学校23校に導入

Classiは、小中学校向け保護者連絡サービス「tetoru(テトル)」の新機能である「個別連絡機能」が、東京都中央区教育委員会に導入されたと発表した。

中央区では、従来電話で行われていた学校から保護者への個別連絡をデジタル化し、教職員の業務負担軽減とコミュニケーションの効率化を図るため、「tetoru」の個別連絡機能を区内小中学校23校に導入した。

(図3)小中学校向け保護者連絡サービス(出典:Classi) イメージ
(図3)小中学校向け保護者連絡サービス(出典:Classi)

従来は教職員が、欠席・遅刻・体調不良・怪我・持ち物忘れ・委員会活動や登下校時間の変更など、個々の児童生徒や家庭ごとに必要な連絡を電話で行っていた。しかし、電話は繋がるまで何度も連絡を取る必要があり、業務負担が大きくなっていた。

個別連絡機能では、教員はtetoruの連絡配信画面の新規作成から該当の児童生徒を選択し、送信するだけで、特定の児童・生徒への案内やフォロー連絡を行うことができる。これにより、連絡業務にかかる時間を削減できるほか、保護者も自身の都合に合わせて連絡内容を確認できるようになるという。

また、共働き世帯の増加や日中の電話対応が難しい家庭にも対応できる点や、連絡履歴が残ることで証跡管理にも役立つ点が期待されているという。

しきい値超えをパトライトで知らせる熱中症対策ソリューション

連日猛暑日が続いており、自治体はその対策に追われているが、スリーフィールズは、映像データとセンサーデータを統合して可視化する新サービス「TStockerクラウドサービス」で、労働安全衛生規則の熱中症対策が罰則付きの義務化に対応した。

「TStockerクラウドサービス」は、屋内外にネットワークカメラを設置し、並行設置するセンサー機器を用いて映像データと温度・湿度・WBGT(暑さ指数)等の数値を同時表示して、しきい値設定により、屋内用として積層信号灯パトライト、屋外用として単色点灯パトライトに発報することで関係者に分かり易く告知をすることが可能なソリューションだ。

(図4)TStockerクラウドサービス 熱中症対策ソリューション(出典:スリーフィールズ) イメージ
(図4)TStockerクラウドサービス 熱中症対策ソリューション(出典:スリーフィールズ)

屋外だけではなく、屋内の工場、店舗、事務所、住居、倉庫等に小型センサーを必要箇所に設置して、温度、湿度、WBGTをリアルタイムに計測してクラウドに保存でき、メール送付やパトライトに発報することが可能だという。

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