スマートインフラ×防災DXの最新動向|スマートインフラの社会実装トレンド3選
目次
NTTドコモビジネスが自動運転バス実証を発表
NTTドコモビジネスは、2026年7月14日、北海道紋別市、北紋バス、先進モビリティと連携し、観光と地域交通を結び付ける自動運転バスの実証運行を発表した。本実証は2026年7月27日から8月9日まで実施され、オホーツク管内では初となる自動運転バスの取り組みだ。人口減少や高齢化、バス運転手不足といった地域交通の課題に対応するとともに、観光地間の移動利便性向上を目的としている。
実証では、既存の路線バス網を活用し、オホーツク紋別空港から紋別バスターミナルまでを結ぶ空港連絡路線に、「カニの爪」オブジェやオホーツク流氷公園などの主要観光地を組み合わせた周遊ルートを運行する。地域住民の日常利用だけではなく、観光客の移動ニーズにも対応し、持続可能な地域公共交通モデルの実現の可能性を検証する計画だ。
本実証の大きな特徴は、NTTドコモビジネスの通信技術を活用した遠隔監視システムにある。車両に搭載されたカメラ映像や各種走行データを「5Gワイド」によってリアルタイムで遠隔監視拠点へ送信し、運行状況を常時モニタリングすることで、安全性と安定性の向上を図る。さらに、地域環境下での自動運転技術の有効性や利用者の受容性を検証し、将来的な社会実装に必要な課題を明らかにすることも目的としている。
今回の実証は、内閣府の「地域未来交付金(地域未来推進型)」の採択を受けて実施されるものであり、得られた知見をもとに、公共交通の高度化や観光振興を組み合わせた新たな移動サービスの実現を目指す。関係者は2028年の自動運転レベル4の社会実装を視野に入れており、本取り組みは通信技術、自動運転、スマートインフラを融合した地域交通DXの先進事例となる。

紋別市自動運転バス実証運行の実施について
出典:紋別市webサイト
Hitachi Digital Services × ServiceNowがAI統合型インフラ監視ソリューションを発表
株式会社日立製作所の米国子会社Hitachi Digital Servicesは、2026年7月9日、ServiceNowと戦略的パートナーシップを締結し、ミッションクリティカルな社会インフラ向けのAI監視ソリューションを発表した。このソリューションは、日立の「Hitachi Intelligent Infrastructure Monitoring(HIIM)」と、ServiceNowのAIプラットフォームを組み合わせることで、発電所、鉄道、上下水道、製造工場、データセンターなど、24時間365日の安定稼働が求められる設備の監視・運用を高度化することを目的としている。
新ソリューションでは、IoTセンサーや監視カメラ、制御システムなどから取得したリアルタイムデータをHIIMが統合・分析し、その結果をServiceNowのAIプラットフォームへ連携する。AIが異常の兆候を検知すると、インシデント管理や保守作業のワークフローを自動的に起動し、担当部門への通知や対応手順の提示まで一貫して実施できるため、障害対応の迅速化と運用負荷の軽減が期待される。
このソリューションの特徴は、ITシステムとOT(Operational Technology:制御・運用技術)のデータを統合して扱える点だ。例えば、設備の稼働状況やセンサー情報だけではなく、保守履歴や作業指示、在庫情報なども一元的に管理できるため、現場と管理部門の情報共有を円滑にし、意思決定を支援することができる。遠隔監視やリモート点検にも対応しており、人手不足への対応や作業員の安全性向上にも寄与するとされている。
近年、社会インフラ分野では設備の老朽化や熟練技術者の不足、自然災害への備えなどが課題となっているが、今回の取り組みは、AIによる予兆検知と自動化された業務フローを組み合わせることで、単なる「異常監視」から「障害を未然に防ぐ運用」への転換を目指すものだ。日立が長年培ってきた社会インフラ分野の知見と、ServiceNowのAI・ワークフロー技術を融合した本ソリューションは、今後のスマートインフラや防災・レジリエンス強化を支える基盤技術として注目されている。

ServiceNow AIプラットフォームイメージ
出典:ServiceNow webサイト
「自治体総合フェア2026」にSIP第3期「スマート防災ネットワークの構築」が出展
2026年7月8日から10日にかけて東京ビッグサイトで開催された「自治体総合フェア2026」では、内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)第3期「スマート防災ネットワークの構築」が出展され、防災DXを支える最新技術が紹介された。「スマート防災ネットワークの構築」は、日本の防災DXを推進するための国家プロジェクトだ。本プロジェクトは、防災科学技術研究所(NIED)が研究推進法人となり、気象情報や河川水位、道路状況、IoTセンサー、衛星データなどを統合して自治体の迅速な意思決定を支援する防災情報基盤の構築を目指している。
展示では、防災科学技術研究所による「SOBO-WEB(災害情報共有システム)」や、リアルタイムの浸水・被害予測技術をはじめ、AIoT家電を活用した災害情報伝達、監視カメラによる浸水検知、洪水リスクの可視化システム、災害対応訓練を支援するシナリオ生成システム「DSG-SIM」など、多様な研究成果が公開された。これらは大学や民間企業、自治体など複数の機関が連携して開発を進めている。
会期最終日の7月10日には、「防災DXの最前線~『リアルタイム津波浸水被害予測』と『SOBO-WEB』が拓く次世代防災~」をテーマとした特別セッションも開催された。セッションでは、防災科学技術研究所の研究者らが、津波浸水をリアルタイムで予測する技術や、自治体・防災関係機関が災害情報を共有するSOBO-WEBの活用事例を紹介し、平時から災害発生時まで一貫して活用できる防災DX基盤の将来像について議論が行われた。人口減少や災害の激甚化が進む中、AIやデジタルツイン、IoTを活用したスマートインフラとして、自治体での社会実装が期待されている。

「自治体総合フェア」会場の様子
出典:第30回自治体総フェア2026開催結果報告
【参考】
https://www.hitachids.com/capability/hiim-servicenow/
https://www.hitachi.com/content/dam/hitachi/global/ja_jp/press/files/2026/07/0710.pdf
https://www.servicenow.com/jp/platform.html
https://www.ntt.com/about-us/area-info/article/20260714.html
https://ampmedia.jp/2026/07/14/nttdb-monbetsu-2607/
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