ヒューマノイドロボットの市場規模は?2030年・2050年予測と各国の動向

2026年6月22日

ヒューマノイドロボットは、製造業や物流、医療・介護など幅広い分野での実用が期待されており、市場規模は今後急速に拡大すると予測されている。モルガン・スタンレーは、2050年までにヒューマノイド市場が5兆ドル規模へ成長し、自動車産業を上回る可能性があると指摘している。

本記事では、ヒューマノイドロボットの世界市場規模と将来予測、米国・中国・日本の動向、ビッグテックによる投資動向、日本が直面する課題をわかりやすく解説する。

(※)本記事の内容は、2026年5月時点のものです。

ヒューマノイドロボットの市場規模と将来予測

ヒューマノイドロボット市場は、製造業や物流、医療・介護など幅広い分野での実用が期待されており、急速な成長が見込まれている。

ここでは、複数の調査会社による2030年・2040年の市場予測と、投資銀行による長期シナリオの両面から、市場の将来性を整理して紹介する。

2030年・2040年の市場予測

MarketsandMarketsの調査によると、世界のヒューマノイドロボット市場規模は、2025年時点で約29.2億ドル(約4,300億円)とされている。今後は年平均39.2%で成長し、2030年には152.6億ドル(約2兆2,500億円)へ拡大すると予測されている。

また、McKinsey & Companyが2025年に公表したレポートによると、ヒューマノイドを含む多用途ロボット市場は2030年から本格的に成長し、2040年までには約3,700億ドル規模へ拡大する可能性があると分析されている。

同レポートでは、中国が市場成長を牽引すると予測されており、現在の状況が続くと仮定すれば、中国が市場規模の半分以上を獲得すると示されている。

参考:
Will embodied AI create robotic coworkers? | McKinsey
Humanoid Robot Market Report 2025 - 2030|MarketsandMarkets

2050年には自動車産業を超える可能性も

2050年には自動車産業を超える可能性も イメージ

ヒューマノイドロボット市場は、さらに長期的な成長予測も公表されている。

2025年にモルガン・スタンレーが公表した調査では、2050年までにヒューマノイド市場は自動車産業の2倍規模になる可能性があると報告された。

市場規模は5兆ドルに達する見込みで、2050年までに10億台以上のヒューマノイドが稼働している可能性があるという。また、2050年までに稼働するヒューマノイドロボットの約90%が、産業・商業施設における反復作業で活用されると予測している。

こうした社会実装が実現すれば、自動車産業を上回る次の「メガ・インフラ(巨大産業)」へ発展すると期待されている。

参考:Humanoid Robot Market Expected to Reach $5 Trillion by 2050 | Morgan Stanley

【米国・中国・日本】ヒューマノイドロボットの市場動向

2026年5月時点において、ヒューマノイドロボット市場を牽引しているのは米国と中国である。特に中国は国家戦略として大規模な投資を進めていて、2024年以降は地方政府による支援策やロボット産業に関するアクションプランを打ち出している。

ここでは、日本を含めた政府の動向と各国で台頭している企業を紹介する。

 ●米国|民間主導でNVIDIA・Teslaが牽引
 ●中国|国策として1兆元規模の投資を実施
 ●日本|ムーンショット目標で2030年までに基礎確立

米国|民間主導でNVIDIA・Teslaが牽引

米国では、NVIDIAやTeslaなど、ヒューマノイドロボット関連企業に、多額の民間投資が拡大している。2025年は、関連企業への民間投資額が20億ドルを超える見通しとなった。

軍事・防衛領域での活用も検討されており、米国防総省などの関連機関による財政的支援が進められている。

米国の代表的な企業は、以下の通り。

社名 概要
Boston Dynamics ・二足歩行のヒューマノイドロボット「Atlas」を開発
・自由度の高い柔軟な関節、センサー、カメラで周囲環境を認識しながら自律的に歩行する
・自動バッテリー交換機能も実装されており、連続稼働が行える
Tesla ・二足歩行の自律ヒューマノイドロボット「Optimus」を開発
・人間に近い形状が特徴的で、今後量産や試験導入が計画されている
・精密な手の構造により、柔軟な操作が実現する
Figure AI ・20kgの荷物を運べる二足歩行型ヒューマノイドロボット「FIGURE 03」を開発
・家庭での利用が想定されており、洗濯や掃除、皿洗いなどの家事を自律的に行う
・独自のAIモデル「Helix」搭載で、日常生活を学習しながら適応する

中国|国策として1兆元規模の投資を実施

中国は、国家主導で大規模な政策を実施し、ヒューマノイドロボットに約200億ドル以上を割り当てている。

2025年には、ヒューマノイドロボット関連の先端技術に特化したファンドが設立され、約1兆元規模の投資体制が整備された。また、地方政府によってはプロジェクトが失敗した場合でも100%の損失を許容するなど、リスクを許容する仕組みが導入されている。

中国の代表的な企業は、以下の通り。

社名 概要
UBTECH Robotics ・産業向け「Walker S2」や、商業向け「Walker C」などのヒューマノイドロボットを開発
・背中にあるバッテリーを自律的に抜いて充電し、3分でフル稼働となる
・腕は162°回転し、15kgまでの物を運搬できる
Unitree Robotics ・ヒューマノイドロボットや4足歩行ロボットを開発
・動作性能が高く、ダイナミックな動きを実現
・人が乗って操縦しながら二足歩行を行うロボットの開発も進めている
AGIBOT ・安定的に歩行しながら会話までできる、二足歩行型ヒューマノイドロボットを開発
・汎用ヒューマノイドロボットの商用量産を開始済
・展示ホールでの接客やイベント集客などでの活用が想定されている

中国でのヒューマノイドロボット開発について詳しくは、以下の記事もチェックしてほしい。

関連リンク
中国で進む人型ロボットの進化と低価格化の未来

日本|ムーンショット目標で2030年までに基礎確立

日本は、産業用ロボット分野で高い技術力を持つ一方、AIロボティクス分野では米国や中国に遅れを取っていると指摘されることがある。

日本政府は、国民が豊かに暮らすための「ムーンショット目標」において、2030年までに汎用自律型AIロボット実現に向けた基盤技術を確立する目標を掲げている。工場や病院、介護施設、家庭、災害現場などで活用できるヒューマノイドロボットの実現を目指している。

また、2026年3月には「AIロボティクス戦略」が公表された。フィジカルAI時代が到来したことを受け、ヒューマノイドロボットを含む多用途ロボットの開発や社会実装に向けた方針が定められている。

日本の代表的な企業は、以下の通り。

社名 概要
トヨタ自動車 ・関節の柔軟な制御が可能な、二足歩行型ヒューマノイドロボット「T-HR3」を開発
・周囲環境による外力に対し、全身を使ってバランスを取ることが可能
・操縦者が遠隔から直感的に操れるシステムを搭載
川崎重工業 ・2015年よりヒューマノイドロボットの研究開発を開始し、2025年に9代目の「Kaleido9」を公開
・倒れにくい強固な構造でありながら、動作速度は前世代より向上
・階段の段差を認識しながら、歩幅を調整しながら歩行が可能
ソフトバンクロボティクス ・世界初のヒューマノイドロボット「Pepper」を開発
・最新のAIを搭載し、対話や歌などを通じて集客・接客ができる
・介護現場では、施設で利用者の生活をサポートする

フィジカルAIについて詳しくは、以下の記事をチェックしてみてほしい。

関連リンク
フィジカルAIとは?生成AIとの違いや仕組み、活用分野をわかりやすく解説

参考:AIロボティクス戦略|内閣官房

ヒューマノイドロボット市場が急成長すると予測される2つの理由

ヒューマノイドロボット市場は、労働力不足の深刻化やAI技術の進展を背景に、今後大きく成長すると予測されている。ここでは、市場拡大が期待される主な理由を解説する。

 ●労働力不足が顕著となっている
 ●技術が進化している

労働力不足が顕著となっている

先進国を中心に少子高齢化が進み、製造業や物流業、サービス業などで慢性的な労働力不足が深刻化している。こうした背景から、幅広いタスクに対応できるヒューマノイドロボットへの期待が高まっている。

ヒューマノイドロボットは、人の形や動作を模倣して設計されており、人向けに整備された既存設備や道具を活用できる点が特徴である。

具体的には、次のような用途で活用が検討されている。

 ●工場での部品運搬やピッキング作業
 ●物流倉庫での搬送・仕分け業務
 ●飲食店や商業施設での接客・案内
 ●医療・介護現場での補助業務

こうした活用分野について詳しくは、以下の記事もチェックしてみてほしい。

関連リンク
ヒューマノイドロボットとは?今知るべき種類・活用分野・日本企業

技術が進化している

ヒューマノイドロボット市場の成長を支えている背景には、AIやロボティクス技術の進展もある。

従来、ロボットの知覚や判断、行動ごとに個別のソフトウェアが必要で、シームレスな連携が難しかった。しかし近年は、VLA(Vision-Language Action)などのロボット基盤モデルが進化し、視覚認識から行動制御までを統合的に処理できるようになりつつある。

また、ハードウェアの側面でも次のように改良が進んでいる。

 ●アクチュエーター(関節を動かす駆動部品)の高性能化
 ●バッテリーやセンサーの小型化 など

さらに、シミュレーション技術の進化も市場拡大を後押ししている。例えば、仮想空間上でロボットを学習させる「強化学習」が活用されており、転倒や故障リスクを抑えながら歩行や動作を効率的に学べるようになった。

このように、AIやハードウェア、シミュレーション技術の進化が、ヒューマノイドロボット市場の拡大に貢献している。

MicrosoftやOpenAIも参入!ヒューマノイドロボット市場の投資動向

ヒューマノイドロボット市場では、MicrosoftやNVIDIAなどのビッグテックが、関連スタートアップを積極的に支援する動きが見られる。

実際、アメリカのヒューマノイドロボット開発ベンチャーのFigure AIは、2024年に合計6億7,500万ドル(約1,000億円)もの資金を調達した。出資にはMicrosoft、OpenAI、NVIDIA、Amazon創業者のJeff Bezos氏なども参加している。

同社は、今後4年間で最大10万台規模のヒューマノイドロボット生産を目指しており、BMWの工場での実証も進めている。

また、ヒューマノイドロボット本体だけでなく、ロボット向けAI基盤モデルへの投資も注目されている。

例えば、ロボット向け汎用AI基盤モデルを開発する米国のSkild AIは、2026年にNVIDIAやJeff Bezos氏などから約14億ドル(約2,100億円)もの資金調達を実施した。

投資家は、従来の産業用ロボットには見られない汎用性のあるロボットに注目している。製造業や物流、医療・介護など多様な分野への展開ができる可能性があることから、ヒューマノイドロボット市場への期待が高まっている。

参考:人型ロボブームは本物か、識者に聞いた5つの疑問 | 日経クロステック(xTECH)

生産コストの低減がカギ!ヒューマノイドロボット市場の成長条件

ヒューマノイドロボット市場が本格的に成長するためには、いくつかの条件をクリアする必要がある。その中でも特に重要視されているのが、生産コストの低減である。

2022年には1台あたり5万ドルから15万ドルのコストがかかるケースも珍しくなかった。しかし近年は、部品価格の低下や量産技術の進展により、下限が3万ドルまで下がりつつある。

また、販売価格を見ると、Unitreeの「H2」というヒューマノイドロボットは、2026年5月時点で29,900ドル(税金と配送費は除く)と公式サイトでは表示されている。

こうした価格低下が続けば、産業用だけでなく家庭用ロボットとしても採用されやすくなるだろう。

現在、ヒューマノイドロボット市場は中国が先行しており、米国も高度な研究開発を推進している。これに対し、かつてロボット大国と呼ばれた日本は、ヒューマノイドロボットの領域で遅れを取っているといわれている。

今後、日本が競争力を高めるには、産官学の連携体制を構築し、研究開発や量産体制を強化していくことが重要になると考えられる。

参考:Unitree H2公式サイト

まとめ

ヒューマノイドロボット市場は、労働力不足の深刻化やAI技術の進展、生産コストの低下などを背景に、今後大きく成長すると予測されている。特に、製造業や医療・介護、サービス業など幅広い分野での活用が期待されており、各国政府による支援やビッグテックからの投資も加速している。

一方で、本格的な普及に至るには、安全性・技術の向上や量産体制の確立など、さまざまな課題が残されている。そのため現時点では、ヒューマノイドロボットの導入を待つだけではなく、実用段階にあるロボットを活用しながら、現場の課題へ対応していくことも有力な選択肢といえる。

株式会社ミライト・ワンは、エレベータと連携して自律移動を行うロボットの導入サポートや、「AI コミュニケーションロボット"temi"」を活用した接客ソリューションを提供している。労働力不足への対応や業務効率化、新たな顧客体験の実現を検討している場合は、ぜひ以下のリンクをチェックしてみてほしい。

エレベータ昇降できる自律移動ロボット~後付けで連携可能~
AI コミュニケーションロボット"temi"

「未来図メディア」メールマガジン登録

5G×IoTの最新情報やイベント・セミナー情報を
いち早くお届けします。

ミライト・ワンのソリューションに関するご質問、ご相談など
ございましたらお気軽にお問い合わせください。

ページトップへ