現場の“声・技・工程”をAIが支える─ConTech が描く新しい働き方

2026年10月13日

建設業界では、働き方改革関連法の本格施行や技能者不足の深刻化を背景に、現場の安全管理・技能継承・工程管理をいかに効率化し、属人的な業務を減らすかが喫緊の課題となっている。こうした社会的要請に応える形で、AIを活用したConTechの導入が急速に進み、現場の判断・記録・教育・工程設計といった"人の経験に依存してきた領域"が大きく変わり始め、AIが現場の働き方そのものを再設計する段階へと移行している。

東急建設、音声AIでKY活動をデジタル化─「書くKY」から「話すKY」へ

東急建設は2026年8月31日、建設現場で毎朝行われるKY(危険予知)活動を音声AIと生成AIでデジタル化する取り組みを進め、2027年度に全現場への導入を目指すと発表した。従来のKY活動は紙への手書き記録が中心であり、会話で交わされる注意喚起が十分に記録に反映されない、記録作業の負担が大きい、内容が簡略化し形骸化しやすい、データ蓄積や分析が困難といった課題があった。

今回の取り組みでは、NTTソノリティが開発した音声AI「SonoVo AI」と専用マイクを活用し、現場での発話を自動で記録・保管する仕組みを導入した。これにより、KY用紙に書かれない予定外作業や口頭指示も含めて正確に記録できるようになり、紙の紛失や書き忘れといったトラブルの防止にもつながる。実証実験では操作性への満足度が100%となり、記録作業の負担軽減やサイン確認の時間削減など、現場から高い評価が得られた。さらに、記録した音声を生成AIが分析し、危険ポイントの具体性や注意喚起の質を「ABC判定」で自動評価する機能も検証された。参加した職長全員が「評価によって安全への意識が高まる」と回答しており、KY活動を単なる記録作業から、安全意識を高めるプロセスへと進化させる効果が確認された。

東急建設は今後、高騒音環境や通信環境が不安定な現場への対応を進めつつ、2026年度中に順次展開し、2027年度には全現場への導入を完了する計画である。

出典:東急建設株式会社 2026年8月31日ニュースリリース イメージ
出典:東急建設株式会社 2026年8月31日ニュースリリース

大和ハウス、AIで熟練技能をデータ化

大和ハウス工業は2026年8月、建設現場における熟練技能者の作業ノウハウをAIでデータ化し、技能継承を効率化する新システムを開発したと発表した。少子高齢化による技能者不足が深刻化する中、熟練者の「暗黙知」を形式知として蓄積し、若手育成や品質の平準化につなげることを目的としている。

新システムは、作業映像をAIが解析し、熟練者特有の動作、手順、姿勢、工具の使い方などを抽出する仕組みである。従来は経験に基づく感覚的な判断が多く、言語化が難しい技能が多かったが、AIにより作業の特徴量を数値化することで、技能の可視化と標準化が可能となる。解析結果は教育用コンテンツとして再構成され、若手技能者がタブレットなどで学習できるようにする。また、複数の熟練者の作業データを比較し、共通する最適動作や品質に直結するポイントを抽出することができるため、属人的な技能を組織全体の知識として蓄積し、施工品質のばらつきを抑える効果が期待される。作業の難易度やリスクをAIが評価することで、安全教育にも応用できる可能性が示されている。

大和ハウス工業は今後、住宅施工や設備工事など幅広い領域で本システムの活用を進め、技能継承のデジタル化を加速させる方針だ。

統合型ツール「CAREECON Plus」にAI工程表自動作成機能を本格実装

2026年7月、BRANU株式会社の建設業向け統合型ツール「CAREECON Plus」に、見積書やPDF・画像形式の工程表をもとにAIが自動で工程表を生成する「AI工程表」機能が本格実装された。本機能は、従来の工程表作成に伴う入力・転記作業を大幅に削減し、現場担当者がより判断を要する業務に集中できる環境を提供するものだ。建設業界では、受注後に表計算ソフトを用いて工程表を一から作成する運用が根強く残り、既存の工程表が紙やPDFで共有されるケースも多い。そのため、工程名や日程を手入力で転記する負担が大きく、入力漏れやミスのリスクも課題となっていた。

AI工程表は、アップロードされた見積書や工程表の内容をAIが解析し、工事全体の流れを示す大工程と小工程に分類して工程表の土台を自動生成する。また、PDFや画像形式の工程表の場合は、記載内容を読み取り、編集・共有可能なデータとして再構成する。生成された工程表はプレビュー画面で確認でき、担当者が内容を編集したうえで正式な工程表として登録する仕組みである。AIの生成結果を人が最終確認する設計により、現場ごとの状況に応じた柔軟な運用が可能となる。

本機能は、紙・PDF・画像などに含まれる現場情報をAIが読み取り、施工管理だけではなく案件管理や原価管理、人員配置などにも活用できる情報として蓄積する業務基盤の構築を目指す取り組みの一環である。AIが人の業務フローに自然に溶け込み、協働しながら現場運営を支援する新しい体験を提供する点で、ConTechを象徴するアップデートとなっている。

出典:BRANU株式会社 2026年7月6日プレスリリース イメージ
出典:BRANU株式会社 2026年7月6日プレスリリース

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