未来図が選ぶ、2022年先端技術5つのトレンド 前編

2022年1月14日

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、2022年を迎えてもまだまだ先が見えない状況だ。一方で、さまざまな産業がコロナ禍の影響を受ける中、先端技術は一歩ずつ確実に進化している。今回は、未来図に関連する先端技術を5つ選び、前編と後編の2回に分けて2022年におけるトレンドを予測してみた。

より幅広い業種でユースケースの登場が期待される「5G」

2020年春から大手通信キャリアによって、商用サービスの提供が開始された5G。各キャリとも順調に人口カバー率を広げてきたが、2022年には4G/LTEの基地局を利用するノンスタンドアローン方式から、5G用のコアネットワーク「5GC」を利用するスタンドアローン方式への移行を進める動きが加速する。これによって2022年には、本来5Gが持っている超低遅延と多数同時接続というサービスを、システム全体で提供するサービスがいろいろと出てくるだろう。

一方、企業や自治体などがスポット的に5Gを活用するローカル5Gの申請者及び免許人の数も、2021年1月末時点での43者から11月末には86者と倍に増えた。日本でのローカル5Gの活用は、まず製造業から広がっているようだが、海外では港湾でのターミナル業務の最適化や、スマート鉄道ハブでの荷役作業の効率化など、物流での活用も目立っている。その傾向は、日本でも2022年から本格化するかもしれない。2020年6月に、物流倉庫でのローカル5G活用に取り組み始めた東急不動産とNTT東日本、PALの3社は、2021年度に実証実験を進め、2022年度から倉庫内で本格導入する計画を発表している。

ミライトでは、こうした5Gインフラの整備を進めると同時に、2022年もさまざまなコンテンツを持つパートナーと協力し、5Gを活用した社会課題の解決に向けた努力を継続する。

ローカル5Gを活用したスマート物流のイメージ(出典:東急不動産、NTT東日本、PALのプレスリリース) イメージ
ローカル5Gを活用したスマート物流のイメージ
(出典:東急不動産、NTT東日本、PALのプレスリリース)

リアルな町をバーチャルに楽しませてくれる「メタバース」

超越を意味する「メタ」とユニバース(世界)の「バース」を組み合わせた「メタバース」は、インターネット経由でアクセスできる仮想世界空間を表す造語だ。自分の化身となるアバターを作って仮想空間内を自由に動き回ることができ、他のアバターとの会話も楽しめる。

2021年9月には、KDDIが2022年春から「au版メタバース」を提供すると発表した。また、11月にはドコモも世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」を運営するHIKKYと資本・業務提携に合意し、出資したことを発表した。

現時点ではメタバースもまだゲームの延長のように捉えられることも多いが、実在する老舗百貨店がメタバース上に店舗を開設する例も増えてきた。それらの店舗では、オンライン決済で実際に商品を購入できるようになっており、アバターを使って商品を手に取って確かめることもできる。

スマートフォンからでも気軽に利用できるようになると、メタバースのユーザー層も広がっていくだろう。現在、メタバースはコンシューマー市場における5Gのキラーコンテンツとしても期待されており、2022年にはスマートフォンを活用したさまざまなメタバース上のコンテンツやサービスが登場すると予想される。

「バーチャルマーケット」内に出店した「バーチャル大丸・松坂屋」(出典:「バーチャルマーケット」内で撮影) イメージ
「バーチャルマーケット」内に出店した「バーチャル大丸・松坂屋」
(出典:「バーチャルマーケット」内で撮影)

モバイルでもリアルタイムでの画像解析が可能になる「AI」

画像認識による物体の検知や音声認識・翻訳など、幅広く活用されているAIだが、画像解析の確度を高めるには、より解像度の高い精細な画像の転送が求められる。今後は5Gの活用によって、モバイルデバイスからでも大容量データが高速に送れるようになり、さらに同時多数接続や低遅延という特徴も生かすことでAI活用のフィールドがどんどん広がっていく。製造業では、AIで予知保全を行い、不具合が発生する前に対応する手法の導入が進むだろう。より多くのデータを高速に処理できるようになれば、予測の精度も高まっていく。また、サプライチェーンを最適化し、過剰生産や欠品を防ぐためにもAIは活用できる。AIで需要予測を行い、廃棄ロスを減らすような取組には、SDGsの観点からも注目が集まるだろう。

AIを活用した交通情報システムでは、5Gの活用によって多地点に置かれたカメラからの高解像度映像が、遅延なくセンターに送られるようになる。これによって、よりリアルタイムに道路状況が把握でき、正確な混雑予測が立てられるようになるだろう。

医療分野では、AIが患者のスキャン画像を分析し、医師の見落としによる誤診の防止にも役立てようとしている。5Gによって高精細な画像が高速通信できるようになれば、遠隔の医療現場に対しても高精度な医療が提供できるようになるだろう。

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