未来図が選ぶ、2022年先端技術5つのトレンド 後編

2022年1月28日

未来図に関連する先端技術の2022年におけるトレンド予測。前編では、先端の通信技術に関わる視点から「5G」「メタバース」「AI」について予測を立ててみたが、後編ではエネルギーや物流といった、もう少し社会インフラに近いところに接している先端技術について考えてみたい。

どこにでも貼り付けられる太陽電池に期待 「グリーンエネルギー」

再生可能なグリーンエネルギーは、2012年に「固定価格買取(FIT)制度」が導入されて以来、加速度的に導入が進んでいる。日本はこの先、「2050年カーボンニュートラル」に向け、グリーンエネルギーのさらなる普及を最優先課題として導入を拡大し、再エネを主力電源としていくことが求められている。2022年4月からは新たな施策として、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せする「FIP制度(Feed-in Premium)」が導入されることが決まっている。

一方で、これまでソーラーパネルを広い土地に並べたり屋根に取り付けたりすることが一般的だった「太陽光発電」の分野では、年々発電に適した場所が少なくなっていることが課題となっている。そこで、電機メーカーの間で、従来のようなパネル型の太陽電池ではなく、特殊な素材をフィルムや建材などに塗り、建物の壁や窓でも発電できるようにする技術の開発が進んでいる。

例えば、東芝は「ペロブスカイト」と呼ばれる特殊な結晶構造を持った素材をフィルムに塗った、厚さが1ミリほどのフィルム型の太陽電池を開発している。「ペロブスカイト」型の太陽電池は、以前から各社が開発を進めていたが、実用化の課題は発電効率を従来の太陽光パネルと同じレベルまで上げることだった。東芝はエネルギー変換効率で15.1%を達成し、従来のシリコン系太陽電池の14~20%に近づいたことから、2025年中の製品化を目指している。

その他にも、ソフトバンクの子会社HAPSモバイルが、地上約20kmの雲の上で基地局を飛行させる「HAPS(高高度基盤ステーション)」事業を展開し、スマホなどの通信に必要な電力を賄うソーラーパネルを搭載した基地局のテスト飛行を進めている。

ミライトでも、これまで全国で太陽光発電関連工事を受託してきた経験を生かし、2021年度下期から発電所建設・販売事業やPPA事業(売電事業)に参入し、社会のグリーン化推進に貢献する予定だ。

東芝が開発したフィルム型の太陽電池(出典:東芝のプレスリリース) イメージ
東芝が開発したフィルム型の太陽電池
(出典:東芝のプレスリリース)

これまでにない活用で新サービスが登場するかもしれない 「ドローン」

これまでも、ドローンによるデリバリーはさまざまな実証実験が行われてきた。だが、それら実験でドローンを飛ばせるエリアは、海上や山間部など人が住んでいない無人地帯に限られてきた。その制約が、2021年6月に国会で可決された航空法の改正案によって緩和され、2022年度からは有人地帯でも目視外飛行(レベル4)ができるようになる。

これによって、最も期待されているのがドローンによる搬送物流分野だ。これまでのように、離島や山村への物流配送だけでなく、都市部においてもドローンによる配送が可能になればデリバリーサービスも変わってくだろう。2021年11月には、JR東日本とKDDI、ウェザーニューズ、Terra Drone、日本航空が、東京・竹芝において有人エリアでのドローンによる食品配送の実証実験を行っている。KDDIはこうしたサービスの実用化に向け、複数のドローンが飛び交う上空において衝突回避などの管制業務を提供するシステムを開発した。

他にも、ドコモが自律的・自動的に構造物を撮影する飛行支援ソフトの提供を開始し、ソフトバンクがグループ会社のモバイル決済システム「PayPay」と連動したドローンのモバイルオーダーシステムの開発を進めるなど、2022年にはドローンを活用したさまざまなサービスの登場が注目されそうだ。

KDDIが開発したドローン管制システム(出典:KDDIのプレスリリース) イメージ
KDDIが開発したドローン管制システム
(出典:KDDIのプレスリリース)

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