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#スマート工場#DX#AI#IoT

中規模工場でスマートファクトリーへの取り組みを成功させるには

2022年10月24日

スマートファクトリーへの対応は、今や中小企業であっても様子見していられる状況ではなくなってきた。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、国内外における消費行動が大きく変化している現在、日本の中小企業がこれからも生き残っていくには、これまで以上にIoTやAIなどのデジタル技術を活用した新しい経営が必要になってくる。大規模企業と比較してDXがなかなか進んでこなかった、中小規模の製造業もスマートファクトリーへの対応は待ったなしだ。

スマートファクトリーへの第一歩はスモールスタートから

通常、スマートファクトリーは「見える化」「データ活用による制御」「自律制御」の3段階で進められる。まずは、工場内に存在するさまざまなデータの収集や蓄積を進め、情報の見える化に取りかかる必要があるが、そこがクリアできれば、後に続く「データ活用による制御」や「自律制御」に関しては、海外も含めてさまざまな先行事例が参考になるだろう。

とはいえ、デジタル対応の専門要員や専門部署などを持たない中小規模の工場では、データや情報の見える化に取りかかるまでに、大きなハードルを越える必要がある。そのハードルの1つが、経営層や現場社員など、全社員にデジタルへの理解を深めてもらう意識改革だ。

では、どうやってそのハードルを越えるのか。そのきっかけとなるのが、スモールスタートによるデジタルの成功事例だ。まずは、一番困っていること、導入しやすい部署などを優先してデジタルを導入してみる。スモールスタートであれば関係者も少なく、投資規模も抑えられ、クイックウインの導入効果が得られやすい。

次の段階で、スモールスタートで見えてきた課題の改善を繰り返しつつ、経営層や他の部署にもアピールする。そうやって、対象工程を増やしたり、拠点を増やすなどによって領域を拡張し、スマートファクトリー化を拡大していく方法をとっている企業の成功事例を見ることも徐々に増えてきた。

スモールスタートのクイックウィンを大きな取り組みにつなげる

ノートPCや車載ディスプレイなどへの採用が拡大している、反射防止フィルムといった機能性材料を製造する従業員約2000名のある中規模企業では、従来、材料や部品などに現品票を張り付け、紙の管理帳票を基にした在庫チェックや使用履歴管理などを進めてきた。そのため、製造工程の中で材料や部品が移動すると、どこにどれだけの材料があるのかなどが正確に把握できず、余計な在庫を抱えたり、設備状況がリアルタイムに把握できていないことでトラブルが発生して工場のラインが停止するなど、非効率な生産体制の是正が課題になっていた。

そこで、その企業では工場の新設を機会に、「工場・モノ・設備・品質の見える化」をコンセプトにしたスマートファクトリーのプロジェクトが始動した。プロジェクトでは、工場内の制御機器やセンサーをネットワークでつなぎ、データを一元的管理するためのIoT化と品質管理におけるAI活用を目標としたが、その取り組みの第一歩がスモールスタートだった。

反射防止フィルムの生産プロセスは、「接続」「脱ガス」「スパッタリング」「防汚塗布」「検査」という、5つの工程に大きく分かれている。「検査」プロセスは、それまでの製造工程で不具合が生じた反射防止フィルムを、専用装置による外観検査で分類して抜き取る最終工程だ。その工程をデジタルによって自動化することを、スモールスタートとした。

反射防止フィルムの不具合分類アルゴリズムをディープラーニングで開発するには、大量の画像データを必要としたが、品質保証部門がそれまでに手動で分類した数百万枚ものデータが活用できた。さらに、データが少ないまれな不良モードについては、疑似的なデータを作成するなどして対応。そうやって完成させたAIアルゴリズムによって、不良分類の精度が90%以上向上するなど大きな成果を得ている。

DXの横展開では意識改革が重要に

スモールスタートでクイックウィンを得たこの企業では、本格的なスマートファクトリーへの取り組みに進もうとした。とはいえ、反射防止フィルムの事例は異なる製品の現場には適用できないため、このクイックウィンが全社員にデジタルへの理解を深めてもらう意識改革のきっかけとはならなかった。

そこで、プロジェクトのメンバーは、各部門や関連部署に対して説明を密に行うなど、全社での認識合わせに時間を割くことにした。全社員のDXに対する理解度を深める情報共有のためのポータルサイトを新設し、戦略策定や開発リソースの強化と併せてリテラシー教育も積極的に行った。さらに、マネージメントや管理職層、リーダー層を中心にITやデジタルをテーマにしたリテラシー講座を開き、DXの必要性や推進体制のあり方、具体的な技術活用事例を学ばせた。

こうした事例を見ると、中堅規模の企業がスマートファクトリーへの取り組みを進めていく上では、各部署に対して丁寧に成果を説明することが重要であり、現場がそのメリットを理解することで初めて横展開が広がっていくと思われる。なによりも、DXで今までのやり方をより良い方向に変えられると、全社で感じてもらうことが重要になるだろう。

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