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#ドローン#点検

人手の作業を効率化するドローンを活用した
水管橋の点検

2022年12月19日NEW

ドローンの活用は、さまざまな分野に広がっている。その1つが、建築物や公共インフラの点検作業だ。2022年4月1日からは、建築基準法で定められている従来の打診点検を、赤外線カメラを搭載したドローンで建物を撮影・分析する、赤外線調査で代用できるようになるなど、国もドローンの活用を積極的に後押ししている。実際にドローンを使ったインフラ点検はどのように実施されるのか。今回は、ミラテクドローンが新たにサービスの提供を開始した水管橋点検ソリューションを例に、ドローンを活用した点検業務について見てみよう。

ドローンで撮影した画像で遠隔からも点検が可能に

日本では、1960年~1970年頃にかけて整備された水道施設が老朽化を迎えており、最近では、年間2万件を超える漏水・破損事故が発生している。2018年度の水道統計では、法定耐用年数(40年)を超えている水道管の割合は17.6%で、現在も増加を続けている状況だ。

こうした社会課題の解決に向け、ミラテクドローンが提供を開始した水管橋点検サービスは、水管橋における管外面の亀裂や塗装の剥がれ、錆の状況、橋梁のコンクリートのひび割れなどをドローンによって近接し、詳細に撮影、記録するソリューションだ。リアルタイムでドローンからの映像を伝送し、劣化部分については詳細に画像を撮影して、その場所を地図上に登録し閲覧できる。

(図1)ミラテクドローンの水管橋点検サービスで可能な点検作業 イメージ
(図1)ミラテクドローンの水管橋点検サービスで可能な点検作業

実際に点検作業を実施する水道事業者にとっても、「点検のために特殊車両や仮設足場が必要になる」「形状 や現場の状況(川幅)によっては目視点検が困難」「点検結果の評価に人的な誤差が出てしまう」「経年劣化の差異をみたい」などの悩みがあるという。こうした悩みも、水管橋点検サービスの導入で、特殊車両や仮設足場が必要な場所でも点検が可能になり、赤外線カメラによって設備(漏水など)の温度変化を見える化できるようになる。また、画像解析のニーズに合わせてAI解析ソフトの活用も可能で、写真データに経度緯度が記録されるので、同じ場所の経年劣化が確認できる。

さらに、リアルタイムで配信されるドローンからの映像を、水管橋や橋梁の劣化診断の専門家が事務所などの遠隔地から診断することも可能で、劣化が疑われる部分については、必要に応じて高精細な画像をさまざまな角度から撮影し、その場所を地図上に登録、閲覧することもできるという。

(図2)ドローンパイロットと指令本部がシームレスにつながり、遠隔からリアルタイムに点検できる イメージ
(図2)ドローンパイロットと指令本部がシームレスにつながり、遠隔からリアルタイムに点検できる

サービス提供のきっかけとなった和歌山県の水管橋崩落事故

ミラテクドローンが、このようなサービスの提供を開始するきっかけになったのが、2021年10月3日に発生した、和歌山市の紀ノ川北側に送水する水道管を渡す「六十谷(むそた)水管橋」の一部が破損、落下した事故だ。六十谷水管橋は直径90cmの2本の水道管で構成され、2015年度に耐震工事が実施されていた。

崩落の原因は不明だが、和歌山市が2021年10月6日にドローンを使って上空から撮影をしたところ、崩落した中央径間の北側に隣接する径間で、送水管とアーチをつなぐ吊り剤18本のうち4本に腐食や破断が発見されたという。

和歌山市は六十谷水管橋に対して、月1回約40m離れて隣接する道路橋・六十谷橋から目視での漏水点検を行うとともに、年1回は本水道管の管理用通路から目視で上部構造などの点検を行っていた。しかし、いずれの点検も高い位置にある構造部材を十分確認できなかったという。また、2021年5月11日に行われた年1回の点検では、橋の上部構造に複数の腐食が発見されたことから、2022年度以降の塗装工事などが検討されていた。しかし、破断は把握しておらず、緊急性を要するとの認識もなかったという。

(図3)崩落事故を起こした六十谷水管橋 イメージ
(図3)崩落事故を起こした六十谷水管橋

ミラテクドローンでは2020年1月から、大阪府堺市上下水道局や複数の自治体の水道局の参加によって、ドローンを用いた水管橋点検の実証実験を行っていた。そうした実績もあり、六十谷水管橋のような崩落事故を未然に防ぎたいとの思いから、愛知県豊田市上下水道局と水管橋点検におけるドローンの有用性を検証する実証実験を、豊田市矢作川の川田水管橋において行うことにした。

ドローンによる点検作業の実証実験を実施

実際の点検方法として、まずドローンを平行移動させながら、水管橋に対して4方向(上部・下部・左右部)からの撮影を実施。次に、河川の中央にある橋脚1ヵ所に対し、4面の撮影を実施。その後、橋脚との接合部(ボルトなど)や赤外線カメラで温度変化のあった箇所について、高倍率ズームや赤外線での温度変化を顕著にするための詳細な撮影を実施した。

(図4)豊田市の川田水管橋におけるドローン点検の実証実験 イメージ
(図4)豊田市の川田水管橋におけるドローン点検の実証実験
(図5)ドローンによって撮影された可視光カメラの画像(左)と赤外線カメラの画像(右) イメージ
(図5)ドローンによって撮影された可視光カメラの画像(左)と赤外線カメラの画像(右)

それらの結果をもとに、管外面の亀裂や塗装の剥がれ、錆の状況、橋梁のコンクリートのひび割れなどが的確に把握できることを実証し、実用化を進めてきた。これによって、以前は川岸から肉眼で行ってきた水管橋の点検を、ドローンに搭載したカメラから近接で詳細に撮影・記録することが可能になった。

また、この実証実験によって、航空局への飛行申請以外にも、河川管理者、河川敷管理者への事前報告が必要なことも分かった。さらに、水管橋周辺の河川敷は背丈ほどの高さの草で覆われていたため、現地の草刈りは豊田市が行うなど、ドローン離発着場所の現地状況把握は行政側との連携が必要であることにも気づかされたという。

豊田市側からも実証実験後に、
 ・目視では確認できない部分のひび、さびなどの検知に有効
 ・水管橋単独での点検ではなく、橋染維持管理部局との連携も検討する必要がある
 ・ガス管と水道管が布設している水管橋については、ガス会社による同時点検も可能
 ・ドローン点検は、劣化状況の履歴が残るため有効
といった意見が聞かれた。

ミラテクドローンでは今後、撮影したデータから劣化予測を行うAIとの連携を検討し、一定の手法を確立しながら均一な品質を保ち、安価に提供できるソリューションを確立しようと考えている。ドローンによる水管橋点検を、スタンダードな手法として浸透させたいとのことだ。

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