デジタル田園都市国家構想基本方針は街づくりをどのように変えるか イメージ
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デジタル田園都市国家構想基本方針は
街づくりをどのように変えるか

2022年08月05日NEW

日本政府は、6月7日、デジタル化で地方の課題の解決と活性化を目指すデジタル田園都市国家構想の基本方針を閣議決定した。都会から地方への人の流れを生みだすための施策の鍵は、光ファイバーや5Gなどの通信インフラ整備と、「転職なき移住」の実現だ。デジタル田園都市国家構想で、未来の街づくりはどのように変わっていくのか、探ってみよう。

5Gや光ファイバーのカバー率を高め、一極集中の解消を目指す

通信インフラ整備では、2027年度末までに、光ファイバーの世帯カバー率99.9%、2030年度末までに5Gの人口カバー率99%を達成することなどが盛り込まれた。2025年度末までには、デジタル田園都市スーパーハイウェイとして、日本を周回の海底ケーブルを敷設すること目指す。

過疎地や離島、豪雪地帯など、条件が不利な地域のインフラ整備の促進には、高度無線環境整備推進事業などの補助金を活用する。「ドローンや5Gを活用した『スマートアイランド』で、離島の課題を解決」で紹介した新潟県粟島浦村の事例では、総事業費18億円の海底光ファイバー敷設工事の3分の2にあたる12億円は、「高度無線環境整備推進事業」による補助で賄われる。他にも、地方創生臨時交付金や、過疎対策事業債(過疎債)の補填などの支援などがあり、粟島浦村の実質負担額はわずか3600万円となる。光ファイバーについては、不採算地域における赤字の一部を補填する「ユニバーサルサービス交付金制度」の創設も施策に盛り込まれ、一極集中を解消しようとする狙いが伺える内容となった。

通信事業者以外の参入が活発化するインフラシェアリング

5Gインフラの整備促進は、インフラシェアリングが鍵となりそうだ。2018年にインフラシェアリングについてのガイドラインが発表されて以来、政策としてインフラシェアリングを推進する動きが活発化しており、2022年1月に三菱地所がインフラシェアリング事業への参入を発表するなど、基地局の設置に適した場所を保有する事業者による参入も目立つ。三菱地所は、今後5年で300億円を投資し、1000以上のサイトにおいてインフラ建設を進める予定で、第一号サイトである丸ビルでは、すでに携帯キャリア4社へのインフラ提供が始まっている。

インフラシェアリングのイメージ(出典:三菱地所プレスリリース) イメージ
インフラシェアリングのイメージ
(出典:三菱地所プレスリリース)

同様に、住友商事と東急は、5Gを中心とした基地局シェアリングサービスの提供を目的として、Sharing Designを設立している。携帯事業者同士の取組みとしては、KDDIとソフトバンクに2020年4月に設立した、インフラシェアリング会社「5G JAPAN」がある。

「転職なき移住」で地方を活性化

デジタル田園都市国家構想の基本方針では、都会から地方への人の流れを生みだすための施策として、24年度末までに1000の地方自治体にサテライトオフィスを設置する目標が掲げられた。地方創生に取り組む自治体に寄付をした企業の法人税を控除する「企業版ふるさと納税」などの仕組みを活用し、サテライトを増やす計画だ。

NTTグループが、2022年7月から日本全国どこに居住してもリモートワークで働くことを可能にする制度「リモートスタンダード」を導入したことが話題となった。高度な通信環境が整い、どこからでも働く仕組みが整えば、会社への通勤圏に居住する必要はなくなり、「転職なき移住」が可能になる。

「転職なき移住」の受け皿となるべく、デジタルを活用した街づくりに挑戦している自治体に、北海道更別村がある。同村には、2022年4月までに携帯会社3社の電波塔6本を建設しており、5Gの人口カバー率は7割に達する。5G通信は、村の主要産業である農業のスマート化に活用されているが、これに加えて、更別村では、自動運転技術の実証試験や、生活習慣病の遠隔診療を始める計画だという。今では、全国の大学や企業8団体が同村に事務所を構えており、4月には村が設置したサテライトオフィスに東京大学が入居した。

更別村では、デジタル技術を活用して課題解決を目指す「更別村SUPER VILLAGE構想」を掲げる。同構想は、デジタル田園都市国家構想推進交付金 デジタル実装タイプ(TYPE3 リーダー的事業)に採択され、「100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村」の実現に向けコミュニティナース事業などの施策が実施されている。

出典:更別村「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書」 イメージ
出典:更別村「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書」

GX・DXへの投資で、持続可能な街づくりを実現

デジタル田園都市国家構想は、「心豊かな暮らし」(Well-being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)の実現を目標とする。そのためには、経済成長と環境保護を両立させ、カーボンニュートラルにいち早く移行するGX(グリーントランスフォーメーション)が不可欠だ。 デジタル田園都市国家構想の基本方針の同日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、「GX・DXへの投資」など4つの分野への投資を推進する計画が示された。具体的には、2025年度までに住宅・建築物の省エネ基準適合を義務化し、2030年度以降に新築される住宅や建築物については、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)水準が確保されることを目指す。

ZEHやZEBを実現するためには、エネルギーマネジメントの効率化、最適化が求められる。コンピューターで送電・配電を制御して通信で情報をやり取りする現在において、家やビル単位、そして、街や都市単位で、エネルギーを管理するシステムを高度化するためには、5GやIoTの役割が大きい。今回閣議決定されたデジタル田園都市国家構想や新しい資本主義のグランドデザインは、5Gなどの通信インフラや、それを制御するための仕組みが、今後の街づくりの中心となっていくことを示すものといえるだろう。

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