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「省エネ大賞」を受賞した
沖縄の大型商業施設の省エネルギー施策とは

2023年6月26日

サンエー、リライアンスエナジー沖縄、竹中工務店が共同で応募した省エネ・省 CO2活動への取り組みが、一般財団法人省エネルギーセンター主催による「2022 年度省エネ大賞」において、省エネ事例部門における「経済産業大臣賞」を受賞した。

受賞したのは「沖縄における大型商業施設の省エネルギー・省 CO2への先導的取り組み」で、沖縄最大級の大型商業施設「サンエー浦添西海岸パルコシティ」(2019年6月開業)において、先導的技術の導入や日々の運用改善により、快適な店内環境を確保しつつ、大幅な省エネルギー・省CO2を実現したことが高く評価された。

サンエー浦添西海岸パルコシティ(出典:パルコ) イメージ
サンエー浦添西海岸パルコシティ
(出典:パルコ)

3社は年間冷房が必要な亜熱帯地域である沖縄において、商業施設としての快適な店内環境を確保しつつ、省エネ・省 CO2 を実現するため、先導的な省エネルギー技術を積極的に採用し、エネルギー消費量の削減に取り組んだ。

このような省エネに取り組んだ背景には、沖縄が亜熱帯気候の高温多湿で、通年で冷房需要があり、ほぼ火力100%の電源構成のためカーボンニュートラル実現への高いハードルがあること。また、 インバウンド需要を見込んだホテル・商業施設の新増設や米軍基地返還地の大規模再開発の可能性があることなどによるという。

照明、空調、再生エネルギーの活用という3つで省エネ

3社は、照明、空調、再生エネルギーの活用という3つのポイントで省エネに取り組んだ。 照明の省エネルギーでは、店舗内の照度を下げることを避けたいというオーナー要望のもと、建設当初から全館にLED照明を採用し、消費電力を大幅に削減。気象予測や休平日来客記録などをBEMS(Building Energy Management System)によって管理し、連動させるオペレーション(運用管理)のオートコントロールシステムより制御した。また、各所のトイレや後方諸室へ人感センサーを設置し、不在時における減光を実施した。

空調における省エネルギーでは、冷水カスケード潜・顕分離空調システムを導入し、自己再熱型外調機で除湿処理した低温外気を店舗へ供給したほか、外調機で利用した冷水をFCU(ファンコイルユニット)へカスケード利用した。

そのほか、外調機の吹出温度を室内温湿度に合わせて制御し、冷水の製造エネルギーを抑制(冬期)したり、外気温が27℃以上時、マルチパッケージエアコン室外機への定期的な散水により運転効率を向上させた。

また、一部エリアで、天井面に温度センサーを設置し、室内温度によるFCUの運転制御を実施したほか、建物内の居室排気を電気室や熱源機械室を介して屋外へ排出する室内還気利用により換気ファンの運転エネルギーを削減したという。

サンエー浦添西海岸パルコシティの省エネ施策(出典:リライアンスエナジー沖縄) イメージ
サンエー浦添西海岸パルコシティの省エネ施策
(出典:リライアンスエナジー沖縄)

再生可能エネルギー活用による省エネルギーでは、太陽光利用によるスカイライトシステムを導入し、太陽光の"光"のみを効果的な採光として利用し、照明制御と組み合わせることで省エネルギーを行い、消費電力を年間11%削減した。

また、換気風量が大きい外調機に対して、水温25℃程度の地下水を利用し、熱源製造熱量を抑制した。外気温が地下水温よりも高い場合に予冷を行うのは、冷房負荷の大きい夏期においては効果的だという。

そのほか、デシカント空調機導入により冷蔵・冷凍ショーケース内の着霜防止を実施。さらに、非常時には、防災拠点に照明・コンセント・空調用電力供給を可能にし、常時でも、照明・コンセント・空調の直流電源に供給可能にした。

運用改善による省エネ

実際の運用を開始してからは、毎月、リライアンスエナジー沖縄がエネルギー使用実績データからエネルギー消費量や使用状況を分析し、定期的に関係者で運転分析報告会を実施。継続的な運用改善へ繋げた。

例えば、店舗内空調機の立上げ起動時、熱源機(ターボ冷凍機)が必要台数以上に起動し、電力デマンドが立っていたため、立上げ起動時の負荷を分散させることで熱源機(ターボ冷凍機)の立上げ台数を抑制した。

また、運用開始直後は想定負荷と実際の負荷に差異が生じ、稼働する熱源機器の組み合わせが最適でなかったため、季節(負荷)に応じて定速機・インバータ機それぞれの特性を活かした運転パターンへ変更した。

これらの取り組みにより、2021年度は一般的な商業施設に比較して一次エネルギー消費量を約40%削減(目標値は37%削減)したという。

サンエー浦添西海岸パルコシティの省エネ効果(出典;リライアンスエナジー沖縄) イメージ
サンエー浦添西海岸パルコシティの省エネ効果
(出典;リライアンスエナジー沖縄)

今後は、運用実績の分析結果を翌月以降の運用計画に反映させたり、気候と設備の運輸状況を考慮し負荷想定を作成して、それに基づき、システム全体の効率を考慮した運用計画を作成。また、運用実績(受電電力量、稼働時間、冷却水使用量等)を分析し、運用での改善点等を分析するなどして、対応策の評価や改善の持続、省エネ対応策の洗い出し等により更なる効率化を目指すという。

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