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サステナブルなボールパークを目指す「楽天モバイルパーク宮城」 イメージ
#ICT #スマートシティ #まちづくり

サステナブルなボールパークを目指す
「楽天モバイルパーク宮城」

2023年8月21日

日本の地方都市の多くは、人口減少が深刻化し、産業衰退や少子高齢化といった課題に直面している。そのため、地方都市では、既存の観光資源や地域資源をもとに、都市部以上に、ITやテクノロジーを活用した新たな事業創出による地方創生が期待されている。楽天イーグルスの取り組みも未来のまちづくりの良い例と言えるのではないだろうか。今、野球を通じ、環境、社会、地域の3つのテーマを軸に、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速化している。そんな取り組みについて紹介したい。

野球ファンはもちろん、地域住民がスタジアム周辺でも楽しむことができる

楽天グループを親会社に持つ東北楽天ゴールデンイーグルスは、2004年にNPB(日本野球機構)への参入を表明。仙台市の宮城球場(楽天モバイルパーク宮城)を本拠地として、2005年のシーズンからプロ野球のペナントレースに参加している。

楽天モバイルパーク宮城 外観 ⓒRakuten Eagles イメージ
楽天モバイルパーク宮城 外観 
ⓒRakuten Eagles

宮城球場は2005年時点で開場から55年が経過し、老朽化しているということもあったが、楽天野球団が随時改修を行うことで、年間動員数も増加。2005年は98万人であった年間動員数もコロナ前の2019年には182万人まで増やしている。

米国のボールパークを目指す

同球団では、楽天モバイルパーク宮城を、米国のボールパークのように、野球観戦以外の部分でも楽しめる施設を目指している。

「当時のプロジェクトメンバーがボストンのフェンウェイパークなど多くの米国のスタジアムを視察し、良いところを取り入れ、それを積み重ねることによって、野球観戦だけではなく、それ以外のエンターテインメントも提供し、ファミリーで楽しめるボールパークを目指しました。プロ野球の試合3時間だけ過ごす場所ではなく、試合開始2時間前に来てもらって、5時間過ごしてもらうために何ができるかを考え、当初からスタジアムの外周も含めたボールパークを構想していました」と、株式会社楽天野球団 コーポレート本部 スタジアム部 部長 山縣 大介(やまがた だいすけ)氏は説明した。

株式会社楽天野球団 コーポレート本部 スタジアム部 部長 山縣 大介氏 イメージ
株式会社楽天野球団 コーポレート本部 スタジアム部 部長 山縣 大介氏

楽天モバイルパーク宮城では、NPB参入の2005年に大きな改修を実施。その後、2009年、2013年と随時改修を行い、レフト側後方に観覧車やメリーゴーラウンドなどがあるスマイルグリコパークができた2016年に現在の形になった。なお、スマイルグリコパークは、サンディエゴ・パドレスが本拠地にしているペトコ・パークがモデルだという。

山縣氏:古いものを活かしながら、どう新しいものを創るかがポイントになっています。ノスタルジックでクラシックな雰囲気のある古いものを残しながら、独自の路線で進んでいこうと思います。

楽天モバイルパーク宮城 内観 ⓒRakuten Eagles イメージ
楽天モバイルパーク宮城 内観 
ⓒRakuten Eagles

来場を増やすためのファンサービスでは、ファウルゾーンを狭くしてフィールドと観客席の距離を短くし、より臨場感が感じられる工夫をしているほか、選手によるステージでのトークショーや、選手情報をSNSやYouTubeに投稿するなど、選手をより身近に感じていただけるような取り組みも行っている。また、女性ファンを増やすため、イーグルスガールデーという女性向けのイベントも開催。ファン層の拡大に努めている。

「飲食のお店も多種多様で、販売しているグッズのアイテムも多いと思います。正面広場のイベントもそうですが、スタジアムに来ると何か楽しいことをやっているということが、基本的なファンサービスだと思っています。マスコットがグリーティングするなどディズニーランドのようなイメージを持ちながらやっているファンサービスもあります」と山縣氏は語る。

試合中でもスタジアムの外周も楽しめるように、チケットやQRコードがあれば、再入場も可能だ。

山縣氏:サッカーは試合前とハーフタイムの2回しかないですが、野球は各回に表裏があり、18回のビジネスチャンスがあると思っています。ボールパークには、それを活かす受け皿があると思います。

観戦体験の向上を目的としてモバイルアプリもリニューアルした。このアプリでは予告先発といった試合情報のほかにも、その日にどんなイベントが行われるかなど、公式ホームページに行かなくても、必要な情報が集約されるという。

現在の楽天イーグルス公式アプリ ⓒRakuten Eagles イメージ
現在の楽天イーグルス公式アプリ 
ⓒRakuten Eagles

IT化の面では、2019年に100%キャッシュレスを実現。2020年にはチケットレスも導入した。キャッシュレスでは、楽天ペイや楽天Edyなどで買い物ができ、これらは楽天IDと紐づいており、買い物時に楽天ポイントが取得できるようになっている。来場者の属性や年間の来場回数、購買履歴などが楽天経済圏としてデータが蓄積され、これらをマーケティングにも活かしている。

ただ、キャッシュレスに不慣れな人もいることから、制度導入の前シーズンから事前告知を行い、キャッシュレスの利便性の訴求にも力を入れたという。スタジアム内には、サポートを行うキャッシュレスデスクも設置している。

サステナブルへの取り組み

楽天モバイルパーク宮城がとくに力を入れているのが、サステナブルへの取り組みだ。2022年4月22日には、「楽天生命パーク宮城」を日本一のサステナブル・スタジアムにすることを目指すと宣言した。

山縣氏:政府が目指す2050年のカーボンニュートラルに向けて、楽天グループとして何ができるのかというのがスタートで、楽天グループの一員である野球団として何ができるのかを考え、宣言しました。

CO2排出量削減に向けた取り組みの一環としては、2022年4月から、自社の事業活動で使用している電力を100%再生可能エネルギー由来の電力(水力発電)に切り替えている。これにより電力使用によって排出されるすべてのCO2が削減され、CO2総排出量は2021年の実績値と比較して年間で約2,600t、約90%分が削減されるという。

また、プロ野球界で初めてとなる「エコステーション」を設置。ボランティアスタッフがゴミ分別回収を推進し、来場者に対してエコの啓蒙活動を行っている。

エコステーション  ⓒRakuten Eagles イメージ
エコステーション 
ⓒRakuten Eagles

回収したペットボトルはナップサック、ネックウォーマーなどキッズ向けアイテムに再生している。また、プラスチックは、「きれいなプラ」として分別。その後、RPFという固形燃料にリサイクルされ、製紙工場で重油の代替燃料として使用されている。

そのほか、飲食売店でご提供しているビールや、お渡しするストロー、スプーン・フォークのエコ素材への切り替えや、選手の折れたバットのアップサイクル、MyHEROタオルのリサイクルなどにも取り組んでいる。また球団サプライヤーについても、グッズ等大口取引先を中心に、楽天グループサステナブル調達インストラクションに基づいて、現状調査を進め、インストラクション遵守に向けた取り組みを行っている。

そして今後もサステナブルなスタジアムに向け、楽天モバイルパーク宮城敷地内の実態把握や削減プランを策定し、設備機器省エネ化や、スタジアムLED化等、電力利用の効率化を進め、CO2排出量の削減に取り組んでいくという。

地域連携にも注力

同球団では、「地域とのつながり」も大きな柱と位置づけており、東北の自治体、商工会議所や地元商店街などのコミュニティとの交流や地域課題解決への支援にも力を入れている。

山縣氏:地域というキーワードは今後、SDGsとしても重要だと考えています。そのため、いろいろな学校や幼稚園を訪問したり、東北全県の教育委員会と連携をとり新小学1年生にキャップをプレゼントするといった繋がりも持っています。

またここ数年は、5月の平日の昼間に試合を行って、仙台市教育委員会で推進している小学生の職場体験プログラム『弟子入り体験』と、中学生を対象にした『職場体験』の一環で、試合開始前に楽天モバイルパーク宮城のお仕事体験をして、午後は試合観戦を楽しんでもらっている。

ベースボールやチアダンスのアカデミーも宮城だけに限らず、東北各県で開校しており、地域のスポーツ振興活動に寄与している。

そのほか、地元の高校生と協力して地域の子どもたちに植物の育て方をレクチャーし、育った植物をスマイルグリコパークに展示するなど、季節に応じたさまざまなイベントを行っている。

さらに、パートナーと協力しドリームシートを設け、少年野球チームや福祉団体などを本拠地の試合観戦に招待しているほか、楽天イーグルスの選手がホームランを記録した試合数と同じ台数の車椅子を、東北各地の施設に寄贈する活動も行っている。

今後も、「楽天モバイルパーク宮城」を中心とするまちづくり、地域創生に期待したい。

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