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#EV #スマートシティ #自動運転

EV活用と密接に結び付く
海外のスマートシティ事情

2023年10月16日

先進国から新興国まで、世界中で実現に向けた取り組みが進むスマートシティだが、それぞれの国の事情によって、優先すべき課題が異なる。とはいえ、CO2削減などの環境課題を解決するには、電気自動車(EV)の活用が必須条件であることについては共通しているようだ。海外では、スマートシティの実現において、どのようにEVを普及・活用しようとしているのか。

充電設備の充実と国産化で国民のEV利用を促進するシンガポール

シンガポール政府は2014年に、交通渋滞や少子高齢化などの課題解決、および国民生活の向上を目指すスマートシティ政策「Smart Nation Singapore」を開始した。以来、国を挙げてスマートシティの実現に向けて取り組んでいる。すでに、気温の観測値や顔認証に関する情報などを提供しながら住民サービスのためのプラットフォームを整備する「Smart Nation Sensor Platform」や、高齢者の見守りシステムを整備する「Elderly Monitoring System」、自動運転のシャトルバスを開発する「On Demand Shuttle」などといったプロジェクトを実施している。

シンガポール政府はスマートシティを進めていく上で、EVの普及が不可欠と考えているようだ。JETRO(日本貿易振興機構)によると、シンガポールで2021年に新規登録されたEVは、前年と比較して17倍に増加。シンガポール政府は、2040年までにガソリン車やディーゼル燃料車を段階的に廃止し、EVに代表されるような環境に優しい車の普及を拡大していく方針を示している。

一方で、シンガポールは、国民の8割以上が公営住宅(HDBフラット)に居住することから、公営住宅の駐車場での充電スタンドの整備拡大が求められている。政府は2021年2月に発表した国全体で持続的な環境保全を目指す計画「シンガポール・グリーンプラン2030」の中で、公営住宅の駐車場で電気自動車(EV)用充電設備を設置する取り組みに力を入れると発表。2030年までに国内全体で6万基まで増やし、うち4万基は公営住宅などの公共駐車場、残り2万基は民間住宅などに設置する計画である。

さらに、シンガポールではEVの製造にも力を入れている。2023年3月には、国内のEV生産スマート施設「ヒュンダイ・モーター・グループ・イノベーション・センター(HMGICS)」で、初のシンガポール製EVの1つ「IONIQ 5」の販売を本格的に開始した。HMGICSでは、2025年までに3万台のEVを生産する計画だ。

(写真1)シンガポールのEV製造工場「HMGICS」で作られた初のシンガポール製EV「IONIQ 5」(出典:ヒュンダイのWebサイトより引用) イメージ
(写真1)シンガポールのEV製造工場「HMGICS」で作られた初のシンガポール製EV「IONIQ 5」
(出典:ヒュンダイのWebサイトより引用)

EVシャトルバスなど公共交通の利用を最優先させるインドネシア

経済成長が著しい新興国においても、スマートシティと銘打った都市開発がみられる。インドネシアの首都ジャカルタでは、郊外にあるBSD(Bumi Serpong Damai)シティで100ヘクタール超の新規開発用地に対して、公共交通指向型開発をコンセプトとした、住宅・商業施設・学校・病院・公園・交通結節点などの都市機能を組み合わせたスマートシティ開発が推進されている。

急速な経済成長が進んでいるインドネシアにおいては、特に首都圏中心部の過密な交通環境による交通渋滞と大気汚染が深刻な問題になっている。そのため、政府はスマートシティによる都市開発において、MRTやLRTとともにEVバスによるBRTなどの公共交通の利用を最優先させようとしている。

2022年11月15、16日にインドネシアで開催されたG20(金融・世界経済に関する首脳会合)バリ・サミットの会場となったバリ州のヌサドゥアでは、11月11日から11月16日までEV展示会が開かれた。そこでは、各国で開発されている最先端のEV車両とともに、インドネシアのスマートシティでの活躍が期待されるEVも紹介された。展示された自動運転EVシャトルバスは、BSDシティ内のショッピングモールとオフィスビルで、機能性や安全性および現地での運用可能性が検証されており、日本国内でも東京羽田イノベーションシティや三重県四日市市、鎌倉市などで実証されている。

(写真2)G20に合わせて開催されたEV展示会で紹介された自動運転EVシャトルバス(出典:JICAのWebページより引用) イメージ
(写真2)G20に合わせて開催されたEV展示会で紹介された自動運転EVシャトルバス
(出典:JICAのWebページより引用)

EV普及の鍵となる充電設備の拡充と共通化を目指す自動車メーカー

今やスマートシティを実現させる鍵とも言えるEVの普及だが、各国の自動車メーカーは、ユーザーがEVを購入しない大きな理由の1つが、充電インフラの不足にあると捉えている。さらに、ステーションごとに充電方式が異なり、利用しにくいこともEVの普及が進まない理由の1つと考える。

そこで、米国のエネルギー・運輸合同局は信頼性が高く、使いやすい公共充電インフラを開発するためのコンソーシアム「National Charging Experience Consortium」を立ち上げた。同コンソーシアムにはGM(General Motors)やフォード、テスラ、BMWなどが参加し、「公共充電における支払処理とユーザーインターフェース」「車両と充電器間の通信」「診断データの共有」という3つの課題に取り組む。

一方で、充電インフラの重要性をどのメーカーよりも早い時期から理解していたテスラは、充電インフラの整備に多額の資金を注ぎ込んできた。テスラがEVと充電スタンドをつなぐコネクター、および充電ポートの設計と仕様を公開したことで、今後米国ではテスラの充電インフラがGMやフォードにも提供されそうだ。

さらに米国では、ホンダとBMW、GM、ヒュンダイ、キア、メルセデス・ベンツ、ステランティスの7社が、EVの充電インフラを整備する合弁会社の設立に合意。2023年内の新会社設立を目指し、2024年夏に米国で最初の充電ステーションを開設する。米国とカナダで、少なくとも3万基の充電器を設置していくという。

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