四日市市が進めるローカル5Gを
活用したスマートシティとは

2024年1月29日

三重県四日市市は中央通り再編・バスタの整備を契機として、中心市街地におけるスマート化を推進するため「四日市スマートリージョン・コア実行計画」を策定。産学官で構成する四日市スマートリージョン・コア推進協議会(事務局:四日市市)では、目標である『都市軸と新たな「市(賑わい)」の創出』の実現に向け、中央通りの再編に合わせて、四日市市のスマート化に取り組んでいる。

四日市市のスマート化のイメージ(出典:四日市市都市再生協議会) イメージ
四日市市のスマート化のイメージ
(出典:四日市市都市再生協議会)

スマート・インフラなどのハードとデータプラットフォームなどのソフト、それぞれのインフラを整備し、サービス提供へ

そして、協議会の会員である「シー・ティー・ワイ」は、中央通りの再編に合わせ、2023年3月31日にローカル5Gを開局。設置したローカル5Gを、今後、各種センサーなどのスマート・インフラの通信に活用する。

ローカル5G基地局(出典:パナソニック コネクト) イメージ
ローカル5G基地局
(出典:パナソニック コネクト)

「四日市スマートリージョン・コア実行計画」では、都市基盤整備・センサー等を含む「ハード・インフラ」、およびデータプラットフォームなどの「ソフト・インフラ」の整備により、中心市街地におけるさまざまな「サービス」を生み出そうとしている。

「ハード・インフラ」、データプラットフォームなどの「ソフト・インフラ」の整備により、さまざまなサービスを提供(出典:四日市市都市再生協議会) イメージ
「ハード・インフラ」、データプラットフォームなどの「ソフト・インフラ」の整備により、さまざまなサービスを提供
(出典:四日市市都市再生協議会)

「ハード・インフラ」では、街路灯などのストリートファニチャーを「スマート・インフラ」とし、中央通り再編に伴いAIカメラや環境センサーなどのセンシング機器を新たに整備する。

「ソフト・インフラ」では、「データプラットフォーム」や「3D都市モデル」を構築し、さまざまなサービスを提供する。例えば、人流等のデータ測定結果をバスタ等の整備計画に適宜反映させるスマート・プランニングを試行。

具体的には、イベント開催時の来場者数を予測して最適な警備員配置を検討するなど、データを活用したマネジメントを行い、エリアマネジメントの事業収支の効率化を図る。

将来的には、着工・竣工後におけるデータ測定・維持管理体制への反映も含めた、より良いマネジメント・ツールとしての活用を目指す。

そのほか「ソフト・インフラ」では、エリアにおける新たな人材やビジネスおよびサービスを常に生み出し続けるため、データ分析による消費者ニーズの発掘やビジネスの担い手となる人材の育成を図る。例えば、公民学で連携して必要なデータを集約するプラットフォームを構築。公開情報と非公開情報を仕分け、秘匿情報については十分なセキュリティにより安全性を確保する一方で、可能な範囲においてはデータを積極的にオープン化し、市民の活用による新たなイノベーションの創出やスマート化の取り組み全体の最適化のために活用する。

「3D都市モデル」では、オープンデータ化するとともにユースケースとして、現在検討が進められる中央通り再編の計画案や別途計測する人流データ、各種災害リスク等の可視化を行い、スマート・プランニングやまちづくり、各種計画の検討に活用する。

これら、ハード・ソフトを活用し、以下のようなサービスを提供することを目指している。

デジタルサイネージや街路灯を利用した情報提供

提供するサービスの1つが情報提供だ。四日市バスターミナルでは、四日市の観光情報、周辺のグルメ等を含む地域情報を、デジタルサイネージ・個人端末(スマートフォン)等を通じて提供。また、利用者属性に応じた広告配信やクーポン配信等を行うことにより、バスタ*を拠点としたウォーカブル・ネットワークの構築、観光・賑わい創出を促進。さらに、デジタルサイネージや個人端末(スマートフォン)等を通じて、鉄道・バスの運行情報、周辺の交通渋滞情報、バス停の混雑情報などを表示する。そのほか、AR等を用いたバス停までの案内による乗り換え利便性の向上を図ることや、高齢者等向けの座席の事前予約システム等についても検討している。

バスタ*
「バスタ」とは、バスがスター(星)のように各地に放射するさまや、バスターミナルの略、バス・タクシーの略など複数ある。バスタの整備事業が「バスタプロジェクト」で、政府は全国展開を推進している。

街路樹や街路灯を使った情報提供も検討されている。街路樹のライトアップや街路灯など、屋外に設置される照明器具をICTで制御することで、例えば、天気や新型コロナウイルス感染者数などの情報に連動して照明の色を変えるなど、情報発信機能を実装する。

また、リアルタイムに空いている店舗等の情報を発信することで、例えばビジネスマン向けのシェアオフィスとしての有効利用、空いている店舗を利用したいユーザーへの優先的な電子クーポン配信などについても検討する。

情報提供は防災にも活用する。デジタルサイネージやスマートフォン等へ災害情報をタイムリーに配信することで、屋内外問わず市民に対する迅速な情報発信が可能な通信インフラを確保する。また、避難所の空き・混雑状況に併せてルート案内による誘導も実施する。

ウォーカブル・ネットワークの拠点(出典:四日市市都市再生協議会) イメージ
ウォーカブル・ネットワークの拠点
(出典:四日市市都市再生協議会)

センサーを活用したサービス

センサーを活用したサービスも検討されている。街路樹や街路灯では、人感センサーを組み合わせることで、市民の動きに応じて照明をコントロールし、電気使用量の削減を図るとともに、イルミネーションやデジタルアートなどとして、まちの演出効果やパブリックスペースでの歩く楽しみを創出する。

また、パブリックスペースを中心としてまちなかに環境センサーを設置し、各スペースの快適度や混雑度を可視化するとともに、夏の暑い日には日陰となるルートを提案。また、暑熱時には屋外ミストが自動的に稼働するなど、快適な歩行環境を展開する。

そのほか、まちなかに環境センサーを設置し、各スペースの快適度や混雑度を可視化するとともに、夏の暑い日には日陰となるルートを提案。また、暑熱時には屋外ミストが自動的に稼働するなど、快適な歩行環境を展開する。

さらに、IoTアセットによる商店街等の人流や店舗の混雑状況の計測・可視化、スマホ上における特定の座席予約などを検討する。

待ち時間や移動時間を楽しめるモビリティの導入

新たなモビリティの導入もサービスの候補になっている。中心市街地のウォーカブルな環境実現をサポートする自動運転車両、電動キックボード、超小型EV、電動車椅子など、ニーズと距離に応じて多様なモビリティを導入する。また、近隣商店街からの自動配送システム導入についても検討。さらに、中央通り沿いのパブリックスペースを中心に、多様なモビリティの駐車スペースに加えて、休憩、充電スペースなどが複合したマルチ・モビリティポートを設置する。

これらの多様なモビリティ及び駐車場等の利用予約、料金の支払い、各ポートにおいて乗り捨て可能な運営システムを構築。また、バス乗車中に近隣施設の受付、イベント予約、お店・観光情報の入手など、待ち時間や移動時間を楽しめるためのシステム構築についても検討する。

VR・AR、メタバースも活用

新規整備する図書館においては、ウォークスルー型の書籍貸出自動化システム、VR・AR等を用いた書籍への案内システム、館内混雑状況の可視化および館内スペースのオンライン予約など、デジタル技術を活用したスマート図書館も検討されている。

さらに、仮想空間上のイベントに自分のアバターで参加し、遠方の人ともリアルタイムで意見交換を行うことや、仮想空間上でイベントや討議を開催するなど、さまざまなコミュニケーションツールとしての活用を図る。

メタバース(デジタルツイン)(出典:四日市市都市再生協議会) イメージ
メタバース(デジタルツイン)
(出典:四日市市都市再生協議会)

これらのサービスは2023年度から部分実装が始まり、2027年度以降、多くのサービスが本格実装に入る予定だ。

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