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グーグル・クラウドが貢献する東京版Society 5.0「スマート東京」

2023年4月24日
話し手
  • グーグル・クラウド・ジャパン
    執行役員 マーケティング本部 ディレクター
  • 根来 香里

東京都は、政府が進める「Society 5.0」の実現に向け、「『Society 5.0』社会実装モデルのあり方検討会」を発足させ、令和元年度に議論を重ねて報告書を纏め上げた。そこで、この検討会で専門家委員を務めるグーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 マーケティング本部 ディレクターの根来 香里(ねごろかおり)氏や東京都デジタルサービス局の川崎晶広氏に、東京都が目指す東京版Society 5.0「スマート東京」について聞いた。

なお、「Society 5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指す(内閣府の Web より)。

「『Society 5.0』社会実装モデルのあり方検討会」の専門家委員になられた経緯を教えてもらえますか?

根来氏:検討会の座長を務められている坂村健先生(INIAD(東洋大学 情報連携学部)学部長)は、私が大学生だった時の東大教授で、その後、グーグル・クラウドでエグゼクティブ向けの活動をしていた際に、坂村先生と一緒にいろいろな取り組みをさせて頂いたり、私をINIADの講師として呼んでいただいたことから、坂村先生から専門家委員に推薦していただきました。

グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 マーケティング本部 ディレクターの根来香里氏
グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員
マーケティング本部 ディレクターの根来香里氏

東京版Society5.0「スマート東京」の実現に向け、東京都が抱える課題は何でしょうか?

川崎氏:ご存知の通り、東京都は人口約1400万人、通勤通学者を入れると約1700万人が集まる世界でも有数の大都市です。一口に東京を語るにも、子供から高齢者まで、多様なライフスタイルを有しており、また、都心部・住宅地域・多摩・島しょといった多様な地域があります。それらに起因して防災・まちづくり・少子化・環境など多様な分野課題を抱えています。
この多種多様で複雑な東京の課題解決には、行政の力だけでは難しいのです。

東京都デジタルサービス局の川崎晶広氏
東京都デジタルサービス局の川崎晶広氏
スマート東京の全体像
スマート東京の全体像

東京都が目指す東京版Society5.0「スマート東京」というのは、どういうものでしょうか?

川崎氏:先程の多種多様な課題を解決する一つの方策として、あり方検討会でも、提言を受けました、未だ不足し散在しているデータの収集・融合・活用促進することで、官民のさまざまなプレイヤーがデータを元に多様な課題・ニーズに気づき、それを解決するデジタルサービス・ビジネスを創出していこうとしています。

具体的には、都民の生活に関わるデータをビッグデータプラットフォームに集め、ここを通して防災やまちづくり、モビリティ、エネルギー、教育などの課題を解決するデジタルサービスを創出する環境を整え、デジタルの力で東京をより良くしていこうという取り組みが「スマート東京」です。

例えば自然災害であれば、川の水位をリアルタイムで測り、避難指示を素早く出せるようにするとか、インフラであればIoTセンサーにより異常があるときに現場に行かなくともある程度把握できることで業務効率化が図られることが期待されます。まずは行政がやるべき部分を先行し、徐々に民間と共同でやっていこうと考えています。

あり方検討会では、どのようなことが話し合われてきたのでしょうか?

川崎氏:あり方検討会では、オープン志向(データを囲い込まない)、アジャイル型で進める、徹底的なデジタル化、地域分野横断といった哲学で定めています。その方策として、先程の官民連携データプラットフォームの構築をやるべきといった提言をいただいています。

根来氏:検討会においては、大義(方向性)の議論を軸足においてやってきました。官民連携データプラットフォームは、今後の大きな活動の一つになっていくものと思っています。

自治体におけるデータ活用の課題としては、どのようなものがあるとお考えでしょうか?

根来氏:課題としては大きく2つあると思っています。1つはデータ利活用の知見のある担当の方が圧倒的に少ないということです。もう一つは、自治体の経営とデータ活用が直結していないという点です。さまざまな対応を実施するために法律やガイドラインはあると思うのですが、いろいろなサービスはすでにデジタルになっているので、何かのサービスを提供しようとするとデジタル化が求められてきます。しかし、自治体の方にとっては、デジタル化やデータ活用は日々の業務に直結しないので、デジタル化が腑に落ちていない部分があり、これは大きな課題だと思っています。

デジタルトランスフォーメーション局といった組織をつくったものの、中身が伴わないという悩みを感じることが多いです。それは、なぜデジタルを活用しなければいけないのかが、腑に落ちていないからだと思います。私は、自治体の課題も企業の課題も、根本的には一緒だと思っています。しかし、DXをしなければならないという部分が腑に落ちていないと前に進めないと思います。

民間企業の場合は、競争や市場の変化に対するプレッシャーが経営課題としてかなり感じられていると思いますが、自治体は競争といっても自治体同士で戦うということはないので、危機感のようなものが少なく、そこまで切羽詰まっていないと思います。今後、データ活用を行っていく上では、「腑に落ちる」というのはすごく大事だと思っていて、われわれはここに軸足を置き、伴走させていただいています。

グーグル・クラウドが「Society 5.0」に対して貢献できる点は何だと思いますか?

根来氏:クラウドを使っていただくことがわれわれがお客様に提案する価値になります。しかし、クラウドはツールやテクノロジー、技術を使わなければいけないものではなく、いろんな変化に対応しようとしたときに、都合よくつまみ食いできたり、それほどインフラ投資をしなくても使えるようになる、テクノロジーとしてはそういう分野のものだと思います。

やはり変化に対処しようとすると、一部は内製化、つまり自分たちで何かを決められる環境というのが必要です。小さくてもいいので成功体験を積み上げていくと、人々が付いてきてくれると思います。

グーグルは、テクノロジーやITを企業だけに提供しているのではなく、一般の方々にも提供しています。われわれが自負しているのは、成功体験をつくろうとした時に、いきなりインフラとしてクラウドを使わなければならない、いきなりIaaS的なところに入っていかなければならないというよりは、Googleマップのように簡単に体験できる、人々に日常で必要とされる情報課題に対しても取り組んでいるので、コンシューマー向けも含め、より簡単に成功体験を作ってもらうという部分では強みを持っていると思います。

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