ドローンやAIを活用し、先端技術でミライのまちを守る

2021年10月1日

ICTやAIなどの先端技術を活用して、少子高齢化や老朽化するインフラの維持管理といった課題を解決するソリューションの活用が各地で進んでいる。気候変動の影響により自然災害が増加すると予想されるなか、災害や事故に強い都市機能を構築することは喫緊の課題だ。ミライのまちを守るための最新技術にはどのようなものがあるのか、探ってみよう。

点検から災害支援、コロナ対策まで、幅広い分野でドローンが活躍

日本では、高度経済成長期に集中的に整備された道路や橋梁、下水道などのインフラの老朽化が進む。点検やメンテナンス作業の必要性も加速度的に高まっているが、作業員の人手不足や安全確保が大きな課題となっている。高所作業や、橋梁やダムの点検など、危険な場所での業務を安全に、そして効率的に実施するためには、ドローンの活用が有効だ。高所や水中であっても安全に、そして広範囲を一気に検査できるドローンを利用することで、例えば、ミライト・テクノロジーズが実施した吹田市立武道館(洗心館、建築面積約3,000㎡)の点検では、従来の足場組立による調査に比べ、コストは約1割以下、期間は約2割以下となった。

点検から災害支援、コロナ対策まで、幅広い分野でドローンが活躍 イメージ
点検から災害支援、コロナ対策まで、幅広い分野でドローンが活躍 イメージ

ドローンに4Kや8Kカメラを搭載し、高精細画像を地上に伝送することができれば、こうした点検業務の精度や効率は大きく向上する。5Gが普及し、高画質の画像をリアルタイムに伝送できるようになれば、ドローン点検は、ますます普及するとみられる。NTTドコモやNTTコムウェア、TTKらは、ドローン操縦者がARスマートグラスを装着し、操縦者の視点とドローンの視点からの映像を、別の場所にいる点検者に5Gで共有する実証実験を実施した。こうした技術を活用すれば、将来的には、現場を完全無人にした点検が実現するだろう。

ダムや港湾、河川堤防のコンクリート壁、橋脚の防食板といった水中に存在するインフラの点検には、水中ドローンが活躍する。従来の潜水士による点検は、その困難さや過酷さが課題となっているが、水中ドローンを活用することで、安全かつ短時間で点検を実施できる。昨年は、国土交通省による、水中ドローン技術の検証に向けた実証が実施されるなど、GPSが使えない水中で、高精度の位置測定を行うなどの技術的課題を解決し、利用拡大に向けた取組みが進んでいる。

ミライトグループのドローン事業の専門会社、ミラテクドローンでは、点検や検査だけではなく、災害時にドローンを飛ばし、被災地の状況をいち早く確認するサービスも提供する。今春からは、イベント会場などにドローンで除菌剤を散布し、新型コロナウイルス感染拡大を予防するサービスも開始した。ドローンを利用することで、大規模施設の消毒作業の負担を軽減することができる。

AIで、インフラの維持管理や更新業務を最適化

このような点検や検査業務の効率化には、AIの活用も有効だ。点検対象となる道路などを撮影した画像をAIで解析することで、従来の目視点検よりも素早く、また、目視検査では見つけられなかったひび割れや漏水、鉄筋の露出を検知するソリューションが登場している。例えば、カメラを搭載した車両で点検対象となる道路を走行し、路面状態の撮影とデータの収集を行い、撮影された道路の画像データから、AIが自動でひび割れ個所の判定やひび割れ率の算出を行う仕組みだ。

AIで、インフラの維持管理や更新業務を最適化 イメージ

近年、点検業務においてAI活用が拡大する背景には、国土交通省による規制緩和がある。2019年2月、国土交通省は、橋やトンネルの「定期点検要領」を改定し、近接目視の代替手段としてAIなどの新技術が活用できることを明記した。門戸が広がったことにより、キヤノンの「インスペクション EYE for インフラ」や、富士フイルムの「ひびみっけ」など、新たなサービスが続々と生まれている。

AIは、老朽化するインフラを、どのタイミングで更新すべきかを判断するためにも利用できる。例えば、水道管路の法定耐用年数は40年だが、土壌など埋設環境により寿命は異なる。建設年のみを基準として更新計画を策定すると、更新の必要がない水道管路を更新したり、逆に更新が必要な水道管路を見落としてしまう可能性がある。ミライト・テクノロジーズでは、AIを活用し、管路データと漏水履歴から、水道管路の劣化診断サービスを提供している。米国のベンチャー企業Fracta(フラクタ)が開発したAI技術を活用したもので、診断のみならず、水道管路の接続先(病院や避難所などの重要施設や大口需要者があるかなど)や、漏水時の想定費用から影響度をランク付けし、リスクの高い管路から更新計画を自動で策定することもできる。水需要の減少にともない、全国の水道事業者が水道料金収入の確保に苦戦する中で、更新業務を効率的に行うソリューションには大きな効果が期待できる。

AIで、インフラの維持管理や更新業務を最適化 イメージ

老朽化するインフラの維持管理の費用負担が大きな課題となり、また、点検作業の人手不足解消やリスクの軽減が求められるなか、先端技術を活用したこのようなソリューションは、今後ますます活躍の場を広げていくだろう。

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