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#IoT#5G#防災#スマートシティ

IoTセンサーの設置で進化する
震災後の災害状況把握

2022年09月05日NEW

2011年の東日本大震災では、大規模な地震が起きた後にどのような被害がどう広がっていくのかなどの予測が十分できていなかった。そうした教訓から、この10年の間に官民を含めた、災害被害をリアルタイムに把握する取り組みが進んでいる。その取り組みに欠かせないのが、IoTセンサーによるセンシングと、そのデータを即時にセンターに送る5Gインフラだ。現在、IoTセンサーによって被害状況を把握する取り組みは、どのように進んでいるのか。

住宅に地震計を設置し震災後の迅速な復旧・復興支援を強化するIoTシステム

旭化成グループと防災科学技術研究所は、旭化成グループが開発を進めている「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」の地震計を、全国のヘーベルハウスに設置する計画を進めている(図1)。展開する全エリアに建つヘーベルハウス・メゾンを対象に、2022年度からのLONGLIFE AEDGiSの運用開始を目指すとともに、将来的には防災科学技術研究所のJ-RISQ(Japan Real-Time System for Earthquake Damage Estimation)を活用してシステムの高度化を進めていく。

LONGLIFE AEDGiSとは、旭化成グループが一定数のヘーベルハウスに設置するIoT地震計の地震動観測データと、防災科学技術研究所の知見を活かして整備された防災情報システムだ。高密度な地盤データベースおよび地震動伝達に関する高速演算手法を組み合わせ、地震発生後10分~2時間程度で、そのエリアに建つすべてのヘーベルハウス・メゾンの邸別の建物被害レベルや液状化発生状況を推定する。

旭化成グループが2020年1月に発表した計画では、2021年7月にシステムの試験運用を開始し、2022年4月からヘーベルハウスを展開する全エリアでの運用を開始、2023年度末には全国のヘーベルハウス販売エリア全体がメッシュ状の地震計ネットワークで網羅されることになっている。

旭化成グループと防災科学技術研究所は、防災科学技術研究所が開発したJ-RISQの予測結果を取り込んでシステムの高度化を進める。これによって、高密度な地震動情報を、個別建物や構造物、およびインフラ施設などの即時被害推定、液状化発生状況のリアルタイム推定に生かす。すなわち、巨大地震の発生時に個別の建物の被害だけでなく、断水やガス管の断裂、液状化の発生などの状況を含めた災害地図を、リアルタイムで把握しようとしている。

(図1)「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS」の概要(出典:旭化成グループと防災科学技術研究所のプレスリリースより) イメージ
(図1)「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS」の概要
(出典:旭化成グループと防災科学技術研究所のプレスリリースより)

防災IoTセンサーのデータをもとに3Dで災害状況を可視化

スーパーシティ・スマートシティを想定した、先進的な防災サービスの開発を検討している東京海上日動と応用地質は、企業や自治体に防災・減災行動を促す新サービスの開発を開始すると発表。新サービスでは、人工衛星データや浸水深解析に基づく「浸水エリア予測」と、冠水を検知する防災 IoTセンサーによる「実測データ」を組み合わせた「リアルタイム浸水情報」をもとにアラートを発出。さらに、国土交通省が整備を進める3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」などを活用し、防災IoTセンサーと災害状況の可視化技術を融合したサービスの開発も進めていく。

両社は「防災IoTセンサーを活用した企業・自治体・住民向け防災・減災活動支援サービス」の開発にあたって、福岡県久留米市内の水災リスクを、2021年7月から過去の浸水履歴やハザードマップの情報をもとに分析。それによって、リスクの高いエリアにある保険代理店に、冠水センサー「冠すいっち」(応用地質の防災IoTセンサー)を設置して、企業や自治体、住民の災害対応における冠水センサーの有効性の検証を実施した。

2021年8月に九州北部で発生した豪雨では、久留米市で8月14日4時46分までの1時間に72.0ミリという8月の観測史上最大の雨を観測。この時、冠水センサーの設置場所では、同日3時29分に4センチ以上の冠水を検知し、4時41分には45センチ以上に上昇、その後7時27分に冠水が解消(4センチ未満)したことを検知した(図2)防災科学技術研究所。

こうした検証の結果、冠水センサーから得られたデータが実際の浸水状況や浸水深と整合していることや、事前に登録した関係者にアラート情報がリアルタイムで配信されたことを確認。また、東京海上日動ですでに活用している人工衛星データによる浸水エリアの特定や、浸水深解析の精度向上にもつながることが確認できたという。

今後は、防災 IoT センサーや人工衛星などから得られるデータを災害発生時の初動対応に活用していくとともに、企業や自治体、地域住民の防災・減災活動を支援する新たなサービスの開発を進めていく予定だ。

(図2)福岡県久留米市の雨量・気象警報と冠水センサーの検知状況(2021年8月)(出典:応用地質のプレスリリースより) イメージ
(図2)福岡県久留米市の雨量・気象警報と冠水センサーの検知状況(2021年8月)
(出典:応用地質のプレスリリースより)

一方、防災IoTセンサーで収集したデータや気象データ、ハザードデータなどとPLATEAUを組み合わせた「3 D都市空間・浸水被害シミュレーションサービス」の開発では、これらのデータを3次元で表現された都市空間上でシミュレーションすることで周辺の状況把握を容易にし、災害をよりリアルに表現することを目的としている(図3)。本ツールを活用することで、地域特性に応じた自然災害対応力向上支援(自治体向けサービス)や、拠点のリスクを可視化することによる事前防災対策・意思決定支援(企業向けサービス)などのサービスを開発していく予定だ。

(図3)センサーデータをもとにPLATEAUを活用した冠水状況のイメージ(出典:応用地質のプレスリリースより) イメージ
(図3)センサーデータをもとにPLATEAUを活用した冠水状況のイメージ
(出典:応用地質のプレスリリースより)

震災後に、こうしたIoT地震計や防災IoTセンサーからのデータをリアルタイムに収集するには、多数同時接続とデータの低遅延伝送を可能にする5Gインフラの活用が必須になると考えられる。

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