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物流業界の2024年問題に向けた取り組みで翌日配送は維持できるか

2022年12月19日NEW

ネットで注文したら、最短翌日に商品が届くオンラインショッピング。その便利さを支えているのが、物流に関わるトラックドライバーだ。しかし、オンラインショッピングの利用が年々増加するにつれ、彼らの労働環境は過酷なものになっていった。そうした問題を改善すべく、政府は2024年4月1日から労働基準法など働き方改革に関わる法律を改正することになっているが、そこで懸念されているのが「2024年問題」だ。

働き方改革で残業ができなくなるトラックドライバー

「2024年問題」とは、時間外労働の上限規制などに代表される働き方改革関連法の施行に伴って生じる、物流業界でのさまざまな問題を指している。働き方改革関連法は、本来トラックドライバーの労働環境改善を目指しているのだが、トラック事業者にとってはトラックドライバーが収入減少によって離職してしまい、売上が減少することが懸念されている。荷物の配送を依頼する荷主にとっても、運賃が値上げされることが危惧されている。

例えば、2024年4月からトラックを含めた自動車運転業務について、時間外労働の上限が960時間となる。これによって、時間外労働の収入に頼っている多くのトラックドライバーは減収になってしまう。また、この規制は罰則付きなので、トラック事業者が無理にトラックドライバーに残業を課して違反した場合、これまでのように監査が入って注意を受けるだけでなく、責任者が逮捕されることもある。

当然、トラック事業者も会社を守るために、無理な時間外労働を課すような荷主の仕事は受けられなくなる。そうなると、1日に運べる荷物の量が減ってしまうことから、トラック事業者は減収を補うため運賃を値上げせざるを得ない。これまでのように、オンラインショッピングでなんでも送料無料で翌日に届けてもらうわけにはいかなくなりそうだ。

こうした課題を解決するには、トラック業界だけではなく小売やメーカーなど、物流に関わる業界全体で業務効率化に取り組む必要がある。「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」では、単なるデジタル化・機械化ではなく、オペレーションの改善や働き方改革を実現し、物流産業のビジネスモデルそのものを革新させることで物流のあり方を変革する「物流DX」を推進していこうとしている。

全国で実証実験が広がるフィジカルインターネットの取り組み

物流DXの取り組みの1つとして、インターネットを物理的に再現し、より効率的な物流を実現させようとしているのが「フィジカルインターネット」だ。2022年3月には、経済産業省と国土交通省がフィジカルインターネットのロードマップを発表。物流業界で横断的に取り組みを進め、配送ルートを共有した不特定多数による物流を目指している。また、フィジカルインターネットの実現は、物流効率と労働環境の改善だけではなく、災害対策や輸送手段の多様化、地域間格差の解消や買い物弱者への対応などにも期待されている。

世界中の隅々に情報を伝えるインターネットは、パソコンで送信するデータをパケット単位に分割し、それぞれに適したルートを選んで相手先に送信する。一方、従来の物流は自社の大型倉庫に荷物を集約し、そこから各地の小型倉庫へ移して相手先に個別配達している。フィジカルインターネットでは荷物を個別に運ぶのではなく、情報のインターネットのように、自社に限らず目的地への最短ルート上にある倉庫を経由してまとめて配達する。こうした協業の取り組みは、すでに全国で実証実験が行われている。

JR西日本とJR九州、佐川急便の3社は、山陽・九州新幹線に佐川急便が受託した荷物を載せる「貨客混載輸送」に取り組もうとしている。鉄道輸送の定時性の高さを生かし、高効率の物流を実現させるのが目的だ。佐川急便は、請け負った荷物を積み込む駅まで輸送。そこから新幹線で目的の駅まで輸送し、駅内の宅配サービスカウンターで佐川急便が引き受ける。JR九州区間では、佐川急便から受け渡された荷物の新幹線車内への積み込み、新幹線車内から駅への荷下ろしはJR九州商事が担当する。

(図1)JR西日本とJR九州、佐川急便による貨客混載輸送の取り組み(出典:佐川急便のプレスリリース) イメージ
(図1)JR西日本とJR九州、佐川急便による貨客混載輸送の取り組み
(出典:佐川急便のプレスリリース)

ハウス食品と味の素、カゴメ、日清オイリオグループおよび日清製粉ウェルナの食品メーカー5社が出資する「F-LINE」は、各メーカーの商品を預かり、全国への物流ネットワークを提供することで、加工食品分野において持続可能な物流プラットフォームの構築を目指している。現在、外装サイズの標準化や納品伝票の電子化などの標準化を推進し、協業体制をつくる取り組みを行っている。

(図2)食品メーカー5社が発足したF-LINE(出典:食品メーカー5社の共同プレスリリース) イメージ
(図2)食品メーカー5社が発足したF-LINE
(出典:食品メーカー5社の共同プレスリリース)
※上記は2018年4月26日時点の図であり、日清フーズ(株)は2022年1月1日から日清製粉ウェルナに社名を変更しています。

フィジカルインターネットを支える共同配送

フィジカルインターネットの実現には、小売り事業者による共同配送の取り組みも欠かせない。共同配送とは、届け先(納品先)が共通する複数の荷主が互いに荷物を持ち寄り、特定エリアの配送業務を共同で行うことでトラックの積載効率などを高め、コスト削減を実現しようという取り組みだ。

セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンの大手コンビニ3社は、地方における共同配送の実証実験を2022年2月21日から1週間程度、北海道の函館エリアにて実施した。テーマは2つ、「コンビニの配送センター間の物流の効率化」と「遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」だ。

(図3)コンビニ3社が行った共同配送の実証実験(出典:経済産業省の発表資料) イメージ
(図3)コンビニ3社が行った共同配送の実証実験
(出典:経済産業省の発表資料)

「配送センター間の物流の効率化」については、セブン-イレブンとファミリーマート、セブン-イレブンとローソンの2つの組み合わせで、札幌近郊の基幹センターから函館のサテライトセンターまでの配送の共同化を実証。これは、取り組むコンビニチェーンの物流コストの削減につながるだけではなく、トラック輸送の効率化による温室効果ガス排出量の削減にも貢献する取り組みになるという。

(図4)「配送センター間の物流の効率化」の実証が行われたエリア(出典:経済産業省の発表資料) イメージ
(図4)「配送センター間の物流の効率化」の実証が行われたエリア
(出典:経済産業省の発表資料)

「遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」では、函館エリアの遠隔地にて、ローソンとセブン-イレブンの組み合わせで共同化した店舗配送を実施。この取り組みにより、地方部の店舗への配送効率の向上や買い物困難者対応などに期待できるという。

(図5)「遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」では、函館から南西エリアの7店舗(セブン-イレブン2店舗、ローソン5店舗)で共同配送を実施(出典:経済産業省の発表資料) イメージ
(図5)「遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」では、函館から南西エリアの7店舗(セブン-イレブン2店舗、ローソン5店舗)で共同配送を実施
(出典:経済産業省の発表資料)

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