最新の観光DXの紹介

2023年2月27日

「観光DX」とは、デジタル技術やICTの導入・利用によって、作業省力化やデジタル化を図るだけではなく、観光に新たな価値をもたらすことを目指した取り組みだ。観光庁は、令和4年度の観光DX政策として、旅行者の移動、購買等に関するデータを活用して観光地経営の高度化を図るため、地域内、地域間、事業者間のデータ連携や収集したデータの利活用に関する実証事業を行うとしている。観光DXが実現すれば観光資源とテクノロジーの融合によって相乗効果が生まれ、新しい地域観光モデルを構築できる。コロナ禍での旅行制限やオンライン環境の普及によって観光のあり方が変化するなか、観光DXにより新たな観光需要を開拓していくことが求められている。

万博に向けてクリーンな観光エリアを目指す大阪・道頓堀の取り組み

大阪・関西万博が開催される2025年には、国内外から多数の観光客が大阪に訪れると見込まれている。道頓堀ナイトカルチャー創造協議会は、2023年1月5日(木)から、道頓堀観光 DX 化計画第四弾として、「道頓堀クリーンプロジェクト」の実証実験を行った。この実証実験は、道頓堀の観光交流拠点「Pivot BASE~Travel Cafe @Tonbori」前にIoTゴミ箱を2個設置し、事前に測定したポイ捨てされているごみの量・分散状況をごみ箱設置後の状況と比較することで、ごみ箱設置の効果や課題を検証するものだ。IoTゴミ箱とは、ソーラー発電で動き、ごみが一定量たまると内部センサーが感知し自動で圧縮するスマートゴミ箱だ。音声機能が搭載されており、ごみを捨てると道頓堀オリジナルの音声が流れる仕掛けになっている。また、IoTゴミ箱に掲載している二次元コードからアンケートに回答すると、商店街内の参画店舗で使えるクーポンを取得できる。この実証を通じて、観光客と商店街が一体となってクリーンで周遊を楽しめる観光エリアの構築・運営が期待されている。道頓堀ナイトカルチャー創造協議会は、2021年12月の道頓堀観光 DX 化計画第一弾「顔認証決済」の実証実験の取組みに引き続き、万博開催までさまざまな事業を展開していく予定だ。

(出典:TONBORI WEBより) イメージ
(出典:TONBORI WEBより)

岩手県観光協会のDomoを利用した観光DX

岩手県観光協会は、観光DXを通じた観光地域づくりを目指し、行政・自治体、宿泊業・旅行業などを対象に、2022年7月より「いわて観光マーケティング実践塾」と題した講座を開催している。同協会は、「みんなで簡単にデータを見て、みんなで分析できる」ことに重点を置き、OODAループ(観察、状況判断、意思決定、行動)を素早く回し、自らが微調整しながら施策を推進できる体制を目指している。また、協会はDomoを導入し「いわて観光データマネジメントプラットフォーム」を構築した。Domoとは、自社が保有する様々なマーケティングデータをリアルタイムで一箇所に集約することで、迅速な意思決定が可能になるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールだ。2022年11月29日に行われた講座では、実際に行われた観光キャンペーンのアンケートデータを使い、受講者にDomoを操作してもらう環境を提供し、今後の施策を検討したとしている。今後も地域の貴重なデータを有効に活用し、岩手県の観光DXを促進していく。

京都府観光連盟、観光DXのための学習コンテンツを観光事業者に無償提供

京都府観光連盟は、観光DXを促進するため民間企業から先進的なアイデアを募集する「京都観光チャレンジ事業」の一環として、ウェブ・デジタルマーケティング支援サービス「SURGE(サージ)」を京都府内の観光事業者に対して無償提供した。併せて実践力を高めてもらうためのウェビナーも3回実施する。「SURGE」はデイアライブ社が実施するデジタル育成事業で、ウェブサイトの構築からセキュリティ対策、デジタルマーケティング、インバウンド対策などについて、基礎から学ぶことができる。「SURGE」のコンテンツ・ツール提供期間 は、令和4年12月23日から令和5年2月28日まで。地域観光の活性化に向け、DXの必要性が叫ばれて久しい。京都府観光連盟の取り組みは、その"はじめの一歩"を踏み出したと言えるだろう。

2022欧州スマートツーリズム首都・バレンシアの取り組み

2022年11月、スペインのバレンシアで「スマートデスティネーション世界会議(World Conference on Smart Destinations )」が開催された。2022年で3回目を迎えるこの会議は、世界の主要な観光専門家が集まり、観光地マネジメントに関わる様々な議論をする国際会議である。会議開催地のバレンシアは、地中海に面したスペイン第3の規模の港湾都市で、旧市街地には中世の建築も多く、年間220万人の観光客が訪れる。2022年、バレンシアは、欧州連合(EU)による「欧州スマートツーリズム首都」に選ばれた。選出にあたって特に評価された分野が、「持続可能性」と「アクセシビリティ」である。同市は、気候変動に対応するために、持続可能な開発目標SDGsに準拠した151の指標を設定しシステムにより測定する仕組みを構築。また、世界の都市で初めて観光活動によるカーボンフットプリント及びウォーターフットプリントを算出、認証している。情報技術を活用し、水質管理、廃棄物、交通、クルーズ客、宿泊施設など10の分野において、炭素排出量や水消費を測定するなどしている。バレンシアのスマートデスティネーションは、持続可能な観光やアクセシビリティの取り組みを、デジタル化を手段とすることによって推進している。スペインはスマートデスティネーションを、10年以上の長きにわたって観光政策の一つとして積極的に推進しており、スマートデスティネーションの最も進んだ国の一つと言われている。これからもバレンシアの取り組みに注目だ。

(出典:Wikipediaより) イメージ
(出典:Wikipediaより)

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