2023年建設DX最新ニュース

2023年3月27日

あらゆる産業においてDXの重要性が叫ばれるようになって久しいが、今、なぜ"建設DX"が取りあげられているのか、その背景と実態、最近の動向について、紹介する。

建設業界のDX推進の阻害要因は、低い生産性と現場主義

新型コロナウイルスの影響で、あらゆる産業において、DX化が余儀なくされた。ビジネスのオンライン化が急速に進行し、クライアントや取引先等、企業間のコミュニケーションは、テレワークの中でオンライン会議が容易に実現できるようになった。おそらく、アフターコロナにおいても、この流れは止まらないだろう。一方で、現場で現物を見ながら打合せをするのが当たり前の建設業界においては、他の産業と比較すると、オンライン化は遅々と進まない要素が多い。どの業界にも人材不足や働き方改革といった共通の問題はあるが、建設業界特有の生産性の低さや現場主義が、建設DXの推進を阻害しているという。2020年の付加価値労働生産性において、建設業は3075円/人・時間となり、全産業平均の5,594円/人・時間を大きく下回る結果になったという(建設ハンドブックより)。現場ごとに環境が異なるため業務や作業の標準化が難しいことに加え、慢性的な人材不足が原因で、適切な人員配置が困難で、長時間労働のため作業効率が低下したり、手作業が多いというのが実態である。

加えて、建設業界に根強く残る対面主義にも課題が多い。現場に赴かなくてはならない、連絡体制の構築が難しい、作業指示書や図面を共有しなければならないなどさまざまな事情により、建設業界では対面主義が根強く残っているという。

ドローンや建機等で、建設DXを推進

そこで、国や業界が動き出し、建設DXを推進している。具体的には、AI、ICT、IoT等のデジタル技術を取り入れて複合的に活用することで、業務プロセスそのものを変革し、建設生産プロセス全体を最適化することを目指しているという。仕事のやり方自体を変えて、現在建設業界が抱えている様々な問題、例えば人手不足や業務の非効率性等を解決し、新たな強みにしていこうという取組みである。ドローンをはじめ、ICT建機(情報通信技術を取り入れた重機)、BIM/CIM(計画・調査・設計の段階から3次元モデルを利用した情報共有を行うことにより、建設における生産管理を効率化させる取り組み)等を積極的に取り入れる企業が増えてきているという。

建設業界の2024年問題

旧来より、建設業界に対しては、3K(「きつい」「汚い」「危険」)のイメージが根強かったが、これを受け、国(国交省や経団連)が、2015年、新3K(「給料が良い」「休暇がとれる」「希望が持てる」)を提唱した。この新しいイメージが根付いたのかは疑問が残るが、建設業界においては、新たな流れがきている。というのも、建設業の就業者数は、1997年の685万人をピークに大きく減少傾向にあり、2021年には482万人となった。(労働力調査より)加えて、建設業界では2024年4月1日から時間外労働(残業時間)の上限規制が適用されることになっている。そのため、大手ゼネコンを中心に働き方改革やデジタル化を推進している。業務の進め方や情報システムなどを見直して労働環境を改善することで、いわゆる建設業界の「2024年問題」に対処する必要があるという。

新たな波

2023年1月、建設テック事業者を中心とした6社、株式会社アンドパッド、株式会社構造計画研究所、セーフィー株式会社、株式会社Polyuse、株式会社Liberaware、ローカスブルー株式会社は、建設DXの推進を目的とし『建設DX研究所』を設立した。生活に不可欠な巨大産業である建設業界を救うために、建設DX推進により労働環境のデジタル化を図り、作業効率の上昇・生産性向上を進めていくための組織だ。最新の規制動向・最先端のテクノロジー等に関する情報共有やディスカッションを行い、建設DX推進による業界課題解決に向けた新たなルールづくりをリードすべく、業界一丸となって取り組むことが期待されている。
また、産業用のリモートセンシングサービスを手掛ける、スカイマティクス(東京都中央区)では、建設業界の現状や、課題の把握を目的に、「建設DX」に関するアンケート(全国の建設業の企業に勤務する1039人を対象)を実施したところ、勤務先で今後導入したい/導入してほしい建設ICT(情報通信技術)ツールについて、最多は「ドローン(26.0%)」で次いで「据置型三次元レーザースキャナー(19.0%)」、「マーキングや墨出しロボット(18.3%)」が挙げられ、ドローンへの期待は大きいことが判明した。

日本建築ドローン協会(JADA)と日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は共同で、都市部でドローンを安全に操縦できる「外壁調査の専門パイロット」の育成に取り組んでおり、 同コース認定校の第1号に、通信工事大手のミライト・ワンの子会社でドローン事業を展開するミラテクドローン(東京・品川)が選定された。人口密集地の建物周辺でドローンを安全に使うことに特化したコースがあり、ドローン飛行の安全性のレベルアップに貢献し、従来の建物診断の低コスト化、合理化が進むことで、建設業界のDXに貢献することが期待されている。

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