注目が集まる「スポーツテック企業」

2024年10月21日

最近はスポーツの世界でもITを活用するケースが増えており、独自の技術を持つスタートアップが注目されている。スポーツベンチャー企業は、「スポーツテック企業」と呼ばれ、データ解析やトレーニング支援など、スポーツに関する多岐にわたる分野でサービスを提供している。そこで、今回は、注目されているスポーツテック企業を紹介する。

スポーツ指導やリハビリ・ケアの変革に取り組むSportip

東京都文京区にあるSportip(スポーティップ)は、自宅でのトレーニングをサポートする最新アプリ「Sportip Pro」を提供している。同社は、2018年に設立された筑波大学発のテックベンチャーだ。「Sportip Pro」は、フィットネスクラブ・パーソナルトレーナー・整体/接骨院の人向けのAI動作解析アプリで、スマートフォンやタブレットで撮影するだけで、個人の身体情報を可視化し、適切な運動メニューを提供する。姿勢分析機能や歩行分析機能、ジャンプ計測機能など200を超える機能で測定し、2000を超えるメニューの中から、ユーザーに適した運動メニューが自動提案される。

「Sportip Pro」(出典:Sportip) イメージ
「Sportip Pro」(出典:Sportip)

また、高齢者向け機能も備え、脳卒中リハビリなど、疾患ごとの運動メニューも提供。姿勢改善運動、セルフリハエクササイズ、静的ストレッチ、転倒予防、認知症予防など、目的に合わせた運動メニューの提案も行う。

高齢者向け機能(出典:Sportip) イメージ
高齢者向け機能(出典:Sportip)

チーム数、会場、時間枠などの要素をもとに大会のスケジュールを作成

米Cactuswareは、スポーツリーグや大会のスケジュール作成を効率化するソフト「Diamond Scheduler」を提供している。チーム数、会場、時間枠などの要素を入力すると、適切な対戦スケジュールを自動的に生成。スケジュールは移動距離・時間、競技場、時間帯・日程、ホーム/アウェイも加味され、コーチ、チーム、コートのダブルブッキングを防止する。総当たり戦などのリーグやトーナメントのスケジュール調整に便利で、作成したスケジュールは、PDFやExcel、HTML形式でエクスポートして関係者で共有することができる。野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど、さまざまなスポーツリーグで使用できる。

「Diamond Scheduler」(出典:Cactusware) イメージ
「Diamond Scheduler」(出典:Cactusware)

選手のパフォーマンス測定デバイス「FieldWiz」

スイスのスタートアップAdvanced Sport Instrumentsは、「FieldWiz」(フィールドウィズ)という、GPSを用いたスポーツ選手のパフォーマンス測定デバイスを提供。アウトドアスポーツ用のGPSトラッキングシステムで、主にサッカーやラグビーなどのチームスポーツで使われる。このデバイスは距離、スピード、加速、スプリント回数など選手のパフォーマンスデータを30cmまでの精度で追跡収集し、ゲームやトレーニングの際に戦略的・身体的なデータを提供する。

「FieldWiz」(測定デバイス(中央)、デバイスを身に付けるためのビブス(左)、ドッキングステーション(右)(出典:Advanced Sport Instrument) イメージ
「FieldWiz」(測定デバイス(中央)、デバイスを身に付けるためのビブス(左)、ドッキングステーション(右)(出典:Advanced Sport Instrument)

ハートレートモニター機能が統合されており、リアルタイムで選手の心拍データを取得することが可能。測定デバイスは約35グラムで、専用ビブスに装着して使用する。軽量のため、選手の動きを妨げない点が特徴。Webプラットフォームを使ってデータを簡単に視覚化し、個別またはチーム全体のパフォーマンスを分析。これにより、戦略の改善や怪我の予防に役立てられるという。

AR技術を活用したスポーツゲーム「HADO」

東京都港区のMeleapは、AR(拡張現実)技術を活用したスポーツゲーム「HADO」を提供している。「HADO」は、ARを利用して、手でエナジーボール(相手を攻撃するためのボール)を投げたり、防御用のシールドを駆使したりしてチームで戦うスポーツ。プレイヤーはヘッドマウントディスプレイと腕にアームセンサーを装着。3対3のチーム戦でプレイし、試合時間は80秒。得点の多いチームが勝利する。同点の場合は、1点を先に取った方が勝ちになる。

プレイヤーが装着するヘッドマウントディスプレイ(左)アームセンサー(右)(出典:Meleap) イメージ
プレイヤーが装着するヘッドマウントディスプレイ(左)アームセンサー(右)
(出典:Meleap)

プレイヤーは手から放たれるエナジーボールで攻撃。相手プレイヤーの身体の前に表示される的をライフと呼び、4つのライフを破壊すれば、1点獲得になる。1回の攻撃で4つのライフを一度に破壊することも可能で、破壊されたライフは、一定時間で復活する。

「HADO」のプレイヤー画面(出典:Meleap) イメージ
「HADO」のプレイヤー画面(出典:Meleap)

防御は体を動かしてエナジーボールを避けたり、シールドを使って攻撃を回避したりすることもできる。プレイヤーはエナジーボールのスピード、エナジ―ボールの大きさ、スピード、シールドの枚数と強さを設定できる。

「HADO」は世界39か国で展開され、350万人以上の人が体験。競技人口は増加傾向にあり、公式大会も開催されている。

公式大会「 HADO 2024 SUMMER CUP」の様子(出典:Meleap) イメージ
公式大会「 HADO 2024 SUMMER CUP」の様子(出典:Meleap)

教育に利用されているSPLYZA Teams

静岡県浜松市のSPLYZA(スプライザ)は、スポーツにおけるパフォーマンス向上を目的としたデジタルプラットフォームやアプリを提供している企業。特に、スポーツチームや選手のために、試合や練習の映像を簡単に分析できるツールを提供しており、コーチや選手がデータを活用して戦術や技術を向上させることができるように支援している。

「SPLYZA Teams」(出典:SPLYZA) イメージ
「SPLYZA Teams」(出典:SPLYZA)

同社が提供する映像分析ツールである「SPLYZA Teams」は、選手自ら「課題発見」から「課題解決」までを行うための映像分析ツール。練習や試合の映像を簡単にアップロードし、映像をもとに戦術やプレイの改善点を分析できる。

このツールは、試合やトレーニングの映像にタグをつけ、描き込みを行う機能を提供しており、選手やコーチが映像を通じてプレイを振り返ることが可能。さらに、クイズ機能を使ってチーム内の理解を深めることもできるなど、コミュニケーションを促進する。

「SPLYZA Teams」の集計データ(出典:SPLYZA) イメージ
「SPLYZA Teams」の集計データ(出典:SPLYZA)

「SPLYZA Teams」は、30種類以上の競技で900以上のチームが利用しており、スマートフォンやPCから簡単にアクセスすることができる。

また、同社は河合塾、KEIアドバンス、NOLTYプランナーズと連携し、部活動を通して高校生のキャリアデザインを支援する新サービス「部活動キャリア教育プログラム」を提供している。

このプログラムでは、開始時にアセスメントテスト(PROG-H)を実施し、自分自身の強みと弱みをあらかじめ理解し、伸ばしたい能力を確認。アプリを活用しながら日々の活動で「仮説」「実行」「検証」のサイクルを回していく。年に数回のフォロー講義により、自分の経験を「言語化」する機会を提供。1年間のプログラムの最後に再びアセスメントテストを実施して、伸長度を確認するというもので、仙台育英学園高校での採用が決まっている。

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