人手不足解消にむけ、駅の警備や薬剤運搬等でもロボットを活用
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人手不足を背景に、業務効率化に向け、ロボットを導入する企業が増えている。とくに導入が増えているのは、警備ロボットや清掃ロボットだ。ここでは、最新のロボティクス関連トピックを紹介する。
JR西日本、鉄道駅構内初の警備ロボットを導入
JR西日本は、新大阪駅において、SEQSENSEの自律移動型警備ロボット「SQ-2」の運用を開始した。4月中旬からは、JR難波駅にも設置される予定だ。

(写真1)新大阪駅で運用中のSQ-2(出典:SEQSENSE)
大阪・関西万博に向け、多くの来場者の利用が見込まれるJR西日本では、駅構内の警備体制強化のためにSQ-2を導入する。なお、SEQSENSEによれば、鉄道駅構内での警備ロボットの本格導入は初の試みだという。
同社は導入に先立ち、昨年12月から約1ヵ月間、JR西日本本社ビルで実証実験を行い、警備強化の有効性や安全性を確認している。
SQ-2は係員の操作による臨時巡回や、スケジュール設定に基づく定時巡回に対応可能で、指定されたポイントを自律的に移動し、巡回が完了すると自動で充電ステーションに帰還して充電を行う。
また、混雑時には、SQ-2が立哨(りっしょう)を行う。立哨とは、一定の場所に立って警戒や監視を行うことだ。SQ-2には、事前に設定した音声アナウンスを再生する「声かけ再生」機能が搭載されており、立哨中に音声アナウンス機能を活用することで、駅構内での迷惑行為、禁止行為の抑止など警備の強化を図るという。
ホームセンターで警備や広告にロボットを活用
みらい蔵の複合型農業資材専門店「ホームセンター 夢アグリ」では、店舗内巡回以外にも、商品・サービスの広告や商品エリアへの道案内が行える自律走行型アバターロボットを活用した3つの実証実験を、3月に行った。
実証実験では、①店舗内の広告を表示し、来店した客が近づくと音声案内を行い、画面にタッチすると、操作画面に切り替る、➁画面で欲しい商品のカテゴリを選択することで商品のあるエリアまでの道案内する、③スケジュールを登録し、その時間になると定期的に店舗内の巡回・適宜音声アナウンスを行うという3つの実験を行った。夢アグリでは、人とロボットの協調業務により、顧客への新たなサービス価値の創出、現行業務のコスト削減の可能性を検証するという。

(図1)自律走行型アバターロボットを活用した店舗案内支援実証実験のイメージ
和食さと、全店に掃除ロボットを導入、清掃時間を1日あたり30分短縮
配膳ロボットを全店に導入済みの「和食さと」では、今年の2月、新たに掃除ロボットを全店に導入した。和食さとでは、リ・プロダクツが展開する掃除ロボットレンタルサービス「おそうじレンタル」を利用し、アンカー・ジャパン製お掃除ロボット"Eufy X10 Pro Omni"を導入している。

(写真2)さとで稼働中の掃除ロボット
このロボットは、ごみを吸引する掃除と「強く押して拭く」水拭き掃除を1台で行う。AIカメラにより小さな段差やケーブル、カーペットなどを認識しながら、掃除を行うという。
和食さとでは、開店前の清掃時間を1日あたり30分短縮することができ、清掃にかかる工数を0.5人時削減できたという。和食さとでは今後、導入済みの掃除ロボットの持つ機能をさらに活用していくとともに、キッチン内の油汚れを落とすなど、お掃除ロボットの活用範囲をさらに広げられるように取り組んでいくという。
薬剤の運搬など医療機関向けのロボットが登場
これまで、あまりロボットが導入されてこなかった医療分野やオフィスでも導入の動きが広がっている。
AZ日本AIロボットは、医療機関向けロボット3シリーズを新たに開発した。開発したのは、汎用搬送ロボット「CareMover(ケアムーバー)」、 手術用の薬剤を運搬する「CareMedic(ケアメディック)」、 ウィルス除去ロボット「CareAir(ケアエア)」の3機種。

(写真3)左から汎用搬送ロボット「CareMover(ケアムーバー)」、 手術用の薬剤を運搬する「CareMedic(ケアメディック)」、 ウィルス除去ロボット「CareAir(ケアエア)」(出典:AZ日本AIロボット)
「CareMover」は、小型の荷物や書類を院内で自動搬送するロボット。従来の「DR2」として実績のある搬送ロボットを医療機関向けに改良した。
「CareMedic」は、手術中の薬剤管理をサポートするロボットで、標準搭載の「SmartCart」システムにより、薬剤の使用履歴管理や在庫管理を行えるという。
そして、「CareAir」は、院内の空気環境を改善するロボットで、高性能フィルター「DrAIR」を搭載し、一度の処理で99.7%のウィルスや細菌を除去可能だという。
これらは、初期費用不要で、サブスクサービスとして提供される。
オフィス向け自律搬送ロボットで移動式飲料提供の有用性を検証
GMO AI&ロボティクス商事とPreferred Roboticsは、GMOインターネットグループのオフィス内において、自律搬送ロボット「カチャカ」を活用した実証実験を2月から約2カ月の予定で開始した。
「カチャカ」は、AI技術を搭載し、人の指示で家具を動かす自律搬送ロボット。専用のキャスター付き家具とドッキングすることで、指定の場所までモノを運ぶことができる。これにより、人が家具に合わせて動くのではなく、人に合わせて家具が動くというスマートファニチャーのある生活を提供するという。
実証実験では、「カチャカ」に専用シェルフを装着し、その上にコーヒーマシンを搭載することで、オフィス内を移動しながらコーヒーを提供する。この取り組みにより、コーヒーの提供方法による消費量の変化を測定し、オフィス環境における移動式飲料提供の有用性を検証する。

(写真4)コーヒーマシンを搭載した「カチャカ」(出典:GMO AIR、PFRobotics)
今回の実証実験において、「カチャカ」による移動式コーヒー提供の有効性が確認できた場合、GMO AI&ロボティクス商事とPreferred Roboticsは、本ユースケースを全国のオフィスに展開。さらに、ロボットの機能拡充や、オフィス以外の領域での活用モデルの開発を進め、「カチャカ」による新たな価値創造を目指すという。
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