エレベーター連携ロボットとは?種類や導入するメリットを解説

2024年12月16日

人手不足が進む現代社会において、サービスロボットに注目が集まっている。特に、エレベーターと連携してフロア間を自動で移動するロボットは、省人化や人手不足の解消に役立つだろう。本記事では、エレベーター連携ロボットの仕組みや求められる背景、種類、導入メリットや事例などを解説する。

エレベーター連携ロボットとは

エレベーター連携ロボットとは イメージ

エレベーター連携ロボットとは、自律的にエレベーターを昇降し、障害物を回避しながらさまざまなサービスを提供するロボットのこと。具体的には、エレベーターを自ら呼び寄せ、複数のフロアを行き来して警備や掃除、配送などを行うロボットを指す。

ホテルや飲食店、大型複合施設、ゴルフ場などにおいて導入が進んでいる。

エレベーター連携ロボットの導入が求められる背景

エレベーター連携ロボットが求められる背景として、各産業における深刻な人手不足が挙げられる。少子高齢化によって労働力が今後さらに不足し、日本が誇るサービスの質が低下すると懸念されている。そこで、テクノロジーを活用して不足分を補い、サービスの質を維持していくことが重要となる。

このような背景から、政府も民間企業と協力しながら、ロボットと施設をスムーズに連携できるよう取り組んでいる。以下で、具体的な取り組み内容を見てみよう。

 ● 2019年に経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を発足
 ● 2022年に「一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構」設立
 ● 2023年にエレベーター連携を含めたさまざまな領域の規格化を推進

経済産業省は、ロボットを普及させるには、ロボットフレンドリーな環境の実現が重要と述べている。ロボットフレンドリーな環境とは、ロボットを利用する企業側の業務プロセスや施設環境を、ロボットを導入しやすい環境へと変革することである。

そのために、ロボットとエレベーター間の連携について研究し、通信連携に関する規格化を進めてきた背景がある。この取り組みを通して、最小限のカスタマイズでロボットの導入が可能になり、社会実装が加速すると期待されている。

従来のサービスロボットの導入における課題

従来のサービスロボットは、基本的に同じフロアで平面移動しかできず、フロア間の縦移動ができなかった。自律移動できる範囲が1フロアに限定されるため、複数フロアにサービス提供が必要となる施設では、導入が困難になる可能性がある。仮に1台のサービスロボットを導入した場合、別のフロアに移動させるにはスタッフによる介助などが必要で、余計に手間がかかってしまうだろう。

運用負荷が高い場合、人手不足を補うほどの効果が期待できないことから、サービスロボットの普及に至らないと考えられる。そこで、複数のフロアをまたいで自律走行する、エレベーターと連携したサービスロボットが求められる。

エレベーター連携ロボットの導入方法も進化している

サービスロボットが建物内の各フロアを自由に行き来するためには、エレベーターにロボットが自律的に乗り込むことができる「エレベーター連携ロボット」が必要になる。サービスロボットとエレベーターを連携する方法として、主に以下の2つが存在する。

 ● クラウド連携している新型エレベーターを導入する方法
 ● 通信機能付きアダプタとモジュールをエレベーターに後付けする方法

従来は、クラウド連携しているような「新型エレベーター」を導入し、ロボットと連携させる方法が主に用いられていた。インターネット経由でロボットの動きをエレベーターが認識することで、目的のフロアへの自律移動が実現する。

また、サービスロボットだけでなく、ユーザーが専用アプリからエレベーターを呼び出すなど、便利な機能が利用できる場合もある。ただし、この方法はエレベーターの入れ替えが必要で、数百万円以上のコストや時間がかかってしまうという懸念が残る。

そこで、「通信付きアダプタとモジュールをエレベーターに後付けする方法」が登場した。この方法は旧型エレベーターにも対応しているため、新型エレベーターへ入れ替える必要がない。各メーカーのエレベーター管理クラウドとも連携が可能で、従来よりも安価かつ短期間で導入できる。この方法により、エレベーター連携ロボットの導入ハードルが下がったといえるだろう。

2つの方法の仕組みや特徴を比較すると、以下のとおり。

種類 従来の方法 現在の方法
仕組み クラウド連携している新型エレベーターを導入する 通信機能付きアダプタとモジュールをエレベーターに後付けする
特徴 ・アプリを使って便利な機能が利用できる場合もある
・新型エレベーターへの入れ替えに数百万円規模のコストがかかる場合も
・新型エレベーターへの入れ替えに時間がかかり、工事期間中はエレベーターが利用できない
・旧型エレベーターにも対応しているため、新型へ入れ替える必要がない
・各メーカーのエレベーター管理クラウドと連携可能
・従来の方法よりも、安価かつ短期間での導入が実現する

株式会社ミライト・ワンは、後付けで連携できるエレベーター連携ロボットの導入をサポートしている。ロボットとの通信接続ができない旧型エレベーターでも、専用アダプタの後付けによって、比較的簡単に導入が実現する。以下のサイトで詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

エレベーター連携ロボットの導入方法も進化している イメージ

エレベータ昇降できる自律移動ロボット~後付けで連携可能~

エレベーター連携ロボットの種類

エレベーター連携ロボットの種類 イメージ

エレベーター連携ロボットは、複数フロアを移動しながら、さまざまなサービスを提供する。ここでは、エレベーターと連携しながら人と協働する4種類のサービスロボットを紹介する。

 ● 警備ロボット
 ● 清掃ロボット
 ● 配送ロボット
 ● 配膳・下膳ロボット

それぞれ、詳しく見ていこう。

警備ロボット

警備ロボットは、カメラやマイク、スピーカー、3Dマップ作成機能などが搭載された自律移動型ロボットを指す。事前に設定された巡回箇所を自動で移動し、監視・点検業務を担う。警備ロボットに搭載されたカメラで撮影した映像を配信し、別の場所にいる警備員はリアルタイムで確認できる。クラウドへ保存もできるため、後からチェックすることも可能。

また、ロボットのマイクやスピーカーを用いて、現地にいる人と警備員が会話することもでき、問い合わせにも即座に対応できる。

清掃ロボット

清掃ロボットとは、複数のフロアの共有スペースを自動で清掃するロボットのこと。ホテルや大型複合施設などで使用すると、清掃業務を効率化できることで、清掃スタッフの人手不足を補うことができる。

株式会社ミライト・ワンは、エレベーターと連携した業務用清掃ロボットの導入支援を実施している。この業務用清掃ロボットは、吸い込みや乾拭き、水拭き、掃きの4つの方法で清掃し、フローリングやカーペット、大理石などの床面に対応。壁際0cmまでしっかりと清掃できるため、清掃業務の大幅な効率化が実現すると期待できる。

また、タッチスクリーンとモバイルアプリを使って、清掃スケジュールや場所を簡単に指定でき、一時停止などの操作も可能。制御しやすい仕様で、導入だけでなく運用も容易に行えるだろう。

清掃ロボット イメージ

エレベータ昇降できる自律移動ロボット~後付けで連携可能~

配送ロボット

配送ロボットとは、ロック機能が付いたボックスを備えた自律移動するロボットのこと。ホテルのアメニティなどを客室に運ぶために利用される。ロボットが人の代わりに配送サービスを提供することで、スタッフは本来取り組むべきサービスに集中できるようになる。

株式会社ミライト・ワンは、ロック機能付き電動オープンの配送ボックスを2段備えた配送ロボットの導入をサポートしている。障害物を避けながら自律走行して、ホテル客室前に到着すると宿泊客に通知が届き、ロックが解除されアメニティやルームサービスを受け取る仕組み。2段それぞれにロックが付いているため、2箇所同時に運ぶことができる。

実際、配送ロボットを導入したホテルでは、サービスロボットがアメニティを客室へ配送している。昼間の時間帯はもちろん、スタッフの数が少なくなる夜間でも、サービスロボットがスタッフの代わりにエレベーターを使ってアメニティを運ぶことで、人手不足の解消に貢献している。

以下の記事では、配送ロボットを活用した株式会社ミライト・ワンの「ロボットDXソリューション」が紹介されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

配送ロボット イメージ

ミライト・ワンの「ロボットDXソリューション」、自律的にエレベーターに乗って建物内を移動するロボットが人手不足を解消!アメニティを宿泊客に届けるなどホテル現場でも活躍中 | ceatec experience
エレベータ昇降できる自律移動ロボット~後付けで連携可能~

配膳・下膳ロボット

飲食店や施設内レストランでお皿を運ぶ配膳・下膳ロボットは、人手不足の解消や、忙しい時間帯の業務負担軽減に役立つ。

株式会社ミライト・ワンは、配膳・下膳ロボットの導入サポートを提供している。最大で50kgまで積むことができる大容量ボックス搭載で、1度の走行で5箇所まで配膳先の設定ができる。お皿を入れる場所はスケルトンのウィンドウに囲われていて、扉はロックされているため、衛生面にも配慮しながら安全に運ぶことができる。

また、21.5インチの大型サイネージディスプレイを背面に搭載。配膳・下膳サービスの最中に映像や音声などのコンテンツを流しながら、商品やイベントなどを訴求できる。

配送ロボット イメージ

エレベータ昇降できる自律移動ロボット~後付けで連携可能~

エレベーター連携ロボットの導入メリット

続いて、エレベーター連携ロボットの導入メリットを紹介する。

 ● 人手不足対策につながる
 ● サイネージディスプレイで宣伝ができる
 ● ヒューマンエラーが軽減する
 ● サービスロボットと人との協働は話題性がある

人手不足の解消につながる

エレベーター連携ロボットの導入によって、人手不足対策につながる。

ホテルや飲食店など、サービス業において人手不足が深刻化している。人手不足が続くと、サービスの質の低下や従業員への負担増加など、さまざまな課題が生じてしまう。その結果、顧客満足度が下がってしまうこともあるだろう。

そこで、エレベーター連携ロボットを導入すると、フロア間を自動で移動して人の代わりに働いてくれる。ホテルを例に挙げると、客室数が多い施設では、フロントスタッフがアメニティを各部屋に届けるだけでも時間がかかる。しかし、ロボットの導入によって、フロントスタッフはチェックインなど別の作業に集中できる環境が整うだろう。

ホテルの人手不足に関して、原因や対策を以下の記事で紹介しているので、合わせて参考にしてみてほしい。

関連リンク
ホテルで人手不足が深刻化する原因とは?5つの対策を紹介

サイネージディスプレイで宣伝ができる

サービスロボットによっては、背面にサイネージディスプレイが搭載されている。移動中に施設の宣伝や案内するなど、情報発信しながらサービスを提供することが可能。デジタルサイネージは一目で訴求したいポイントを把握できるため、宣伝効果が期待できる。

ホテルやゴルフ場、大型複合施設など、利用者が多い場所で使うことで、効率的に情報発信ができるだろう。

ヒューマンエラーが軽減する

エレベーター連携ロボットを活用することで、ヒューマンエラーが軽減すると期待できる。サービスロボットは、あらかじめ設定したプログラムに従って正確に動くためである。

例えば、レストランで人が配膳業務を行うと、配膳場所を間違えたりお皿を落として割ったりしてしまうこともあるかもしれない。その点、ロボットは指定されたテーブルへ正確に届け、お皿はロック付きのボックスに入れることで床へ落下するリスクを最小限に抑えられるだろう。

人やモノを検知するセンサーを備えているサービスロボットの場合、障害物を自動で避けて進むため、衝突リスクも少ない。また、ロボットによっては「恐れ入りますが、道を開けていただけますでしょうか」「エレベーターに乗ります」と音声で周囲に存在を知らせることで、安全な走行を確保している。

サービスロボットと人との協働は話題性がある

サービスロボットはまだまだ目新しいため、導入によって話題を呼び、施設自体が注目される可能性がある。特にエレベーターを使って自動で動くサービスロボットは珍しく、まだ一般化していない。

日常生活で最新技術を活用したロボットが動く様子を見る機会は少なく、ホテルや大型複合施設などに導入することで、注目を集めやすい。施設内を動くロボットを見て子供が喜び、ファミリー層の集客につながる副次効果も期待できる。

導入事例|三井ガーデンホテル銀座築地に配送ロボットを導入

国内外で34施設を展開し、レジャー、ビジネスユース、長期滞在など、多様なシチュエーションで楽しめる三井ガーデンホテル銀座築地は、配送業務を担う2台のエレベーター連携ロボットを導入している。客室へアメニティや飲食物などをスタッフに代わり配送することで、業務効率化や宿泊客の利便性向上に役立っているという。

株式会社ミライト・ワンが保守運用を行うPBX(電話交換機)と配送ロボットが連携し、全館183もの客室へ自動配送を適切なタイミングで実現。国内主要メーカーのエレベーターに対応した専用アダプタの設置によって、低コスト・短期間での導入が可能となった事例である。

関連リンク
エレベーターと連携する配送ロボットを「三井ガーデンホテル銀座築地」に導入~従業員の配送業務の軽減や宿泊者の利便性向上に貢献~

エレベーター連携ロボットを導入する際のチェックポイント

続いて、エレベーター連携ロボットの導入ポイントを見てみよう。

 ● 施設内のエレベーターに対応しているか
 ● 導入や設定、操作方法などのサポート体制があるか

施設内のエレベーターに対応しているか

まずは、ロボットが施設内のエレベーターと連携できるかを確認しよう。前述のように、エレベーター連携ロボットの仕組みは2種類ある。

 ● クラウド連携している新型エレベーターを導入する方法
 ● 通信機能付きアダプタとモジュールをエレベーターに後付けする方法

通信機能付きアダプタとモジュールをエレベーターに後付けできるモデルは、比較的手軽に導入でき、さらにコストを抑えられる。しかし、エレベーターのサイズがロボットよりも小さい場合、ロボットがエレベーターを利用できないこともあるので、チェックしておこう。

導入や設定、操作方法などのサポート体制があるか

後付けできるモデルなどを利用してエレベーター連携ロボットを導入する際は、事業者のサポート体制をチェックしよう。

エレベーター連携ロボットを利用するとき、ロボットの自律走行に必要な建物の空間マップを作成しなければならない。そこで、導入だけでなく、設定や操作方法のサポート体制も充実していると、スムーズに利用開始できるだろう。

まとめ

エレベーター連携ロボットは、フロアの水平移動だけでなく、エレベーターを自動昇降して縦移動を可能にするサービスロボットを指す。

エレベーターとロボットを連携する仕組みとして、エレベーターそのものを新型へ入れ替えて、サービスロボットとクラウド接続する方法があげられる。しかし、大掛かりな工事が必要で、コストや時間がかさんでしまう。そこで、通信機能付きアダプタとモジュールをエレベーターに後付けする方法を取り入れることで、比較的低コスト・短期間での導入が実現するだろう。

株式会社ミライト・ワンは、エレベーターへ後付け連携ができる自律移動ロボットの導入を支援している。清掃・配送・配膳(下膳)ロボットの導入から活用までに必要な設定をサポート。以下の記事では、ホテル現場の効率化を実現する配送ロボットや、ミライト・ワンの導入支援について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

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