物流倉庫向けロボットがさらに進化、最新ロボット導入事例

2025年4月21日

AMR(自律走行搬送ロボット)など、すでに多くのロボットが導入されている物流倉庫だが、さらに進化したロボットの導入が進んでいる。ここでは、物流拠点で活躍するロボットの最新トピックを紹介する。

業界初の自動フォークリフトとエレベーターとの連携

ハクオウロボティクスは、東京ロジファクトリーの川越物流センターへ自動フォークリフト「AutoFork」を納入し、2025年1月から本格稼働を開始した。さらに、物流業界でも初となる自動フォークリフトとエレベーターとの連携を実現し、実運用を行っている。

自動フォークリフトAutoForkとエレベーター連携作業(出典:ハクオウロボティクス) イメージ
自動フォークリフトAutoForkとエレベーター連携作業(出典:ハクオウロボティクス)

エレベーター連携にはOcta Roboticsが開発したロボット連携システム「LCI」を採用し、AutoForkとイーケーエレベータが製造した荷物用エレベーターとの自動連携を実現している。「LCI」は、エレベーター、自動ドア、セキュリティ、ロボットの種類を問わずマルチベンダーでの連携を可能にする通信サービスだ。

今回の実用化では、1階にいるフォークリフトオペレーターがエレベーター庫内に荷物パレットを搬入し、2階で待機するAutoForkがエレベーターを呼び出して、扉を開きエレベーター庫内から荷物パレットを自動で搬出し、エレベーターを1階に送り返す。このようなエレベーター連携機能により、作業効率の向上と人的負担の大幅な軽減が期待されるという。

現在、実運用開始後の最適化作業の検証を進めており、今後は通常運用フェーズへと移行する予定だ。

リストスキャン方式でAMRを運用

アクタスは、物流業務を委託している物流拠点に、ラピュタロボティクスの協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR(Autonomous Mobile Robot)XL」を導入し、2025年3月に稼働を開始した。ラピュタロボティクスによれば、日本国内でリストスキャン方式を物流拠点で採用したのは初めてだという。

ラピュタPA-AMR XL(出典:ピュタロボティクス) イメージ
ラピュタPA-AMR XL(出典:ピュタロボティクス)

ラピュタPA-AMR XLは、最大75Lサイズの折りたたみコンテナや段ボールを積載することができる自律移動型ロボットだ。使用するピッキング容器に合わせてロボットのサイズを変更することができる。とくにシューズ、アパレル、雑貨類などへの利用を推奨しているという。

リストスキャン方式とは、作業者がオーダーをAMRに割り当てる方式である。従来の、AMRシステムが自動でオーダーを割り当てるディスパッチャー方式も活用でき、出荷先(小売り店舗納品のBtoB向け、ECのBtoC向け)に応じて、 倉庫管理システムが各荷降ろしエリアを適切に選定し、ラピュタPA-AMR XLが最適な経路を通り効率的な荷降ろしを実現するという。

また、作業の進捗状況や物量によって、2つの方式で稼働するラピュタPA-AMR XLの台数を物流拠点側で柔軟に指定することが可能だという。

三井倉庫はペーパーレスマルチピッキングカートを本格導入

三井倉庫グループは、運営する物流センターのEC向け出荷業務にペーパーレスマルチピッキングカートをB-STORMと共同開発し、2025年3月に本格導入した。

ペーパーレスマルチピッキングカートは、複数オーダー分の商品を集めながら、仕分けも同時に行うマルチピッキングに、ペーパーレス機能を搭載した台車である。電気通信大学発ベンチャーであるB-STORMのマルチピッキングカートをカスタマイズ開発したものだ。

左から電子ペーパータグ、パーパーレスマルチピッキングカード、ピッキング表示機能(出典: 三井倉庫ホールディングス) イメージ
左から電子ペーパータグ、パーパーレスマルチピッキングカード、ピッキング表示機能(出典: 三井倉庫ホールディングス)

ピッキングから検品に進む工程で必要な連携情報となるオーダー番号を紙伝票ではなくバーコード化し、各カートに取り付けた電子ペーパータグに表示させることで、完全ペーパーレス化を実現。また、B-STORM社の独自技術で最適な経路を自動算出し、ピッキング指示画面にピッキングロケーション・商品名・個数などの情報を表示させることで、歩行距離の削減と作業時間の短縮が可能になるという。

ペーパーレスマルチピッキングカートの導入で、1オーダーごとに商品をピッキングするシングルピッキングとAMRによる協働ピッキングに、マルチピッキングが加わることで、商品の点数と種別に応じて3つのピッキング手法を使い分けることが可能となり、出荷時の作業効率化を実現した。

ペーパーレスマルチピッキングカート導入の効果として、1ヵ月あたりA4用紙約1,500枚を削減したという。また、ウェブ管理画面上からの各種操作による工数削減と作業効率の向上、オーダー情報の各カートへの割当自動化による工数削減、作業進捗率や担当者の作業量の可視化による作業精度の改善・向上も実現した。

梱包する商品の高さに合わせてダンボールサイズを自動で変更

オリンパスは、同社の物流拠点である相模原物流センター(神奈川県相模原市)における倉庫自動化プロジェクトの一環として、段ボール大手のレンゴー製の高さ可変自動梱包機「J-RexS(ジェイレックス)」を本格稼働したことを2025年3月に発表した。

「J-RexS」は、段ボールケースの底面積を規定サイズ内で自由に設計でき、梱包する商品の高さに合わせて自動切断・封かんを行う日本製の自動梱包機。刃物を使わない世界初の段ボール切断加工技術を採用している。

高さ可変自動梱包機(出典:オリンパス) イメージ
高さ可変自動梱包機(出典:オリンパス)

梱包後の箱のサイズと重量を測定し、測定データが運送会社へ自動送信される自動サイズ計測機も導入したことで、運送会社の荷受け時にサイズ・重量測定する作業も不要になった。

高さ可変自動梱包~サイズ・重量自動測定・送信の工程イメージ(出典:オリンパス) イメージ
高さ可変自動梱包~サイズ・重量自動測定・送信の工程イメージ(出典:オリンパス)

これらの導入により、トラックの台数の削減、作業スピードの向上、出荷作業精度の向上 、使用する段ボールの種類を従来の12種から4種に削減し、梱包資材の使用量・費用削減 などの効果があったという。

「未来図メディア」メールマガジン登録

5G×IoTの最新情報やイベント・セミナー情報を
いち早くお届けします。

ミライト・ワンのソリューションに関するご質問、ご相談など
ございましたらお気軽にお問い合わせください。

ページトップへ