UI/UXの進化で変わる自動車の移動体験
自動車のUIやUXが進化しようとしている。人とモビリティ(自動車)の間で会話によるインタラクティブな操作を実現したり、スマートフォンアプリの活用でユニバーサルなサービスを提供したりすることで、ドライバーの負担を減らして快適な移動体験を提供する。さらに、自動車の形態も進化することで、これまでにない移動体験を提供しようとしている。
ソニー・ホンダモビリティがモビリティの知能化で次世代のUI/UXを提供
ソニー・ホンダモビリティの米国法人Sony Honda Mobility of America(SHMA)は2025年10月7日、米国においてロードサイドアシスタンス(車両のトラブル時にスマートフォンアプリなどで救援を要請するシステム)のプラットフォームを提供するUrgentと提携すると発表。これにより、SHMAはEV(電気自動車)「AFEELA」のオーナーに対して、2026年中旬より米国全土(50州およびコロンビア特別区)において、ロードサイドアシスタンスを提供できるようになる。
ソニー・ホンダモビリティが考える、モビリティ体験の中心に存在する「FEEL」を表したAFEELAは、人がモビリティを「知性を持つ存在」として感じたり、モビリティがセンシングやネットワーク技術を用いて人と社会を感じたりするという、インタラクティブな体験を追求している。2026年中旬に発売予定の「AFEELA 1」には次世代のモビリティUI/UXとして、自然な会話を通じて車両の機能を操作するだけではなく、移動中の行動計画やエンターテインメントの提案を行う「AFEELA Personal Agent」が搭載される。
また、AFEELA 1ではドライバーの運転負荷の軽減と安心・安全な移動を実現するため、40のセンサーが収集するデータとAI技術による先進運転支援システム「AFEELA Intelligent Drive」を搭載。さらに、今回の提携によって、テキストメッセージを通じてサービス車両の位置情報や到着予定時刻、連絡先などの詳細情報をリアルタイムにAFEELAのドライバーに提供することで安心感も提供するという。

(写真1)ソニー・ホンダモビリティのAFEELA 1(出典:ソニー・ホンダモビリティ プレスリリース)
三菱自動車がコネクティッドサービスのUI/UXを刷新しミニアプリで提供
KDDIと三菱自動車工業は三菱自動車のコネクティッドサービス向けのスマートフォンアプリ「Mitsubishi Motors」を共同で開発し、2025年2月17日から提供開始したと発表。UI/UXを刷新し、1つのアプリを通じてコネクティッドサービスから各国独自のサービスまで、一貫したユーザー体験を提供する。
三菱自動車は2021年から一部車両向けにポータルサイト「My MITSUBISHI CONNECT」を通して車内エアコンやバッテリー充電のリモート操作機能、セキュリティ アラーム通知機能などを提供してきた。一方で、海外では各国現地法人が、各国固有の機能・サービスに関するアプリを独自で開発・運用してきた。それによって、複数のUIが混在している状況になっていたため、これまで国内で提供してきた「My MITSUBISHI CONNECT」のUI/UXを刷新。新たなアプリを通じて、各国のニーズに応じたローカル機能が利用できるミニアプリを提供することにした。
My MITSUBISHI CONNECTは、エアコンやモーター向けバッテリーの充電などをリモート操作し、時間と場所を選ばずに車のコントロールを可能にする「快適」機能を提供。また、ドアの不正解錠を通知するセキュリティーアラーム通知や、事前に設定した時間・エリア・スピードを超えた運転があった場合に通知することで、家族の運転をサポートするドライブ見守り通知でドライバーをサポートする「安心」機能を提供する。さらに、ライト点灯などの車両状態や駐車位置、走行距離や走行時間などのドライブ履歴の確認を可能とする「つながる」機能などを提供することで、ドライバーに快適な移動体験を実現する。

(図1)スマートフォンアプリのイメージ(出典:KDDIと三菱自動車 プレスリリース)
トヨタが新しい移動体験を提供するモビリティを発売
トヨタは、さまざまなモビリティサービスに活用できるEV「e-Palette」の販売を、2025年9月15日より開始した。e-Paletteは広い室内空間や大型ウインドウガラスによる開放感を活かして、人間の移動手段にとどまらず、店舗やサービス空間の移動などさまざまなモビリティサービスに対応するよう設計されている。
例えば、朝・晩はシャトルバスとして運行し、日中は充電しながらの店舗営業など、一日の中で異なる用途での活用も可能としている。さらに広い車室空間に架装を行い、遠隔通信や音響機材などを活用して、移動しながら臨場感とともにスポーツ観戦を楽しむことや、没入体験とともに観光を楽しむエンターテインメント車両としての活用も想定している。
e-Paletteは、まず「TOYOTA ARENA TOKYO」およびその周辺エリアや、「Toyota Woven City」から導入し、輸送サービスでの活用や物品などを販売する移動型店舗などの取り組みを進めていく。加えて、一部地域では販売店や自治体、自動運転パートナーとも連携した自動運転実証などを進め、2027年度にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指している。

(図2)e-Paletteが提供するマルチな移動体験(出典:トヨタ プレスリリース)
ミライト・ワンのソリューションに関するご質問、ご相談など
ございましたらお気軽にお問い合わせください。
最新の特集
UI・UX最前線
