UI/UXデザインのトレンドは?各業界の取り組み
デジタル化が進む現代において、UI/UXは見た目だけの問題ではなく、ビジネスの成否を左右する重要な要素となっています。Webサイト、スマートフォンアプリ、SNS、チャットツールなど、顧客がサービスに触れる接点が多様化しており、各接点で統一された良質なUI/UXを提供することは、顧客の満足度向上に直結するでしょう。
UI/UXとは
UIとは、ユーザーインターフェース(User Interface)の略語で、ユーザーと製品やサービスをつなぐ接点のことです。Webサイトのデザインやボタン、余白、アプリの構成やフォント、スマートフォンやパソコンなどのデバイスとやりとりするディスプレイ画面やキーボード、マウスなどもUIに含まれます。
UXとは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略語で、ユーザーがサービスや製品を通して得られる顧客体験を意味します。ユーザーが商品やサービスを選んで購入し、使用した後に感じるすべての体験がUXと捉えられます。対応の丁寧さや商品クオリティの高さ、フォントの視認性、希望のWebページまでスムーズにたどり着けることなどもUXです。UIはUXを構成する一要素と考えることができます。
UI/UXデザインの最新トレンド
近年、UI/UXデザインにおけるユーザー中心のアプローチがますます重要視されています。ユーザー中心設計とは、製品やサービスのデザインにおいて、ユーザーの経験とそのニーズを最優先する設計方法論で、ユーザーの行動、思考、感情を徹底的に理解し、それらを製品設計に反映させることで、使用時の快適さや満足度を高めることを目指します。
このアプローチは、ユーザビリティの向上のみならず、より深い顧客のロイヤルティや口コミ効果を生むため、全体のビジネス価値を向上させるという点で高く評価されています。
具体的なトレンドを見ていきましょう。
➀インクルーシブデザイン
UIトレンドで外せないのが、アクセシビリティ(利用しやすさ)を重視したデザインです。インクルーシブデザインはUI/UXデザインの中心的なトレンドとして注目されています。単なる見やすさから一歩進んで、高齢者や障害者を含め、誰もが快適に使えるデザインが、これまで以上に重要視されていくでしょう。
具体的には、赤と緑など識別が難しい配色を避け、誰でも見やすいカラー設計にすることや小さすぎないフォントサイズ、十分な余白で読みやすい行間を確保すること、音声UI・読み上げ対応などがあります。
国連の報告によると、世界中で約15%の人々が何らかの障害を抱えているとされています。インクルーシブデザインを採用することで、これらのユーザーを含む新たな市場を開拓でき、企業はより多くの顧客にリーチし、売上を増加させることができます。
また、消費者が企業の社会的責任を重視する傾向が強まっている中で、インクルーシブデザインを実践する企業は、社会的責任を果たしていると見なされ、ブランド価値を高める要因となります。
インクルーシブデザインは、すべてのユーザーにとって使いやすい製品を提供するため、結果的に全体的なユーザーエクスペリエンスが向上します。誰もが安心して利用できるデザインは、それ自体が信頼につながるでしょう。
②AI × UI の進化
生成AIの進化は、デザインの世界にも大きな影響を与えており、AIとUIの融合による新しい体験がトレンドとして注目されています。
例えば、コンテンツ生成支援として、アイコン・背景画像・テキストなどをAIで補完すれば、制作スピードを大幅に短縮することができます。これにより、従来はデザイナーが時間をかけて行っていた作業が効率化され、デザイナーの役割は「作る人」から「監修する人」へとシフトしていくでしょう。
AIインターフェースの進化により、ユーザーの行動データを基にしたリアルタイムのインターフェースの最適化が可能になっています。企業はAIを活用して、ユーザーの購買履歴や閲覧履歴を分析し、ユーザーの行動履歴や好みに応じて、表示する情報やレイアウトを自動で最適化します。これにより、ユーザーは自分の嗜好や行動に基づいてカスタマイズされた体験を享受できるようになります。
今後、UIは、AIによってますます柔軟かつスピーディーに進化していくと見られます。
③インタラクティブな没入型UX
これまでWebデザインは平面表現が主流でしたが、近年は3D表現や没入型のUXが広がりつつあります。具体例としては、製品を360度回転させて見られる商品ページや、背景に緩やかに動く3Dオブジェクトを配置して、奥行きを演出するなどです。
インタラクティブなVR(仮想現実)/AR(拡張現実)技術は、ユーザーに没入型の体験を提供します。デジタルコンテンツと現実世界の境界が曖昧になることで、ユーザーは製品やサービスのより深い理解を得ることができます。
ARによって、現実の環境にデジタル情報を重ね合わせることで、ユーザーが物理的な空間でデジタル要素を体験できるようになります。例えば、ユーザーはARを使用し、自宅で商品を試着したり、家具を配置したりすることができるようになります。一方、VRは、ユーザーを完全にデジタルな環境に没入させ、従来のインターフェースを超えた新しい体験を提供します。
インタラクティブなAR/VRは、ユーザーエンゲージメントを深め、ブランドとユーザーとの感情的なつながりを強化します。ユーザーは単なる消費者としてではなく、ブランド体験の「参加者」として関与することができるため、ユーザーの記憶に残りやすくなり、ブランドロイヤルティを高める効果が期待できます。 これらの技術は、特にECや不動産、教育、観光など、実物や空間を直感的に伝える必要がある業界で急速に普及しています。
これからのWebデザインでは、「情報を読む」だけではなく「体験する」感覚を取り入れることが重要になると考えられます。
各業界でのUI/UXデザインの動向
自動車業界では、自動運転の普及により運転者が車両の操作から解放されるため、インターフェースを介した車内エンターテインメントが求められるようになってきています。そのため、インターフェースデザインにはユーザー中心の視点が不可欠で、従来のボタンやダイヤルから、タッチスクリーン、音声操作、ジェスチャー操作といった直感的なインタラクションが主流となると考えられています。
2025年5月、トヨタ自動車は新型SUV「RAV4」を世界初公開しました。この新型RAV4は、トヨタ初のSDV(Software Defined Vehicle)になっています。
また、ホンダは、SDVの核として車載OS「ASIMO OS」の開発を進めており、2026年からの本格展開を目指しています。
SDVは、自動車業界では自動車のスマートフォン化と言われています。ドライバーの体験価値向上や、電気自動車(EV)、自動運転技術の進展に伴いUI/UXの重要性がさらに高まっており、メーカー各社がこの分野に注力しています。
Honda独自のビークルOS「ASIMO OS」(出典:HONDA WEBサイト)
良質なUIは、ユーザーとシステムやサービスの間にスムーズなインターフェースを提供し、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させます。また、ユーザーの利便性や満足度を高めるだけではなく、企業にも顧客維持率の向上、運用コストの削減、ブランド価値の向上といった多くのメリットをもたらします。UI/UXは、現代のビジネスにおいて欠かせない重要な要素と言えるでしょう。
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