IHI、CO2と水素を原料としたSAFの合成に成功
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最近は、カーボンニュートラルの実現に向け、多くの企業が積極的に取り組んでいる。中でも水素は、燃焼・発電時に水のみを排出し、 鉄鋼・化学などの産業、船舶や航空などの大型輸送、発電などの領域で活用が期待されている。水素は製造のほか、貯蔵・輸送コストの高さ等の課題があるが、実用化に向け研究開発・実証が進んでいる。ここでは、そんな水素社会の実現に向けた実証を紹介する。
IHIの合成したSAFは代替ジェット燃料として優れた特性
IHIは2026年1月9日、持続可能な航空燃料(SAF)の開発に取り組んでおり、このたび、CO2と水素を原料としたSAFを、試験装置規模で合成することに成功したと発表した。

CO2と水素から合成された液体炭化水素(左)、改質後の航空燃料サンプル(右)(出典:IHI)
IHIはシンガポール科学技術研究庁傘下の研究機関であるISCE2(Institute of Sustainability for Chemicals, Energy and Environment)と共同で、CO2と水素からSAFの原料である液体炭化水素を直接合成する触媒の開発を開始し、2025年9月からは、IHIがISCE2内に設置した試験装置を用いて、液体炭化水素の合成試験を実施した。合成試験で得られた液体炭化水素に改質処理を施したサンプルは、ワシントン州立大学で特性評価が行われ、航空機用代替ジェット燃料として優れた特性と評価されたという。
今後IHIは、環境に配慮した経済的な航空機によるカーボンニュートラルの実現を目指し、効率的かつ安定的なSAF製造技術の早期確立に向けて、開発を推進していくという。
川崎重工業が容量4万立方メートルという世界最大の液化水素運搬船を建造
川崎重工業は今年の1月、日本水素エネルギー(JSE)と容量4万立方メートルという世界最大の液化水素運搬船を建造する契約を締結したと発表した。

川崎重工業が建造する40000㎥型液化水素運搬船のイメージ(出典:川崎重工業)
本船は外部からの侵入熱により発生するボイルオフガス(BOG)を低減する高性能の断熱システムを採用し、極低温の液化水素の大量輸送を実現する。推進機関には、従来型の油を燃料とする発電用エンジンに加えて、水素および油を燃料とする発電用二元燃料エンジンを追加搭載した電気推進システムを採用している。また、陸上設備から船内の液化水素用タンクまで、極低温のまま効率的かつ安全に移送するために、真空二重配管を採用している。
川崎重工業は2021年に世界に先駆けて1,250立方メートルの液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を建造するとともに、液化水素の荷役実証ターミナル「Hy touch 神戸」を建設し、2022年2月には、日豪間で液化水素を海上輸送・荷役するパイロット実証に世界で初めて成功した。
同社によると、今回建造する新しい船は2030年代に予想される世界の水素需要を満たし、商業的な水素サプライチェーンの開発を支援するように設計されているという。
この船は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業である「液化水素サプライチェーンの商用化実証」において、基地と船間での液化水素の荷役実証、ならびに国際間の海上輸送を模した外洋条件下での実証試験を2030年度までに実施する。
JSEは、本船と川崎市扇島に建設中の液化水素基地「川崎LH2ターミナル」により、国際水素サプライチェーンの商用化に求められる要件(性能、安全性、耐久性、信頼性、経済性等)を確認する商用化実証を通じて、水素の社会実装への歩みを着実に進めていくという。
産業用燃料電池フォークリフトの導入実証を実施
鈴与商事は、鈴木商館およびトヨタL&F静岡と連携し、産業用燃料電池フォークリフトの導入実証を2025年12月1日~2025年12月19日まで開催した。この実証は、鈴与商事が静岡県より委託を受け、鈴木商館ならびにトヨタL&F静岡の協力のもと実施したもので、静岡県内では初の事例となる。

実証の様子(出典:鈴与商事)
実証では、トヨタL&F静岡がFCフォークリフト車両の提供、鈴木商館が水素供給ならびにFCフォークリフト車両への水素充填を担い、アオキトランス、天野回漕店、鈴与、清和海運の4社がFCフォークリフトの試験利用を行った。
鈴与商事、鈴木商館、トヨタL&F静岡は、本実証を通じて水素エネルギーの実用性と有効性を検証し、地域産業における水素活用モデルを構築することで、持続可能な社会の実現と地域経済の活性化を目指している。
ジェイテクト、花園工場が中部圏低炭素水素認証制度に認定
ジェイテクトは、花園工場(愛知県岡崎市)における「グリーン水素地産地消プロジェクト」が、「中部圏低炭素水素認証制度」に基づき認定され、12月17日に事業計画の認定証が交付されたと発表した。
「中部圏低炭素水素認証制度」は、中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議が、水素の製造・輸送・利用に伴うCO2排出が少ない水素を「低炭素水素」として認証・情報発信し、地域の低炭素水素サプライチェーン構築に取り組む事業者を支援する制度。
花園工場では、生産工程におけるカーボンニュートラル達成に向けたグリーン水素の地産地消を目指しており、2025年12月4日、太陽光発電と非化石証書付き電力を活用し、水電解によってグリーン水素を生成・供給する設備「CNプラント」が稼働を開始した。また、工場内に水素供給用の配管設備を整備し、水素を「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」の一連のプロセスを工場内で完結できる体制を構築した。
現在は、CO2排出が伴うアルミダイカスト工程(アルミを高圧で金型成形する鋳造法)のアルミ溶解用の燃料として、グリーン水素を使用する「水素バーナー式アルミ溶解保持炉」の稼働開始に向けて準備を進めているという。
同社では今回の認定を契機に、花園工場での工場規模でのグリーン水素地産地消モデルを確立し、今後は他工場のアルミ鋳造工程へ展開することで、Scope 1、2におけるCO2排出削減をさらに加速させるという。
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