広がるスマート防災:AIドローン、IoT家電、地下型災害トイレの最新事例

2026年7月6日

AI・IoT・レジリエンスインフラが融合し、災害対応の在り方が大きく変わり始めています。スマート防災の最新ソリューションが続々と登場し、自治体の初動対応力と避難所運営の質を高める新たな取り組みが全国で広がりつつあります。

NEC、ドローン×生成AIで南海トラフ巨大地震に備えるソリューションを発表

NECは2026年4月16日、四国の国立・私立高専生と共同で、南海トラフ巨大地震を想定した「ドローン×生成AI」による新たな防災ソリューションを発表しました。
巨大地震が発生した際、道路寸断や通信障害により現場の状況把握が遅れることは大きな課題であり、NECはこの課題に対し、ドローンで収集した映像を生成AIが解析し、倒壊家屋や通行不能箇所などの被害情報を自動抽出する仕組みを提示しました。
この技術の特徴は、従来の画像解析に加えて生成AIを活用することで、被害状況をより柔軟かつ高精度に把握できる点にあります。例えば、瓦礫の散乱状況や建物の損壊度合いをAIが文章として説明したり、危険箇所を地図上に自動プロットしたりすることで、現場の職員が映像を一つひとつ確認する負担が大幅に軽減され、救助活動や避難誘導に必要な判断を迅速に行うことができます。
NECはこれまで、画像分析×LLM(大規模言語モデル)や可搬型ローカル5G、リアルタイム津波浸水推定など、防災DX領域で多様な技術を展開してきました。今回のドローン×生成AIは、これらの技術群と連携することで、災害時の情報収集から分析、共有までを一気通貫で支援する基盤として機能する可能性があります。
本取り組みは、学生の創造性とNECの技術力を掛け合わせた実証的な試みであり、災害時に全国の自治体が抱える初動の情報空白を埋める有力なアプローチとなっています。

NECの防災ソリューション 出典:NEC Webサイト イメージ
NECの防災ソリューション
出典:NEC Webサイト

神栖市×NIED、IoT家電が避難指示を発話する実証実験を実施

茨城県神栖市、防災科学技術研究所(NIED)、JEITA、シャープ、リンナイは、2026年3月15日に実施された神栖市全域の津波避難訓練において、IoT家電および住設機器を用いた避難指示の伝達効果を検証する実証実験を実施しました。本実験は、東日本大震災で甚大な被害を受けた神栖市が、より確実な情報伝達手段を確保するために実施したものです。
今回の実証の背景には、屋内で防災行政無線が聞こえにくい、テレビやラジオの電源が入っていない場合があるといった課題があります。実証では、防災士宅や災害対策本部、避難所に、シャープ製IoT空気清浄機およびリンナイ製給湯リモコンを設置し、訓練開始と同時にこれらの機器が地震発生や大津波警報の情報を音声で伝達しました。空気清浄機はクラウド上の音声データを活用し、世帯ごとに異なる内容を発話する仕組みも検証されました。給湯リモコンは台所や浴室といった生活動線上に設置されているため、入浴中や調理中でも避難情報を確実に届けられる点が評価されています。
技術基盤としては、JEITAが標準化を進める「イエナカデータ連携基盤」が活用されています。これはマルチベンダーのIoT機器を横断的に連携させる仕組みで、将来的には多様な家電・住設機器が災害情報を発話できる環境の構築を目指しています。今回の実証は、内閣府SIP「スマート防災ネットワーク」の研究の一環として実施されており、産学官連携による社会実装に向けた重要なステップとなっています。

実証実験のイメージ 出典:防災科学技術研究所(NIED)報道発表 2026年2月27日 イメージ
実証実験のイメージ
出典:防災科学技術研究所(NIED)報道発表 2026年2月27日

防犯防災総合展2026に出展された地下貯留方式災害トイレ「2Ways大地くん」

2026年4月15日から17日に開催された防犯防災総合展2026にて災害トイレ「2Ways大地くん」が出展されました(出展社:四国浄管)。

地下貯留方式の災害トイレ「2Ways大地くん」は、ミライト・ワンが提供する"平常時と災害時の二刀流"を実現した防災インフラで、平常時は地下空間を備蓄庫として活用し、災害時には大容量のトイレ設備として展開できる点が最大の特徴です。スマート防災の観点から見ると、この仕組みは単なる非常用トイレではなく、避難所のレジリエンスを高める基盤インフラとして位置づけることができます。

大規模災害では、トイレ不足や衛生悪化が避難所運営の初動を大きく妨げ、特に下水道の破断が起きた場合、従来型の仮設トイレは機能しなくなることがあります。「2Ways大地くん」は貯留方式を採用しているため、下水が使えない状況でも長期間運用することができ、500人が30日間使用できる容量を備えています。これは、災害時の自律性を確保するフェイルセーフ型インフラとして極めて重要になります。また、地下に備蓄を収納する構造は、スマートシティが重視する土地利用の最適化にも合致し、地上にスペースを取らず、景観を損なわず、温度変化の影響を受けにくいため、備蓄物の劣化を防ぎ、維持管理コストも抑えることができます。

将来的には、使用量や貯留容量をIoTで可視化し、避難所管理システムと連携することで、より高度なスマート防災インフラへ発展し、避難所運営の質を根本から高める存在になるでしょう。

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