データセンターの課題とは?再エネや冷却システムなどによる解決策も紹介

2025年5月26日

インターネットやクラウドサービスを支える重要な基盤であるデータセンターは、生成AIの登場により、その役割がさらに拡大している。しかし、国内のデータセンターは関東圏に集中しており、自然災害や電力供給、環境負荷など、多くの課題に直面している。

本記事では、国内におけるデータセンターの現状を整理し、課題と解決策について詳しく解説する。

国内におけるデータセンターの現状

世界のデータセンターは、アメリカに集中している。次いでヨーロッパで、日本におけるデータセンターの数はアメリカの5%にも及ばない。しかし、近年では日本においても生成AIの活用ニーズが拡大し、AIの処理基盤であるGPUサーバーを設置できるデータセンター需要も増加している。

ここでは、国内に目を向け、市場規模や設置状況、世界的な巨大IT企業によるデータセンター投資計画を見ていこう。

国内のデータセンター市場は拡大傾向

日本国内のデータセンター市場は、近年拡大傾向にある。総務省が公表した「令和6年版 情報通信白書」によると、2022年における日本のデータセンターサービスの市場規模(売上高)は、2兆938億円であった。今後も市場の成長が見込まれており、2027年には4兆1,862億円に達する見通しとなっている。

生成AIをはじめとするデジタル技術の普及により、データ処理需要が増加していることが、必然的にデータセンター市場の拡大を後押ししている。

参考:令和6年版 情報通信白書|総務省

国内のデータセンターは関東に集中

国内におけるデータセンターの立地状況を見ると、約6割が関東地方に、約2割が関西地方に集中している。これは、都市部の方が通信環境が整っており、アクセスが良好で通信遅延(レイテンシー)が発生しにくいためであると考えられる。

一方、その他の地方では、都市部にある企業のバックアップ拠点や、地元企業向けの小型データセンターが設置されるケースも見られる。

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世界的な巨大IT企業が国内のデータセンター投資計画を策定

世界的な巨大IT企業は、国内におけるデータセンターを含む大規模な投資計画を策定している。たとえば、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS Japan)は、2023年の実績を含む2027年までの5年間で、149億6000万米ドル(約2兆2600億円)を投資する計画を発表した。この投資には、データセンターの設備投資や運用・保守費用などが含まれる。

また、Microsoftは国内のAIおよびクラウド基盤を強化するため、約4400億円を投資し、東京と大阪のデータセンターにGPUサーバーを導入する計画を明らかにしている。さらに、Googleは和歌山県にある「バブル経済期からの負の遺産」と呼ばれていた広大な土地を59億円で購入したと報道があった。これは、データセンター建設に使用されると考えられている。

このような世界的IT企業の日本への投資は、国内データセンター市場の拡大と技術革新を加速させる要因につながるだろう。

データセンターの課題6つ

データセンターの課題6つ イメージ

今後、ニーズの拡大が予想されるデータセンターだが、いくつかの課題がある。ここでは、以下の6つの課題を紹介する

 1.生成AIの登場で、計算と排熱に必要な電力量が増加
 2.CO2排出量が増加
 3.データセンターの一極集中によるリスク
 4.土地の確保
 5.完成まで数年が必要
 6.運用の複雑性

それぞれ、詳しく見ていこう。

①生成AIの登場で、計算と排熱に必要な電力量が増加

急速なデジタル化や生成AIなどの普及により、必要な計算量が急増し、それに伴い消費電力量も急速に増加している点が懸念されている。AI処理に必要なデータセンター需要も拡大しており、AI処理用途に使用されるGPUサーバーは、一般的なサーバーに比べて発熱量が高く、高い冷却能力を持つ冷却システムが必要となる。

また、サーバーの熱を排出するために稼働する冷却システム自体の電力消費も増加傾向で、新たな課題となっている。

②CO2排出量が増加

計算や冷却などに伴いデータセンターの消費エネルギー量が増加すると、CO₂排出量も大量に発生してしまうことも課題の一つと考えられる。

日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しており、官民を挙げた省エネ・脱炭素化の取り組みが進められている。

データセンターの電力需要が増大する中、カーボンニュートラルを実現するには、再生可能エネルギーの活用や高効率な冷却技術の導入がより一層求められるだろう。

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③データセンターの一極集中によるリスク

前述のとおり、国内のデータセンターは関東地方に集中している。東京付近で自然災害などが発生すると、データセンターが機能停止する恐れがある。

データセンターに障害が発生した場合、クラウドサービスの停止や行政・医療・金融・交通といったインフラへの影響が全国へ広がり、社会的な混乱を引き起こすリスクがあるだろう。このようなリスクを回避するためには、データセンターの地方分散を推進することが重要と考えられる。

④土地の確保

大規模なビル型データセンターの建設には、広大な土地の確保が必要となる。しかし、日本はアメリカに比べて国土資源が限られており、十分なスペースの確保は容易ではない。

また、都市部では地価が高騰しているため建設コストが膨らみやすく、地方ではネットワーク接続や電力供給などのインフラ整備にもコストがかかる点も課題の一つといえる。

⑤完成まで数年が必要

大規模なビル型データセンターの設置には、完成までに3年〜5年を要する場合がある。

膨大なイニシャルコストに加え、完成までの期間が長期化することで、急速に進化する技術トレンドに対応できず、ビジネスチャンスを逃すリスクも生じるだろう。

⑥運用の複雑性

近年、クラウドサービスや生成AIの需要拡大により、データセンターの運用は複雑化している。データセンターの運用には、ネットワーク、冷却、セキュリティなど多岐にわたる要素が絡み、高度な保守管理能力が求められる。

また、設計・施工と運用保守で契約するベンダーが異なる場合、社内担当者の負担が大きくなる恐れがある。そこで、設計から施工、運用保守までワンストップで依頼できる体制を整えることで、運用効率の向上が期待できるだろう。

データセンターにおける課題の解決策5つ

次に、データセンターにおける課題の解決策を紹介する。

 1.省エネ型冷却システムの導入
 2.再生可能エネルギーの活用
 3.データセンターの地方分散化
 4.コンテナ型データセンターの導入
 5.ワンストップで依頼できるサービスの利用

①省エネ型冷却システムの導入

近年では、環境への配慮やエネルギー効率向上の観点から、データセンターでも省エネ型の冷却システムが求められている。従来の空調方式だけでは十分な排熱が困難になりつつあり、以下のような高効率な冷却技術が注目されている。

冷却技術 概要
水冷リアドア方式 サーバーラック背面(リア)に冷水を通した熱交換器とファンを設置し、排気直後に冷却する方式
コールドプレート冷却方式 ICT機器の発熱部に冷却板(コールドプレート)を取り付け、冷却液で直接熱を吸収する方式
液浸冷却方式 絶縁性のある冷却液にサーバー全体を浸して熱を吸収することで、冷却ファンを使わず高効率な冷却を実現する方式

最新の冷却技術については、以下の記事でも解説している。合わせてぜひ確認してみてほしい。

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データセンターの現状と課題を徹底解説!最新の冷却技術や方法も紹介

②再生可能エネルギーの活用

データセンターに必要な電力を再生可能エネルギーでまかなうことで、CO₂排出量の削減につながると考えられる。

しかし、太陽光発電や風力発電によって電力を生産しても、需要がなければ電力を捨ててしまう「出力抑制」が、主に地方で発生している。

そこで、再生可能エネルギーの発電所に隣接してデータセンターを設置することで、発電した電力を無駄にせずに消費できるため、出力抑制とCO₂排出量削減の双方を同時に解決できると期待されている。

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再エネ100%のデータセンターが北海道に相次いで開設

③データセンターの地方分散化

データセンターの関東一極集中を避け、災害リスクを低減するために、データセンターの地方分散化が進められている。

日本政府はデータセンターや5Gなどのデジタル基盤整備を重要視し、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」を推進している。同計画では、東京圏以外に10箇所以上の地方データセンター拠点を今後5年程度で整備する方針が示されており、地方への分散化が本格化している。

④コンテナ型データセンターの導入

データセンターの課題を解決する手段の一つとして、コンテナ型データセンターの導入があげられる。コンテナ型は、ビル型データセンターに比べて短納期かつ低コストで設置でき、必要に応じて容易に拡張できる柔軟性を持つ。また、モジュール設計により設置後も移動が可能で、設置場所の選択肢も広がるなどのメリットがある。

株式会社ミライト・ワンは、高排熱・省エネ空調を搭載した、GPUサーバー対応のコンテナ型データセンターを提供している。建築物扱いにならず短納期で導入できる他、地域の再生可能エネルギー設備との連携により、電力不足や出力抑制の課題解決にも貢献する。詳しくは、以下のリンクをチェックしてみてほしい。

コンテナ型データセンター

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コンテナ型データセンターとは?メリット・デメリット・3つの事例をご紹介

⑤ワンストップで依頼できるサービスの利用

データセンターの建設や運用は年々複雑化しており、担当者の負担増加が懸念されている。設計、施工、運用保守を別々のベンダーに依頼すると、調整コストやリスクが高まりやすいため、ワンストップで対応できるサービスの利用が有効な解決策となり得るだろう。

株式会社ミライト・ワンは、コンテナ型データセンターの設計から施工、運用保守までを一貫して支援する「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」を提供している。すべての工程を依頼することで、計画から運用フェーズまで一貫したサポートを受けられ、スムーズなプロジェクト進行が可能となるだろう。

また、従来のデータセンターに比べ、短納期と柔軟な拡張性、低コストを実現。GPUクラウドマッチングサービスにより、必要な計算力を必要なタイミングで、必要な分だけを提供する。詳細は、以下のリンクをチェックしてみてほしい。

コンテナ型AIデータセンターの構築からクラウドサービス化まで一気通貫で提供する「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」を提供開始 ~モルゲンロット社と研究・開発・検証用の専用ラボ開設

コンテナ型データセンター

AIの大規模データに対応したコンテナ型データセンター

データセンターの多様な課題に対応するためには、柔軟性、拡張性、省エネ性能を兼ね備えた新しいソリューションが求められる。株式会社ミライト・ワンは、このようなニーズに応えるため、コンテナ型AIデータセンターの設計から施工、運用・保守までを一気通貫で支援する「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」を提供している。

AIの大規模データにも対応したコンテナ型データセンターで、再生可能エネルギーの施工実績も豊富にあることから、再エネ電力と組み合わせた構築も実現。建築物の扱いとならず、またワンストップで対応するため最短6ヶ月で建設が完了する。

さらに、コンテナ型データセンターのサイズや空冷・水冷タイプなど、ご要望に応じてカスタマイズも可能。効率的な冷却と省エネ設計にも対応している。

液浸冷却方式 イメージ

詳しくは、以下のページもぜひチェックしてみてほしい。

コンテナ型AIデータセンターの構築からクラウドサービス化まで一気通貫で提供する「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」を提供開始 ~モルゲンロット社と研究・開発・検証用の専用ラボ開設

コンテナ型データセンター

事例|株式会社ミライト・ワン池袋技術センターにコンテナ型データセンターの見学・検証用の設備を設置

株式会社ミライト・ワンは、「導入に際し、実際の設備を確認したい」というお客様ニーズに対応するため、コンテナ型データセンターの実機を見学できる環境を同社の池袋技術センターに設置している。本施設はGPUを搭載し、検証環境として利用も可能。

また、「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」をモルゲンロット株式会社と共同で提供している。これは、コンテナ型AIデータセンターの構築からクラウドサービス化まで一気通貫で提供するものだ。

都内でアクセスがよい貴重な見学施設であり、コンテナ型データセンターの導入を検討の際は一度、実機での見学をおすすめしたい。

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GPUベースの産業用コンテナ型データセンターソリューション 「M:MDC(モルゲンロットモバイルデータセンター)」 のサービス開始

まとめ

生成AIの普及やデジタル技術の進展により、データセンターに対するニーズは今後さらに高まると考えられる。一方で、電力消費量やCO₂排出量の増加、運用の複雑性などの課題も浮き彫りになっている。

株式会社ミライト・ワンは、コンテナ型AIデータセンターの設計から施工、運用保守までを一貫して行う「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」を提供している。再エネ電力と組み合わせた構築や効率的な冷却方式の導入により、環境に配慮しながら、低コストかつ短納期の導入を支援している。

コンテナ型データセンターの導入を検討している場合、以下のページもぜひ一度チェックしてほしい。

コンテナ型AIデータセンターの構築からクラウドサービス化まで一気通貫で提供する「ミライト・ワン コンテナDCワンストップソリューション」を提供開始 ~モルゲンロット社と研究・開発・検証用の専用ラボ開設

コンテナ型データセンター

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