ドローンのビジネスモデルと活用分野とは?市場規模や事例も紹介

2023年10月2日

ドローンビジネスは、将来的に市場規模が拡大すると予測されている。ドローンはインフラ点検や農業分野で実用化されているが、「 ドローンビジネスに参入するには、どのような分野がいいだろうか 」と悩みを抱える方もいるだろう。

この記事では、 ドローンビジネスの市場規模や今後の可能性、ビジネスモデル、ビジネス活用できる分野などについて紹介する。 活用事例や起業するためのポイントも解説するので、ドローンビジネスの立ち上げを検討している方は、ぜひ参考にしてみてほしい。

ドローンビジネスの市場規模と今後の可能性

日本におけるドローンビジネスの市場規模を把握するために、2023年3月、株式会社インプレスのインプレス総合研究所が発表した「ドローンビジネス調査報告書2023」を見てみよう。

2022年度のドローンビジネス市場規模は、全体で3,086億円、前年度比で33.7%増となった。さらに 2023年度は、3,828億円(前年度比で24.0%増)に拡大する見込みである。

ビジネスモデル別に見ると、2022年度は周辺サービスが652億円(前年度比で39.0%増)、サービスが1,587億円(前年度比で38.0%増)、機体が848億円(前年度比で22.0%増)で、いずれも前年度より拡大している。3つのビジネスモデルの概要は、次の章で解説する。

参考: ドローンビジネス調査報告書2023|インプレス総合研究所

今後のドローンビジネスの可能性

インプレス総合研究所の調査によると、2028年になるとドローンビジネスの市場規模は9,000億円超まで成長する可能性があると予測している。

2022年12月に ドローンのレベル4飛行が解禁 され、有人地帯で目視なしの自律飛行が可能となった。 今後は都市部における物流サービスなど、さまざまな分野でドローンの活用が期待されている。

参考: ドローンビジネス調査報告書2023|インプレス総合研究所

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ドローンのレベル4とは?解禁後に実現できることや4つの課題・実証実験など

ドローンの3つのビジネスモデル

ドローンの3つのビジネスモデル イメージ

ドローンのビジネスモデルは市場の種類によって3つに大別でき、 サービス市場、周辺サービス市場、機体市場が挙げられる。 それぞれの概要は、次のとおりである。

市場の種類 市場規模
(2022年)
概要
サービス市場 1,587億円 ・土木/建築、物流、防犯セキュリティ、農業/林業、保守/メンテナンス、防災などの分野でドローンを活用した事業
・さまざまな分野で、ドローンの実証実験と社会実装が進められている
周辺サービス市場 652億円 ・ドローンのスクール事業
・バッテリーや消耗品のメンテナンス事業
・ドローン保険の充実化
・ドローンの商業化が進むにつれ、周辺サービスも拡大すると期待されている
機体市場 848億円 ・農業や点検、物流などの分野で利用できる機体の販売
・ドローンが離着陸するドローンポートの販売も含まれる

3つのビジネスモデルの中で「 サービス市場 」がもっとも大きく、社会実装が進められていることから今後も大幅な拡大が期待できる。

また、 ドローンのレベル4飛行には「一等無人航空機操縦士」の資格と「第一種型式認証」を取得した機体が必須となっているため、周辺サービス市場においてスクール事業が活発化すると考えられる。 さらに、サービス市場の拡大で用途に応じた機体へのニーズも高まるだろう。

ドローンをビジネス活用できる分野

続いて、ドローンのビジネス活用が進められている6つの分野を紹介する。

土木・建築分野
物流分野
防犯セキュリティ分野
農業・林業分野
保守・メンテナンス分野
防災分野

それぞれ、詳しく見ていこう。

土木・建築分野

土木・建築分野における測量作業でドローンが活用されている。

人の立ち入りが困難な危険エリアや、通常の三角測量が難しい現場において、測量作業にドローンを使うと、日々の進捗管理が容易になる。

出典:株式会社ミラテクドローン|ドローン運航サービス イメージ
(出典:株式会社ミラテクドローン| ドローン運航サービス

株式会社ミラテクドローンでは、 土木現場でもドローンを利用して安全でスムーズな測量作業を支援している。 詳しくは、以下のサイトをチェックしてみてほしい。

ドローン運航サービス|株式会社ミラテクドローン

物流分野

物流分野でドローン配達が実現すると、 ドライバー不足の解消や交通渋滞の緩和に役立つ。 ドローン配達の実現を目指して、実証実験が行われている。

とくにドローンのレベル4飛行が解禁され、有人地帯でもドローンの自律飛行が可能になったことから、 住宅地におけるドローン配達が期待されている。

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ドローン配達の実用化はいつから?日本の現状や課題、海外事例を紹介

防犯セキュリティ分野

人手不足の解消や警備力の高度化を実現するために、防犯セキュリティ分野でもドローンを活用できる。 たとえば、広大な敷地の防犯セキュリティを高めるために、ローカル5G無線通信システムを用いて、ドローンによる遠隔巡回や監視を可能にするための実証実験が行われている。

また、2025年に開催される関西万博(日本国際博覧会)に向けて、 ドローンを使った防犯機能と見守り機能の有効性を検証する実証実験が関西電力によって行われた。

5G・Wi-Fiスポットやカメラ、デジタルサイネージなどが搭載されたスマートポールに、ドローンも設置。カメラの映像からAIが会場内のトラブルを発見すると、ドローンが現場に急行する仕組みとなっている。

なお、関西万博に向けたドローンの実証実験については、 関西電力や大阪ガスによる関西万博を見据えた実証実験を紹介 でも詳しく説明している。

今後、ドローンとの通信を安定化させるには5Gの利用が期待される。 そこで、株式会社ミライト・ワンは、「 ローカル5G無線エリア構築ソリューション 」を提供。ローカル5Gの導入を検討している際は参考にしてほしい。

関連リンク
ローカル5G無線エリア構築ソリューション|株式会社ミライト・ワン

農業・林業分野

農業・林業分野において、ドローン活用の期待は高い。実際、 農薬や肥料散布、播種、受粉、鳥獣被害対策などで、ドローンが以下のように利用されている。

農業・林業分野における
ドローンの活用例
概要
農薬散布 ヘリコプターによる防除事業を補完するために、ドローン防除を活用
肥料散布 人が立ち入りにくい中山間地で、上空からの肥料散布にドローンを活用
播種 水稲の直播作業にドローンを活用
受粉 果物の受粉作業にドローンを活用し、花粉溶液を散布
鳥獣被害対策 シカやイノシシの生息地域や行動をドローンが空撮し、農作物への被害対策を実施

農業や林業における作業の一部をドローンが担うことで、 現場で作業する人の負担が大幅に軽減されることから、ドローンを活用した取り組みが各地で進められている。

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林業の計測に特化したアプリケーション「mapry林業」|株式会社ミライト・ワン

保守・メンテナンス分野

保守・メンテナンス分野では、 立ち入りが困難な場所や設備点検にドローンが活用されている。

(出典:株式会社ミラテクドローン|ドローン運航サービス) イメージ
(出典:株式会社ミラテクドローン| ドローン運航サービス

株式会社ミラテクドローンは、パイロットの優れたフライト技術とともに、お客様のニーズに合わせた「 ドローンフライトソリューション 」を提供している。 建物壁面、水管橋、インフラの点検、災害調査に利用できる。 詳しくは下記のサイトを参考にしてほしい。

ドローンフライトソリューション|株式会社ミライト・ワン

また、 ドローンを紐で吊り下げることで、点検時に墜落リスクを最小限に抑える技術にも注目したい。

これは、ミライト・ワンのグループ会社である西武建設株式会社が共同開発した技術で、シリコーン素材のバルーンを膨らまし、柵からドローンを吊り下げて点検を行う。飛行申請を必要とせず、建物の点検を安全に実施できるようになる。

(出典:株式会社ミライト・ワン|西武建設株式会社 Japan Drone 2023にブース出展) イメージ
(出典:株式会社ミライト・ワン| 西武建設株式会社 Japan Drone 2023にブース出展

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ドローンやAIを活用し、先端技術でミライのまちを守る
西武建設株式会社 Japan Drone 2023にブース出展|株式会社ミライト・ワン

防災分野

防災分野では、 災害に備えた点検や、災害後の被害状況の調査にもドローンの活用が検討されている。

実際、東京都江東区は災害に備えた橋梁点検にドローンを活用。陸上や橋の上から目視確認できないような、橋を支える支承(ししょう)をドローンなら撮影できるため、安全性の確保に役立つ。

また、災害現場では、これまでヘリコプターが調査や救助に使用されてきた。しかし、ヘリコプターは出発までに時間がかかる点が課題であった。

これに対し、ドローンは、 素早く出発して災害現場に到着できるだけでなく、広範囲にわたる調査が可能となる。 迅速に被災マップや救済計画を作成できるとして、活躍が期待されている。

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防災に向けた橋梁点検や災害時の被災状況調査でのドローン活用を検討する江東区
5Gとの組み合わせで災害対応から損害調査まで力を発揮するドローン

ドローンビジネスの事例

2023年時点で商用化されているドローンビジネスの分野は、 インフラや設備点検、農業の農薬散布、ドローンショーなどのエンタメ分野が中心となっている。 物流などの分野では、社会実装に向けて実証実験が進められている。

ここでは、設備点検、農薬散布、ドローン配送の分野における事例を紹介する。

分野 企業・組織 事例内容
設備点検 ENEOS株式会社 マイクロドローンで石油精製設備を点検
農薬散布 JA全農ちば ドローンによる農薬の空中散布の実証実験を実施
ドローン配送 ウォルマート(アメリカ) ドローンによる商品配送を開始

それぞれ、詳しい内容を見ていこう。

マイクロドローンで石油精製設備を点検|ENEOS株式会社

ENEOS株式会社は、調達した原油を精製する各製油所において、手のひらサイズの小型ドローン「 マイクロドローン 」を用いて点検を実施している。

点検対象は、石油精製設備の高所に取り付けられたインターナル構造物。人が立ち入るには危険が伴うと判断された場合は、仮設の足場を組む必要がある。そこで、 足場が必要な箇所の絞り込みにマイクロドーンを活用。

マイクロドローンで一次点検を行うことで、 危険を伴う作業範囲を特定し、仮設の足場組みにかかる工事費を最小限に抑える効果がある。

参考: プラント設備等におけるドローンを活用した点検事例集|厚生労働省

農薬の空中散布|JA全農ちば

JA全農ちばでは、生産者の高齢化や人手不足などの課題を解決する手段のひとつとして、ドローンによる農薬散布に取り組んでいる。 ドローンが農薬の空中散布を実施することで、これまでの手散布の作業よりも、負担が大幅に削減される。

ドローンを活用した農薬散布の実証実験では、斑点米カメムシ類による被害が減り、一等米の割合が6割から9割へ拡大したという。

参考: 令和4年度農業分野におけるドローンの活用状況|農林水産省農産局技術普及課

ドローン配送|ウォルマート

ドローンは海外でも活用が始まっている。世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、 2021年よりドローン配送を開始。

顧客がウォルマートのECサイトから対象商品を購入すると、ドローンに商品を積み込み顧客の自宅に配送する仕組みが取られている。

ウォルマートが提供するドローン配送サービス(出典:ウォルマートの発表資料より) イメージ
ウォルマートが提供するドローン配送サービス(出典:ウォルマートの発表資料より)

2022年にはドローン配送拠点を拡大し、年間100万個もの荷物をドローンで配送する目標を掲げた。

ウォルマートを始めとする、海外のドローン配送サービスの事例は 海外で広がるドローン配送サービス でも詳しく紹介している。

ドローンビジネスで起業するためのポイント

ドローンビジネスで起業するためのポイント イメージ

ドローンビジネスは市場規模が拡大していることから「 ドローン事業で起業したい 」と考える人もいるだろう。

ここでは、ドローンビジネスで起業するための3つのポイントを紹介する。

ドローン活用の分野を決める
ドローン関連の資格を取得する
ビジネスプランを立てる

それぞれの具体的な内容を見ていこう。

ドローン活用の分野を決める

まずは、 ドローンをどの分野で活用するか決定する必要がある。 分野によって使用する機体が異なるからだ。

たとえば、物流では荷物を載せる機体が必要で、点検作業には小型の機体が必要となるだろう。

分野ごとに習得すべき操縦技術や知識も変わる ため、まずはドローンの活用分野を定めることが重要となる。

ドローン関連の資格を取得する

次に、操縦技術や法律の知識を身につけるために、 ドローンスクールに通って資格を取得しよう。

2023年9月時点で、ドローン関連の資格には国家資格と民間資格があり、代表的な資格は次のとおりである。

国家資格 内容
一等無人航空機操縦士 レベル4飛行に欠かせない国家資格
二等無人航空機操縦士 本資格と第二種形式認証以上の機体を用いることで、一部の特定飛行の許可申請が不要となる国家資格
民間資格 内容
JUIDA認定資格 ・無人航空機操縦技能、無人航空機安全運航管理者の2種類を交付
・海外団体と連携し、国際標準化活動を実施
DPA認定資格 ・操縦士資格、インストラクター資格を交付
・ランセンス取得時に保険加入が可能
JDC認定資格 ・JDCパイロット認定資格を交付
・自律飛行、目視外飛行の訓練も可能
日本ドローン協会認定資格 ・ドローン操縦技能証明証、インストラクター証明証など、コースに応じた証明書を交付
・農薬散布、安全管理など多様なコースが利用可能
DJI JAPAN認定資格 ・DJI CAMPスペシャリストを認定
・正しい知識と操縦方法、飛行モラルを習得
IAU認定資格 ・操縦技能認証、安全運航管理責任者認証などを交付
・全国30校以上のスクールで学習可能
ドローン検定協会 ・無人航空従事者試験に合格すると、証明書を取得
DMA認定資格 ・ビギナーからプロまで多様なコースを受講可能

株式会社ミライト・ワンのグループ会社である「株式会社ミラテクドローン」は、国土交通省より「登録講習機関」として指定されており、2023年5月から「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」の講習を開始している。そのほか、 JUIDA認定コース も提供しており、3日間のコース受講後は、JUIDA証明書の取得もできる。

それぞれのコースの詳細は、以下のサイトを参考にしてほしい。

ドローンスクール | 株式会社ミラテクドローン
ドローンスクール(JUIDA認定教習場)|株式会社ミライト・ワン

ビジネスプランを立てる

3つ目に、 ドローンを活用したビジネスプランを立てる必要がある。 競合やマーケットの傾向を分析し、差別化したサービスを提供することが重要となる。

たとえば、 イベントの設営計画サービス事業に参入してドローンを活用する ことも、ビジネスプランのひとつと言える。株式会社ミライト・ワンでは「 イベントDX:設営計画サービス 」を提供し、測量作業でドローンを活用している。

このサービスでは、デジタルツイン技術で花火大会の会場を3Dで再現し、デジタル空間上で周辺環境を正確に計測することで、現地確認の手間を省くことができる。

現地の測量作業の一部でドローンを活用し、設営計画から実現までをサポートしている。

関連リンク
イベントDX:設営計画サービス|株式会社ミライト・ワン

まとめ

ドローンビジネスの市場規模は今後も拡大が予測され、将来性が期待されている。とくに サービス市場は、物流や農業などさまざまな分野があり、多様なビジネスモデルがある。

ドローン事業で起業を検討している場合、まずは分野を決めることで進めやすくなる。

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