EdTech(エドテック)の市場動向について
EdTech(エドテック)とは
EdTech(エドテック)とは、テクノロジーの力で教育にイノベーションを起こす取り組みのことで、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。エドテックは、ITやテクノロジーが浸透していない領域で、それらの活用を進めていく「X-Tech」のうちのひとつです。ITを活用した教育のサービスや技術の総称として広く使用されており、近年は日本においても、その開発や導入に乗り出す企業や教育機関が増えています。具体的には、自宅や外出先などいつでも好きな時に授業を受けられるオンライン学習サービスなどが挙げられます。生徒が学習するためのものだけではなく、教員が生徒の学習状況を把握・管理するツールの導入などもあります。
EdTech(エドテック)の市場規模
エドテックの市場規模は世界においても、国内においても急速に拡大しています。日本におけるエドテック市場は年々成長を続けており、2016年度の市場規模は約1,700億円とされていましたが、2027年までに約3,625億円規模に達すると予測されています。
このようなエドテックの市場規模拡大の背景には、日本におけるSTEAM教育の推進があります。STEAM教育とは「Science(科学)」「Technology(テクノロジー)」「Engineering(エンジニアリング)」「Art(芸術)」「Mathematics(数学)」の5つの要素を盛り込んだ教育手法のことです。世界のテクノロジーが進化する中、5つの分野の学習を通して、変化や環境に流されず新たな発想を生み出す能力を身につける教育方法として、世界中で推進されています。今やITの普及が遅れていた教育業界にIT企業が次々と参入し、新たなサービスが開発・提供されるようになりました。
EdTech(エドテック)の取り組み事例
①未来の教室
経済産業省は、所管する民間の教育事業者側のエドテック化推進の一環として「未来の教室」プロジェクトを実施しています。このプロジェクトでは、「学びのSTEAM化」「学びの自立化・個別最適化」「新しい学習基盤の整備」の3つの柱で構成される「未来の教室ビジョン」を2017年度に提言としてまとめています。
経済産業省は、「未来の教室」実現のため、エドテックの活用等による新たな教育プログラムの開発等に向けた実証事業を2018年7月に本格的にスタートしました。2021年5月時点で100を超える事業が行われており、就学前の子どもから社会人(リカレント教育)まで幅広く対象としています。「未来の教室ビジョン」の主旨である「学びのSTEAM化」「学びの自立化・個別最適化」「新しい学習基盤の整備」は、いずれもエドテックの教育環境プラットフォームを前提としているため、今後ますます浸透していくことがうかがえます。
②GIGAスクール構想
学校教育を所管する文部科学省は、2019年の2月、「1人1台端末は令和の学びのスタンダード」として「GIGAスクール構想」を打ち出しました。1人1台の情報端末と高速で安定した通信ネットワークを整備し、教育でICTを活用するための取り組みです。つまり、一人ひとりが最適化された教育を受けられるように整備し、創造性を育む教育の実現を目指しています。
GIGAスクール構想によって、学校における教育はこれまでの一斉学習から、個別最適化された21世紀型の学習へ深化・転換していきます。これまでの1対多数の一斉授業ではなく、双方向のやり取りが増加。子ども1人ひとりの理解度や反応も手軽に把握できるようになるため、きめ細やかな指導ができるようになります。
課題・宿題も、これまでのように全員同じ一斉の課題ではなく、蓄積された学習履歴やレベルに合わせた個別最適化された課題に取り組むことが可能になります。
グループ学習のリサーチでは、書籍だけではなくインターネットや動画など様々な材料にアクセスすることができるようになるほか、チャットツールや共同編集ツールを活用して、意見交換や議論も充実するでしょう。
エドテックの展望
教育現場におけるIT化は、他のさまざまな業界に比べて遅れていると言われてきました。エドテックが今後さらに教育現場に導入されるようになれば、従来の教育環境が大きく変わる可能性があります。新型コロナウイルスの感染拡大による休校は、教育現場におけるIT化に図らずもスピード感を与える結果となりました。エドテックにより、学校に通えない子どもが、学校に通っている子どもと同じように平等に学習ができるようになれば、経済的な教育格差が軽減され、学力の差が改められる可能性もあります。教職員にとっては、課題の管理や作成が効率化されることで、業務改善・環境改善が可能となるでしょう。
一方、エドテックにはまだまだ課題も多くあります。
まず、日本の教育現場にまだICT環境が整っていないことが挙げられます。環境の整備を国や行政が積極的に主導していくことが求められます。
また、エドテックが広がることにより、授業で端末を活用する場面が増えていくため、端末操作や情報セキュリティなどの知識が求められるようになります。しかし、実際に対応できる教職員の数は多くないのが現状です。今後、ある程度のITリテラシーを備えた教職員の育成に力を入れる必要があります。
エドテック市場は、これからますます活性化していくことが見込まれる分野です。今後どのようなプラットフォームが誕生するのか、より効率的で効果のある学習システムの開発が期待されています。
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