製造業におけるDX市場について

2024年12月2日

製造業DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)があらゆる産業で大きな関心を集めています。DXとは、AIやIoTなど先端技術の活用により企業変革を図り、競争優位性の確立を目指すことです。日本の製造業のDXへの取り組みは、部門や工程の中の効率化にとどまり、企業全体や企業間、業界全体のような幅広いプロセス改革や新価値創造につながっていない点などが問題となっています。このような中で日本の製造業は、どのような視点で取り組む必要があるのでしょうか。
製造業におけるDXでは、ものづくりの現場で培ってきたノウハウを個人の経験値として蓄積したり、デジタル化により共有したりするだけではなく、それらをリードタイム短縮や生産性向上、品質向上に活かし、日々変動する顧客や社会のニーズに合わせてビジネスモデルに変革をもたらすことが重要です。
市場で競合優位性を得るためには、自社製品に付加価値を付ける必要があり、新製品の開発や品質向上が重要になります。しかし、少子高齢化による労働力不足が、新製品開発やサービスの立ち上げを困難にしているケースもあります。そのような場合に、従来、手作業で行っていた業務の自動化や、ノウハウのデジタル化が進めば、効率的な生産が可能となり、新たな価値の創造が目指せるでしょう。また、技術を持つ作業員にしかできなかった人的作業を、製造データの収集・分析を行って機械に代替させるデジタルマニュファクチャリングを取り入れることで、業務が効率化され、生産性の向上が期待できます。

製造業DXの市場規模

富士キメラ総研が2024年4月に発表したDX関連国内市場調査によると、2023年度の同市場規模は、4兆197億円となる見込みです。同調査では、市場は今後もさらに拡大を続け、2030年度には8兆350億円まで拡大すると予測しています。
製造業におけるDXの市場規模は2022年度見込みで2,990億円、2030年度予測は8,130億円としています。製造業では、環境変化や人員不足の問題に対応するため、サプライチェーン、エンジニアリングチェーンといった既存システムの移行、データドリブン経営を推進する動きが活発になってきています。このような変化を受けて、今後は、効率化や最適化を目的とした投資、新規事業を創出するための投資が本格化し、特に省人化や自動化に向けたスマートファクトリーへの投資が増えると見られています。さらに、環境負荷低減に向け、温室効果ガス排出量やエネルギーの管理、機器の稼働監視などへの投資も拡大していくと予測されています。

製造業DXの事例

空調機器メーカーのダイキン工業は、製造コスト削減と製品差別化による競争力強化、サプライチェ―ン及びエンジニアリングチェーン最適化を目的としてDXに取り組みました。大阪・堺に新工場(デジタル・ファクトリー)を設立し、製造現場データの発掘 ⇒データの収集と統合⇒データの見える化と分析⇒顧客への価値提供のサイクルを回すことを構想し、工場のすべての設備をネットワークでつなぎ、情報収集の標準化を進めるための情報基盤である「工場IoTプラットフォーム」を整備しました。
日本でベースモデルを確立させ各海外拠点とも連携し、各拠点でアプリ開発を可能とするなどオープン化を進めることで、日本と海外拠点におけるリアルタイムの生産データ共有を実現するなど、グローバルに活用されています。DXによる生産状態の可視化・生産計画最適化により、ロスを低減することができたほか、デジタル化や工場の生産シミュレーションなどを通して、予知・予測が可能になりました。

まとめ

製造業DXは効率化・自動化が世界的に進められてきている製造業界において欠かせないものとなってきており、製造業の市場で生き残るために多くの企業が取り組みを進めています。一方で、中小企業など数十名規模の工場などでは、人材が不足したり、属人化した業務をDX化する負担が大きすぎたりするケースもあり、DXを推進する場合はそれ相応の準備が必要になります。
日本の製造業は現在、人手不足や技術承継問題、人件費の高騰などさまざまな課題を抱えています。DXを推進することで、工場内のあらゆるデータが有効活用できるようになり、業務の自動化や効率化、設備の最適化からエネルギーコストの削減も期待できます。DXの価値を見極め、自社に適した方法で取り組むことが大切です。

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