イベント/エンターテインメントに革命をもたらすDXとは
イベント/エンターテインメント業界(エンタメ業界)では、変化し続ける消費者のニーズに迅速に対応するため、DXが進んでいます。今回は、エンタメ業界の新たな未来を作り出すカギとも言えるエンタメDXについて紹介します。
日本のエンタメ業界市場規模と動向
世界のエンターテインメント コンテンツ市場は年々拡大を続けています。日本経済団体連合会によると、ゲーム、漫画、音楽、映画などを含む世界のコンテンツ市場の規模は、2025年には約1.3兆米ドルに達すると予想されています。
一方、日本のエンタメ業界は、2023年時点で約14兆円規模に達しています。
エンタメ業界は、①映画・動画配信 ②ゲーム ③音楽・ライブエンターテインメント ④出版・マンガ・アニメ ⑤スポーツビジネス ⑥メタバース・NFT関連の6つの主要分野に分類されます。
日本の主要分野ごとの市場規模と動向を見ていきましょう。
主要エンタメ市場の規模(2023年時点)
分野 | 市場規模(円) | 主要企業 | 動向 |
映画 / 動画配信 | 約1.2兆円 | Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXT、東宝 | 動画配信市場の急成長、Netflixなどの利用者増加により、テレビ放送の視聴率が低下 |
ゲーム市場 | 約2.4兆円 | 任天堂、ソニー、スクウェア・エニックス | ゲーム市場の多様化、家庭用ゲームに加え、モバイルゲームやeスポーツ市場が拡大 |
音楽 / ライブエンタメ | 約6,857億円 | ソニーミュージック、ユニバーサルミュージック、エイベックス | コロナ後ライブイベント市場が回復・拡大 |
マンガ / アニメ | 約1.5兆円 | 集英社、講談社、東映アニメーション | マンガの海外需要拡大、ウェブ漫画の人気上昇により、新たな市場が形成 |
スポーツビジネス | 約5,000億円 | Jリーグ、Bリーグ、NPB |
エンタメDXの最新トレンド
エンタメDXとは、映画、音楽、ゲームなどのエンターテインメント業界においてデジタル技術を活用し、業務プロセスの変革、顧客体験の向上、新しいビジネスチャンスの創出を図ることです。
エンタメ業界におけるDXは、5G、メタバースなど、様々な最新技術を取り込みながら加速しており、これらのテクノロジーを活用することで、より没入感が高く、インタラクティブなエンタメ体験を提供しています。
①5G
5Gとは、高速大容量・低遅延・同時多数接続の特性を持った最新の通信規格です。5Gの登場により、VR(バーチャルリアリティ)コンテンツのストリーミングやクラウドゲーミングなどで、これまでにない高品質なエンタメ体験が可能になっています。例えば、5GとAIを掛け合わせ、遠隔地で行われているスポーツを、AIが瞬間的に立体データにしてモデリングし、目の前で観戦している"以上"の「超臨場感」で体感することができます。
KDDIは、5Gの大容量で高速な通信を実現する新周波数「Sub6」の基地局を業界最多の約3.9万局開設しています。こうした通信インフラの整備により、より没入感の高いVR体験やゲーム体験が身近になっています。
②メタバース
メタバースは、インターネット上に構築された3DCGの仮想空間のことです。エンタメ業界でも、メタバース上でのバーチャルイベントやNFTを活用したデジタルアセットの販売など、新しい取り組みが活発化しています。
サンリオバーチャルフェスティバルは、AKB48などのリアルアーティストから、Vtuber、VRChat上で活動するアーティストまで、幅広いジャンルのリアル/バーチャルのアーティストが集まる、メタバース上で開催されているライブイベントです。2021年に第1回が開催され、2025年に至るまでサンリオファンのみならず、バーチャル上級者まで楽しめるイベントとして続いています。

(図1)株式会社Sanrio サンリオバーチャルフェスティバル2025公式ホームページ
また、2025年4月から開催されている大阪・関西万博では、メタバース上に「EXPO 2025 バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~」というバーチャル会場を設置しています。

(図2)出典:経済産業省近畿経済産業局 大阪・関西万博 XRやメタバースの活用事例まとめ
エンタメDXの未来
エンタメDXは、既存のビジネスモデルの見直しから、新たな価値提供方法の探求まで、業界全体に多大な成長機会をもたらしています。
ライブエンターテインメント市場では、コンサートや演劇などがオンラインでストリーミングされることで、世界中の観客がリアルタイムで体験できるようになり、スマートデバイスやアプリを通じたインタラクティブな参加型コンテンツは、観客が実際に会場に足を運ぶのと同様か、それ以上に魅力的な体験を提供してくれます。ライブ配信のテクノロジーは、アーティストとファンの間の距離を縮めるだけではなく、新しいマーケティングチャネルの開拓や、別の収益モデルへ繋がる可能性があるのです。
VRとAR(拡張現実)は、エンタメ業界に革命をもたらす技術として注目され、VRを活用したコンテンツは、映画やゲームの世界に直接入り込むような体験を生み出し、ARはリアルタイムでの情報提供や、現実世界とデジタルコンテンツの融合を実現しています。
大阪・関西万博の福島復興展示では、「バーチャルサイクリング体験」として、会場にあるVR用の自転車を漕いでツール・ド・ふくしまのバーチャルコースなどをサイクリングできるほか、「甲冑競馬VR体験」として、伝統行事である相馬野馬追をVRの世界で体験できるようになっています。
これらの技術は、従来のエンターテインメント体験に変革をもたらすだけでなく、教育、医療、観光など他業界への応用を通じて、エンターテインメントの概念そのものを広げていくでしょう。
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