社会に実装され始めた、生成AIをはじめとする最新技術

2025年5月12日

近年、ICTの分野では生成AIや次世代の光情報通信基盤など、さまざまな最新技術が開発されてきた。それらの技術が、最近になって社会課題を解決すべく社会実装されようとしている。特に、2025年4月13日に開幕された2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、その実証実験の最適な環境として企業の注目も集まっている。今回は、そうした最新の生成AIや次世代光情報通信基盤の実証実験についての情報を紹介する。

生成AIを活用して大阪・関西万博来場者に情報提供する案内ロボット

Osaka Metroは2025年4月2日、NTT西日本グループ、NTTコミュニケーションズ、ugoと、2025年4月4日から10月31日まで、大阪・関西万博会場前の夢洲駅に対話・案内ロボット「ugo」を設置すると発表した。

「ugo」は、NTT西日本グループとNTTコミュニケーションズが連携して提供する「tsuzumi」(NTT版大規模言語モデル)をはじめとした複数の生成AIを活用した社会実験として、2025年1月15日から2025年3月15日までOsaka Metro 御堂筋線 梅田駅構内のポップアップ型販売店舗前に設置されてきた。この間、6,000件を超える応対があるなど一定の利用が確認でき、「駅の構内放送に反応してしまう」「顧客のリクエストへの対応品質を向上させる必要がある」などの課題も把握できた。そこで、2025年大阪・関西万博で多くの来場者が利用する夢洲駅で、引き続き社会実験を行うことにした。

NTT西日本グループ、NTT コミュニケーションズ、およびugoは、ロボットと生成AIを組み合わせて人手不足の解決に貢献するソリューションの開発を目指す。また、Osaka Metroは「ugo」の設置による利用者の反応や行動変容を調査し、「将来の人手不足の解消」と、「より質の高いサービス提供」を両立して実現させることを目指す。さらに、「駅にあったらいいな!」「駅にあって良かった!」「駅で新たな発見を!」に取り組む「Osaka Metro 109駅サービス拠点化プロジェクト」を通してさまざまなサービスを展開することで、駅や駅周辺の魅力向上に取り組むという。

(上・図1 / 下・図2ともに)夢州駅に置かれる多言語案内ロボット「ugo」(出典:Osaka Metroプレスリリース) イメージ
(上・図1 / 下・図2ともに)夢州駅に置かれる多言語案内ロボット「ugo」(出典:Osaka Metroプレスリリース)

次世代情報通信基盤IOWNを活用したアバターロボットによる遠隔接客

NTTコミュニケーションズとセブン-イレブン・ジャパンは、avatarinの協力のもと、大阪・関西万博会場内のセブン-イレブン2店舗(西ゲート店、ウォータープラザ店)と企業・スタートアップ・学生・自治体などが交流するオープンイノベーション施設クイントブリッジにおいて、2025年4月13日から遠隔接客の実証実験を開始した。

実験では、NTTの次世代情報通信基盤IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)上で、端末からネットワークまですべてをフォトニクス(光)ベースの技術で接続するAPN(All-Photonics Network)を採用。そのインフラを活用し、avatarinが開発したアバターロボット「newme」を使って、NTTパビリオン施設内の遠隔接客ルームからコンビニの来店者に対して接客する。

「newme」は、遠隔地を自由に動きまわり自分の目で見て話せる、コミュニケーションに特化したロボットである。遠隔でも「人のスキルや価値」を提供できることから、接客業務の省人化や効率化を検証し、人による応対が必要な幅広い業界で、来店者と操作者の双方でストレスのない遠隔接客のソリューション提供を目指す。なお、AI関連の機能も現在開発中という。

(図3)次世代情報通信基盤IOWNとアバターロボットを活用した遠隔接客(出典:NTTコミュニケーションズとセブン-イレブン・ジャパン プレスリリース) イメージ
(図3)次世代情報通信基盤IOWNとアバターロボットを活用した遠隔接客(出典:NTTコミュニケーションズとセブン-イレブン・ジャパン プレスリリース)

サッカー観戦後の観光プランを生成AIが作成

福岡県をホームタウンとするJリーグのサッカークラブ アビスパ福岡とKDDIは、スタジアムと街の回遊促進を目的として、生成AIがスタジアム周辺における試合前後の観光プランを提案する実証実験を2025年4月14日から開始した。実験では、2025年5月に開催されるアビスパ福岡の試合会場に来場するサポーターを対象に、スタジアム周辺の飲食店やホテル、おすすめの観光地などを生成AIが来場者の興味関心に合わせて提案するWebアプリを提供する。

アプリでは、試合日程やスタジアムの最寄り駅到着時刻と出発時刻、観光スタイルなどを選択すると、AIが最適な観光プランを生成。また、生成された観光プランに対する要望を自然言語で入力すると、内容に応じて観光プランを修正する。利用者が移動手段や飲食店、ホテル、おすすめの観光地などが含まれた観光プランを興味関心に合わせて生成することで、スタジアム周辺の体験価値と利便性を向上させ、来場者数増加を図る。さらに、地域の魅力を伝えることで、スタジアムと街の回遊や宿泊を促進し地域経済を活性化していく。

これまでも、プロスポーツクラブはスタジアム来場者の利便性を高めるため、SNSやホームページなどを通じてスタジアム周辺の情報を発信してきた。一方で、来場者の興味関心に合わせた情報発信ができず、一元的に情報がまとまっていないなどの課題があった。アビスパ福岡とKDDIは今回の実証を通じて、こうした課題の解消も目指すという。

(図4)アビスパ福岡がサービスで利用する生成AIのイメージ(出典:アビスパ福岡とKDDIのプレスリリース) イメージ
(図4)アビスパ福岡がサービスで利用する生成AIのイメージ(出典:アビスパ福岡とKDDIのプレスリリース)

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