2026年度自治体DXは第2フェーズへ、次なる課題とは

2026年5月11日

総務省は、2020年12月に「自治体DX推進計画」を策定しました。対象期間は、2021年1月から2026年3月(2025年度末)までで、市町村は、同計画の中で示された重点的な取組事項や地域課題解決に必要な取組事項について、独自のDX推進方針・推進計画を策定して取り組んできました。その結果、市町村ごとに差はあるものの、マイナンバーカードの普及促進、行政手続きのオンライン化等、それぞれ一定の成果がありました。これらを自治体DXの第1フェーズとすると、2026年度以降は、地域独自のDXにシフトしていく第2フェーズが展開していくでしょう。

市町村毎のDX推進状況
出典:デジタル庁「自治体DXの取組に関するダッシュボード」(令和7年5月) イメージ市町村毎のDX推進状況
出典:デジタル庁「自治体DXの取組に関するダッシュボード」(令和7年5月)

自治体DX第2フェーズの概要

自治体DXの第2フェーズは、第1フェーズで整備した標準化・オンライン化・クラウド移行といった「デジタル基盤」を土台に、自治体が自らの地域課題を解決し、住民サービスの質を高める段階です。単なる業務効率化にとどまらず、データとデジタル技術を活用して行政のあり方そのものを変革することが求められていきます。
第2フェーズの目的は、主にデジタルを活用して住民中心の行政サービスを実現することです。第1フェーズが「行政内部のデジタル化」であったのに対し、第2フェーズは「行政サービスの価値創出」がメインとなります。人口減少、地域経済の縮小、災害リスクの増大など、自治体が直面する複雑な課題に対し、データ分析やAI活用を通じて、より効果的で持続可能な政策を実行することが期待されます。

第2フェーズの課題

第2フェーズの推進には、いくつかの大きな課題があります。
まず、業務プロセスの本質的な再設計(BPR)の不足です。多くの自治体では、第1フェーズで「紙のデジタル化」や「オンライン申請」などの表層的デジタル化が進みました。第2フェーズでは、部署横断の業務フロー再設計、住民視点でのサービス統合、データ連携を前提とした業務標準化が不可欠になります。現状、制度・調達プロセスの制約が大きく、抜本的な業務改革に踏み込めていない自治体が多いと指摘されています。
また、データ形式の不統一、部署ごとのデータ分断、データガバナンス体制の未整備が壁となり、EBPM(Evidence-Based Policy Making、証拠に基づく政策立案)やAI活用が十分に進んでいません。今後は、データ統合基盤の整備、データ標準化、AI活用のルール整備が必要です。
DXの本質は、「技術導入」ではなく「組織変革」です。自治体のDXにおいて、縦割り組織の壁と意思決定の遅さが依然として障壁になっています。DXの初期フェーズでは外部委託で対応できても、次のフェーズでは内製化、デジタル人材の育成、組織横断のDX推進体制が必要になります。多くの自治体でIT人材不足が深刻で、スキル偏在も課題とされています。
住民視点のサービス設計(UX)の不足により、オンライン申請が増えても、使いにくいUI、手続きが結局複雑、住民のデジタル格差等の問題で、利用率が伸びないといった課題もあります。

第2フェーズが目指すゴールとは

上記の課題を解決していくことが、第2フェーズでは求められていきます。
EBPMの実現については、自治体が保有するデータや外部データを統合し、分析に基づく政策立案を行うことが必要です。これにより、従来の経験則に頼った施策から脱却し、効果の高い施策を選択できるようになります。
住民体験(CX/UX)の向上も第2フェーズでは重要です。行政手続きの利便性向上はもちろん、相談・支援・予防といった領域で、住民が気づかないうちに支援が届くというようなサービスを実現することが求められます。例えば、子育て支援の自動案内、防災情報の個別最適化、健康データに基づく予防施策などが挙げられます。デジタル弱者支援、オンラインと対面のハイブリッド設計も併せて検討する必要があります。
また、持続可能な自治体運営を可能にするDXを実現するという視点も欠かせません。職員数の減少が続く中、AI・RPA・チャットボットなどを活用して業務を効率化し、限られた人員で行政サービスを維持・向上させることは、住民体験にも大きく関わります。さらに、自治体間連携や共同運営を進めることで、地域全体の行政コストを抑制することも重要になってくるでしょう。

自治体DXの次なる課題は、「技術」より「組織とデータ」です。DXは単なる「技術導入」ではなく「行政の再設計」であり、第2フェーズからがいよいよ本番と言えそうです。

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