――デジタル社会を支える技術、挑戦のきっかけは?
❝5G、データセンター、DX。加速する高度情報化社会のインフラを担う❞
急速に進展するデジタル社会において、通信インフラの重要性はかつてないほど高まっています。5G通信の普及やデータセンターの需要拡大に伴い、その血管ともいえる光ファイバ網やLAN配線の施工技術には、極めて高い信頼性が求められています。 私がこの世界に飛び込んだのは、高校在学時の情報系学科において、技能五輪のデモンストレーションを目にしたことが原点でした。女性選手(現:女性指導員)が複雑な配線を鮮やかに組み上げる姿に、「自分もあんなふうになりたい」と憧れを抱きました。 入社当時は、単に「技術を身につけたい」という個人の想いが先行していましたが、訓練を重ねる中で、私たちが扱う「情報ネットワーク施工」という職種が、これからのDX(デジタルトランスフォーメーション)社会を物理層で支える不可欠な役割であることを強く意識するようになりました。「ミライト・ワンに入社し、技能五輪に挑戦する」という決断は、社会インフラを支えるプロフェッショナルへの第一歩だったのです。
――世界一を生み出した訓練環境とは?
❝国際基準の専用ブースと、組織による万全のバックアップ体制❞
入社後は、ハイパーテクノポートセンタにて週5日、朝から晩まで技術研鑽に没頭しました。日頃は国内大会の仕様で訓練をしていましたが、今回、会社は私の挑戦のために、国際大会の仕様を忠実に再現した専用の訓練ブースを整備してくれました。通常の訓練では、3〜4人の選手が指導員や先輩のサポートのもと、コンマ1秒を削るための反復練習を行います。 訓練は孤独な戦いになりがちですが、ミライト・ワンには「チームで戦う」文化があります。伸び悩む時期には、上長から「今、身につけている技術は必ず現場で通用する」と声をかけられ、その言葉が私の支えとなりました。 また、組織のバックアップは技術面だけにとどまりません。実は大会直前、渡航に必要な重要書類に関わるトラブルが発生した際も、関西から最終便を駆使して物資を届けてくれるなど、緊急時の対応力にも救われました。こうした組織全体の「本気」の支援があったからこそ、私は競技にのみ集中し、世界の舞台に立つことができたのです。
――なぜ、アジアNo.1の施工品質を実現できたのか?
❝髪の毛ほどの光ファイバを接続する緻密さ。評価されたのは「機能美」❞
金賞を獲得できた最大の要因は、徹底した「施工品質」へのこだわりです。情報ネットワーク施工職種は、光ファイバの融着接続やメタルケーブルの配線、ラック内の整線など多岐にわたります。特に光ファイバは髪の毛ほどの細さであり、接続にわずかなズレがあるだけで通信損失が生じます。 スピード勝負の競技ではありますが、私が追求したのは「速さ」だけではなく、インフラとして長く安定して機能する「正確性」と「美しさ」です。ケーブルに余計な負荷をかけない曲げ半径の維持や、整然とした配線ルートの確保。これが通信品質を担保するための「機能美」なのです。 また、国際大会では国内とは異なる海外仕様の部材やケーブルが使用されます。私たちの所属する業界の分科会では、他の選手や過去のメダリストと情報交換する機会もあり、皆さんのアドバイスを取り入れ、あらゆる状況に対応できる応用力を磨きました。部材が変わっても、施工の本質的な理論を理解していれば、高品質な施工は再現できます。この「基本に忠実かつ、環境に左右されない技術力」こそが、アジアの頂点で評価されたポイントだと確信しています。
――今後の取り組みや展望は?
❝個人の栄誉を企業の信頼へ。技術のバトンを次世代につなぐ❞
今回の金賞は、私個人の成果という以上に、「ミライト・ワンの施工品質がアジアNo.1である」ことを証明できた点に意義があります。初出場初優勝、そしてBest of Nationという結果は、当社が長年培ってきた育成ノウハウと技術研鑽の結晶です。 現在は指導者の立場となり、後輩の育成にあたっています。技術指導において重視しているのは「個の最適化」です。人それぞれ手の大きさや指の動き、得意な作業は異なります。かつて私が支えられたように、今度は私が一人ひとりの特性に合わせたトレーニングをカスタマイズし、才能を伸ばしていきたいと考えています。 世界基準の技術を持つエンジニアを一人でも多く育てること。それが、お客様に最高品質のインフラを提供し続けるミライト・ワンの競争力、そして信頼へとつながっていくはずです。
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表彰式
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吉田選手(前列右から2番目)支えてくれたメンバーと
インタビューした人
人材開発部 人事育成部門
ハイパーテクノポートセンタ
吉田 陽菜(ヨシダ ハルナ)
サムネイル写真出典:WorldSkills.jp
(2026/4/27)